
上智大学法学部法律学科|岩下雅充教授に学ぶ「刑事訴訟法」と刑事司法の仕組み
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、「上智大学法学部法律学科・岩下雅充教授の担当科目から考える、刑事訴訟法と刑事司法の仕組み」です。
上智大学法学部法律学科で学ぶ「刑事訴訟法」とは
上智大学法学部法律学科には、刑事訴訟法を専門分野とする岩下雅充教授がいらっしゃいます。授業では「刑事訴訟法」「刑事司法概論」などを担当されています。
「刑事訴訟法」と聞くと、高校生のみなさんには少し難しく感じられるかもしれません。簡単にいえば、犯罪の疑いがある事件について、警察がどのように捜査し、検察がどのように起訴するかを判断し、裁判所がどのような手続きで審理を進めるのかを定めている法律です。
刑法が「どのような行為が犯罪となり、どのような刑罰が科されるのか」を考える分野であるのに対し、刑事訴訟法は「犯罪の疑いが生じた後、どのような手続きで事実を明らかにし、裁判を進めるのか」を扱います。
ニュースやドラマで、警察による捜査や逮捕、検察による起訴、裁判所での審理といった場面を見たことがある人も多いでしょう。その一つひとつの背景には、刑事訴訟法による細かなルールがあります。
なぜ刑事事件には細かな手続きが必要なのか
犯罪の疑いがある人を見つけたら、すぐに処罰すればよいのではないかと思う人もいるかもしれません。しかし、刑事司法では、疑いがあるという理由だけで簡単に人を処罰することはできません。
捜査機関がどこまで調べることができるのか、どのような場合に逮捕できるのか、集めた証拠を裁判で使うことができるのかなど、さまざまなルールがあります。
こうした手続きが必要なのは、犯罪の真相を明らかにすることだけでなく、誤って無実の人を処罰してしまうことを防ぐためでもあります。
事件を解決することは重要ですが、そのためであればどのような方法を使ってもよいわけではありません。「犯罪を適切に処罰すること」と「一人ひとりの権利を守ること」の両方を考える必要があります。
刑事訴訟法は、この二つをどのように両立させるのかを考える学問でもあります。
警察・検察・裁判所はそれぞれ何をするのか
岩下教授が担当する「刑事司法概論」という科目名からも分かるように、刑事司法の仕組みにはさまざまな機関や専門家が関わっています。
代表的なのが、警察、検察、裁判所、そして弁護士です。それぞれが異なる役割を持ちながら、刑事事件に関わっています。
- 警察は事件について捜査を行い、証拠や事実関係を調べます
- 検察は捜査結果などを踏まえ、裁判にかけるかどうかを判断します
- 裁判所は提出された証拠や双方の主張をもとに審理し、判断を行います
- 弁護士は被疑者や被告人の立場から、その権利を守りながら弁護を行います
一つの機関が捜査から最終的な判断まですべてを担うのではなく、異なる役割を持つ人や機関が関わることで、公正な判断につなげようとしています。
このような仕組みを知ると、ニュースで刑事事件を見る際にも、「今はどの段階なのか」「どの機関が何を判断しているのか」という視点を持てるようになります。
身近な場面から考える「役割を分けること」の意味
刑事司法の仕組みは非常に専門的ですが、「役割を分けることで公平さを保つ」という考え方は、私たちの身近な生活にも通じるものがあります。
たとえば、学校の委員会や部活動でトラブルが起きた場合を考えてみましょう。
トラブルの当事者の一人だけが事情を調べ、そのまま自分で結論まで決めてしまったら、もう一方の当事者は納得しにくいでしょう。
一方で、事実関係を確認する人、双方の話を聞く人、最終的に判断する人が分かれていれば、一つの立場に偏る可能性を小さくすることができます。
もちろん刑事司法と学校生活をそのまま同じものとして考えることはできませんが、「なぜ複数の役割が必要なのか」という基本的な発想を理解するきっかけにはなります。
刑事手続きでは「真相解明」だけが目的ではない
刑事事件では、「本当は何が起きたのか」を明らかにすることが重要です。しかし、それだけを優先すると別の問題が生まれる可能性があります。
たとえば、真相を明らかにするためなら、警察はいつでも自由に個人の家を調べてよいのでしょうか。本人が断っているのに無理やり供述させてもよいのでしょうか。
犯罪を調べるためとはいえ、捜査機関の権限が無制限に認められれば、私たちの自由やプライバシーが大きく侵害されるおそれがあります。
そこで刑事訴訟法では、捜査機関ができることにも一定のルールを設けています。
「犯罪を明らかにしたい」という社会の利益と、「個人の権利を守りたい」という要請。この二つのバランスをどこで取るのかという問題は、刑事訴訟法を学ぶうえで重要なテーマの一つです。
大学では「なぜこの制度なのか」を考える
高校までの学習では、制度の名称や仕組みを覚えることが中心になることもあります。しかし、大学で法律を学ぶ場合には、「なぜこの制度が必要なのか」というところまで考えていきます。
たとえば、なぜ警察だけで有罪か無罪かを決めることができないのでしょうか。なぜ裁判では検察側だけではなく、弁護側にも主張する機会があるのでしょうか。なぜ証拠には一定のルールが設けられているのでしょうか。
こうした問いについて、法律の条文だけでなく、過去の裁判例や制度が作られた背景なども踏まえながら検討していきます。
さらに、「現在の制度で本当に十分なのか」「社会の変化に合わせて見直すべき部分はないのか」というところまで考えることも、大学での学びの一部です。
法律を完成されたルールとして覚えるのではなく、社会の中でどのような役割を果たしているのかを考えることが求められます。
ニュースの見方も変わってくる
刑事訴訟法や刑事司法について関心を持つと、普段見ているニュースの受け止め方も変わってきます。
たとえば、「逮捕された」という報道を見たとき、逮捕されたことと有罪が確定したことは同じではありません。刑事手続きには、その後もさまざまな段階があります。
また、「なぜ逮捕されたのか」「どのような証拠があるのか」「なぜ検察は起訴した、あるいは起訴しなかったのか」と考えることで、事件を一つの情報だけから判断しない姿勢も身についていきます。
報道された内容だけで簡単に「この人は犯人だ」と決めつけるのではなく、刑事司法にはどのような手続きがあるのかを意識することは、現代社会を生きるうえでも重要な視点です。
推薦入試を考える高校生が意識したいこと
上智大学法学部法律学科の推薦入試を考えている人は、刑事訴訟法に関する専門用語をたくさん覚えることよりも、社会の制度に対して「なぜこの仕組みになっているのだろう」という疑問を持つことから始めてみるとよいでしょう。
たとえば、次のようなテーマが考えられます。
- 刑事事件のニュースを見て、逮捕から裁判までの流れに疑問を持った
- 犯罪を防ぐことと個人のプライバシーを守ることの関係に関心を持った
- 裁判で検察と弁護士がそれぞれどのような役割を果たしているのか気になった
- 誤った捜査や判断を防ぐために、どのような制度が必要なのか考えてみたいと思った
大切なのは、最初から専門的な答えを持っていることではありません。
ニュースや身近な出来事から疑問を見つけ、その疑問について調べながら、自分なりに考えを深めていくことが大学での学びにつながっていきます。
志望理由では自分が感じた疑問を出発点にする
提出書類や面接で問われる志望理由を考えるときには、「岩下教授が刑事訴訟法を専門としているから学びたい」と書くだけでは、自分自身の問題意識が伝わりにくくなります。
まずは、「なぜ刑事司法に興味を持ったのか」という自分なりのきっかけを振り返ってみましょう。
たとえば、ある刑事事件の報道を見て、「逮捕された人の権利はどのように守られるのだろう」と疑問を持ったとします。そこから捜査や裁判の仕組みについて調べ、「犯罪の解明と人権保障をどのように両立させるのかを学びたい」と考えるようになったのであれば、それは大学での学びにつながる問題意識になります。
自分が出会った出来事、そこから生まれた疑問、さらに大学で学びたい内容。この流れを丁寧に整理すると、自分らしい志望理由を考えやすくなります。
刑事司法の仕組みから社会そのものを考える
刑事訴訟法を学ぶことは、単に裁判の手続きを知ることではありません。
国にはどこまで人を捜査する権限があるのか、犯罪の被害を受けた人をどのように支えるのか、疑いをかけられた人の権利をどのように守るのかなど、社会の根本的な仕組みについて考えることにもつながります。
犯罪を適切に処罰することも大切です。しかし同時に、手続きそのものが公正であることも欠かせません。
一見すると複雑に見える刑事司法の制度も、「なぜこの手続きがあるのだろう」と一つずつ考えていくことで、その意味が見えてきます。
まとめ
岩下雅充教授が専門とする刑事訴訟法は、犯罪の疑いが生じた後、捜査、起訴、裁判といった一連の手続きをどのように進めるのかを考える分野です。
刑事司法では、事件の真相を明らかにして犯罪を適切に処罰することだけでなく、捜査を受ける人や裁判を受ける人の権利を守り、公正な手続きを確保することも重要です。
警察、検察、裁判所、弁護士などがそれぞれ異なる役割を担っていることにも、公正な刑事司法を実現するための意味があります。
上智大学法学部法律学科を志望している人は、刑事事件のニュースを見たときに、結果だけではなく「どのような手続きで判断されたのだろう」「なぜその手続きが必要なのだろう」と考えてみてください。その小さな疑問が、刑事訴訟法への興味を深めるきっかけになるかもしれません。
提出書類や面接に向けて、自分の経験と法律学への関心をどのように結びつければよいのか、一人で整理することが難しい場合は、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。今後、教員情報、授業内容、入試制度等が変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


