上智大学法学部法律学科|上田健介教授に学ぶ「憲法」と統治機構の仕組み

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、「上智大学法学部法律学科・上田健介教授の研究から考える、憲法と統治機構の仕組み」です。


上智大学法学部法律学科で学ぶ「憲法」とは

上智大学法学部法律学科には、憲法を専門とする上田健介教授がいらっしゃいます。上田教授は、行政権とその統制、裁判を受ける権利を中心に、比較法的な研究を行ってこられました。さらに、財政制度や宗教制度にも関心を寄せています。授業では「憲法(統治機構)」などを担当されています。

憲法というと、「基本的人権」や「三権分立」といった言葉を思い浮かべる人が多いかもしれません。高校の授業では制度や条文を覚えることが中心になりやすいですが、大学では「なぜこの仕組みが必要なのか」「国の権力をどのようにコントロールするべきなのか」といった問いまで掘り下げて考えていきます。

その中でも「統治機構」は、国会・内閣・裁判所などの国家機関がどのような役割を持ち、どのような関係で成り立っているのかを考える分野です。


「統治機構」とはどのような仕組みなのか

「統治機構」という言葉は少し硬く感じるかもしれませんが、簡単にいえば、国を運営するための役割分担の仕組みです。

日本では、法律をつくる国会、法律や政策を実行する内閣、法律に基づいて争いを判断する裁判所が、それぞれ異なる役割を担っています。

なぜ一つの機関ですべてを決めないのでしょうか。それは、国の権力が一か所に集中すると、その力が適切に使われているかをチェックすることが難しくなるからです。

高校生活に置き換えて考えると、生徒会の一人が学校行事のルールをつくり、そのルールを実行し、さらにトラブルが起きたときの最終判断まで一人ですべて担当していたらどうでしょうか。効率はよいかもしれませんが、その人の判断に権限が集中しすぎてしまいます。

国の仕組みでも同じように、複数の機関が役割を分担し、互いに関わりながら権力を適切に働かせることが重視されています。


行政権はなぜ「統制」する必要があるのか

上田教授の研究テーマの一つに、「行政権とその統制」があります。

行政は、私たちの日常生活に非常に大きな影響を与えています。国や自治体は、教育、福祉、税金、道路、災害対策、環境問題など、さまざまな分野で政策を実施しています。

社会を円滑に運営するためには、行政に一定の権限を与える必要があります。しかし、権限が大きくなればなるほど、「その力が適切に使われているのか」というチェックも必要になります。

たとえば、行政があるルールを決めたとき、それによって一部の人の権利が大きく制限される可能性もあります。その場合、「行政が決めたことだから従うしかない」とするのではなく、その判断に法律上の根拠があるのか、必要以上の制限になっていないかを検討する仕組みが重要になります。

行政に必要な力を持たせながら、その力が行き過ぎないようにする。このバランスをどのようにつくるのかが、統治機構を考えるうえで重要なテーマです。


「裁判を受ける権利」はなぜ大切なのか

上田教授が研究してきたテーマには、「裁判を受ける権利」もあります。

もし自分が国や自治体から不当な扱いを受けたと感じたとき、あるいは誰かとの間で法律上の争いが生じたとき、第三者である裁判所に判断を求められることは、私たちの権利を守るうえで重要です。

たとえば、学校生活の中でも、自分に関係する問題について一方的に結論を出されたら、「自分の話も聞いてほしい」と感じるでしょう。

社会の中では、国や行政と個人では持っている力に大きな差があります。そのようなときにも、個人が公正な判断を求めることのできる仕組みが用意されていることが重要になります。

裁判を受ける権利について考えることは、「国家の権力から一人ひとりの権利をどのように守るのか」という憲法の大きなテーマにつながっています。


比較法という視点から日本の制度を考える

上田教授の研究では、「比較法的な研究」という視点も重要です。

比較法とは、日本の制度だけを見るのではなく、海外の国々の法律や制度と比較しながら考える方法です。

同じ民主主義国家であっても、国会と政府の関係、裁判所の役割、行政をチェックする仕組みなどは国によって異なります。

日本では当たり前だと思っていた制度も、他国と比べることで「なぜ日本ではこの仕組みなのか」「別の方法にはどのような長所と課題があるのか」が見えやすくなります。

一つの制度だけを見て正しいかどうかを判断するのではなく、複数の国の仕組みを比較しながら考えることは、法律学の視野を広げることにもつながります。


大学の憲法では「制度の意味」まで考える

高校までの学習では、「国会は立法」「内閣は行政」「裁判所は司法」と覚えた経験がある人も多いでしょう。

大学では、そこからさらに一歩進みます。

なぜ国会と内閣を分ける必要があるのか、裁判所は政治の問題にどこまで関与するべきなのか、行政の権限を誰がどのようにチェックするべきなのか、といった問いについて考えていきます。

また、制度がつくられた歴史的背景や、現在の社会状況に合っているのかという問題についても検討します。

法律の条文を「決まっているルール」として受け入れるだけではなく、そのルールが何のために存在しているのかを考えることが、大学での憲法の学びです。


身近な意思決定から統治の仕組みを考えてみる

統治機構というテーマは国の仕組みに関するものですが、考え方の入り口は高校生活の中にもあります。

たとえば、生徒会や委員会で学校行事について決めた経験がある人は、「誰が決めるのか」「どこまで一部の人に任せるのか」「決めた人の判断を誰が確認するのか」といった問題に直面したことがあるかもしれません。

全員であらゆることを決めようとすると時間がかかります。一方で、少人数にすべての決定を任せると、多くの人の意見が反映されなくなる可能性があります。

効率よく物事を進めることと、多くの人の意見や権利を守ること。この二つをどう両立するのかという問題は、国家の統治を考える際にも共通しています。

身近な経験を振り返ることで、一見難しく感じる統治機構についても、自分自身の問題として考えやすくなります。


推薦入試を考える高校生が意識したいこと

上智大学法学部法律学科の推薦入試を考えている人は、憲法に関する専門知識を無理に詰め込むだけではなく、自分が社会の仕組みに対してどのような疑問を持っているのかを考えてみることが大切です。

たとえば、次のような関心から考えを深めることができます。

  • 生徒会や委員会活動を経験し、意思決定の方法に疑問を持った
  • 政治や行政のニュースを見て、誰が最終的に判断しているのか気になった
  • 国や自治体の決定と個人の権利の関係について考えたいと思った
  • 裁判所が国や行政の判断をどこまでチェックできるのかに関心を持った

こうした疑問に、最初から正しい答えを出せる必要はありません。

重要なのは、「なぜそうなっているのだろう」と問いを持ち、資料やニュースを調べながら、自分とは異なる意見にも目を向けて考えを深めていくことです。


志望理由は教授の研究紹介だけで終わらせない

提出書類や面接で問われる志望理由を考える際には、「上田教授が統治機構を研究しているから志望しました」という内容だけで終わらないようにしましょう。

大切なのは、自分自身がなぜ憲法や統治機構に関心を持ったのかという出発点です。

たとえば、生徒会活動で意思決定に関わり、「一部の人に決定権を集中させることの難しさ」を感じた経験があったとします。そこから、「社会全体では権力をどのように分け、どのようにチェックしているのだろう」という疑問につなげることができます。

さらに調べる中で、国会・内閣・裁判所の関係や行政権の統制に関心を持ち、大学でより深く研究したいと考えたのであれば、自分自身の経験と大学での学びがつながります。

自分の経験、そこから生まれた疑問、大学で学びたい内容を順番に整理することが、自分らしい志望理由を考えるポイントです。


政治や行政のニュースを「仕組み」から見てみよう

統治機構を学ぶための入り口として、日頃のニュースを意識して見ることもおすすめです。

政治のニュースを見るときに、「誰が正しいのか」という視点だけで見るのではなく、「この問題について決める権限を持っているのは誰なのか」「なぜその機関が決めることになっているのか」「その判断をチェックする仕組みはあるのか」と考えてみましょう。

行政の決定、国会での議論、裁判所の判決などを、それぞれ別々の出来事として見るのではなく、国の統治の仕組みの中で捉えることができるようになります。

普段は意識しにくい国家の仕組みも、「なぜこうなっているのだろう」という疑問から見ていくことで、憲法という学問が身近になっていきます。


まとめ

上田健介教授が研究している行政権とその統制、裁判を受ける権利といったテーマは、「国の権力をどのように働かせ、どのように抑えるのか」という憲法の重要な問題につながっています。

統治機構を学ぶことは、国会・内閣・裁判所の名称や役割を覚えることだけではありません。なぜ役割を分ける必要があるのか、行政の権限をどのようにチェックするのか、個人の権利をどのように守るのかを考えることが重要です。

上智大学法学部法律学科を志望している人は、政治や行政のニュースを見たときに、結果だけを見るのではなく、「誰がどのような権限に基づいて判断しているのか」と考えてみてください。

その小さな疑問を掘り下げていくことが、憲法や統治機構への関心を深め、自分が大学で学びたいテーマを見つけるきっかけになります。

提出書類や面接に向けて、自分の経験と法律学への関心をどのように結びつければよいのか、一人で整理することが難しい場合は、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。今後、教員情報、授業内容、入試制度等が変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。