
上智大学法学部法律学科|大橋真由美教授に学ぶ「行政法」と裁判以外の解決手法
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、「上智大学法学部法律学科・大橋真由美教授の研究から考える、行政法と裁判以外の紛争解決」です。
上智大学法学部法律学科で学ぶ「行政法」とは
上智大学法学部法律学科には、行政法を専門とする大橋真由美教授がいらっしゃいます。大橋教授は行政救済法を中心に研究されており、特に行政に関連する紛争を、裁判以外の方法でどのように解決していくかというテーマに関心を持っています。授業では「行政救済法」「地方自治法」などを担当されています。
「行政法」という言葉は、高校生のみなさんには少し聞き慣れないかもしれません。簡単にいえば、国や地方自治体などの行政機関が、私たちの生活にどのように関わり、どのようなルールに従って活動するのかを考える法律の分野です。
たとえば、道路や公園の整備、学校や公共施設の運営、福祉サービス、防災対策、地域のまちづくりなど、私たちの生活のさまざまな場面に行政が関わっています。
行政法を学ぶということは、こうした行政の活動がどのような法律上の根拠によって行われているのか、そして行政と市民との関係はどうあるべきなのかを考えることでもあります。
「行政救済法」は何を扱うのか
行政が行った判断や対応に対して、「納得できない」「自分の権利が不当に制限されているのではないか」と感じる場面が生じることがあります。
そのようなときに、市民が行政の判断を争ったり、見直しを求めたりするための仕組みを考えるのが「行政救済法」という分野です。
行政は、社会全体を支えるために大きな権限を持っています。しかし、その権限が常に適切に使われるとは限りません。だからこそ、行政の判断に問題があると考える人が、その判断について見直しを求められる仕組みが必要になります。
ここで重要なのは、単に「行政の判断が正しいか間違っているか」だけではありません。どのような手続きで判断されたのか、市民に説明する機会があったのか、異議を申し立てる方法が用意されているのかといった点も大切です。
行政救済法は、行政の力と市民の権利とのバランスを考える分野ともいえるでしょう。
裁判だけがトラブル解決の方法ではない
行政との間で問題が起きた場合、「裁判で争えばよい」と思う人もいるかもしれません。しかし、実際にはすべてのトラブルを裁判だけで解決することが最善とは限りません。
裁判では、法律に基づいて一定の結論を出すことができます。一方で、手続きに時間がかかったり、当事者にとって大きな負担になったりする場合もあります。
そこで注目されるのが、裁判以外の方法による紛争解決です。
当事者同士の話し合いや、第三者による調整などを通じて、双方が納得できる解決方法を探るという考え方があります。裁判のように一方が勝ち、一方が負ける形だけではなく、状況に応じて柔軟な解決を目指す点に特徴があります。
法律を学ぶというと、裁判で白黒をつけるイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、「そもそも裁判まで進まずに問題を解決する方法はないか」と考えることも、法律学の重要なテーマです。
ADRという紛争解決の考え方
裁判以外の紛争解決の仕組みとして、「ADR」という言葉を聞くことがあります。ADRは、裁判所で判決を求める方法とは異なり、話し合いや調停、あっせんなどを通じて問題解決を目指す仕組みの総称です。
たとえば、当事者同士だけでは話し合いが進まない場合に、中立的な第三者が間に入り、それぞれの意見を整理しながら解決策を探していく方法があります。
この考え方は、高校生活の中にも少し似た場面があります。
クラスや部活動で意見が対立したとき、すぐに先生にどちらが正しいかを決めてもらうのではなく、まず双方が話し合い、お互いの事情を理解したうえで折り合いをつけようとすることがあります。
もちろん、学校での話し合いと法律上の紛争解決をそのまま同じものとして考えることはできません。しかし、「対立する人たちが納得できる解決をどのようにつくるか」という視点は共通しています。
なぜ裁判以外の解決方法が必要なのか
裁判以外の解決方法を考えるうえでは、「公平さ」と同時に「利用しやすさ」という視点も重要です。
法律上は裁判を利用できるとしても、時間や費用、心理的な負担などの理由から、実際には裁判を起こすことが難しい人もいます。
その場合、制度が存在しているだけでは、十分な救済につながらない可能性があります。
そこで、「市民が利用しやすい方法は何か」「問題が大きくなる前に解決できる仕組みはないか」と考えることが必要になります。
行政法では、行政に権限を与えるだけでなく、市民が困ったときにどのように声を上げ、どのように救済を受けられるかという仕組みまで考えることが重要なのです。
「地方自治法」から地域社会を考える
大橋教授が担当する「地方自治法」も、私たちの生活と非常に関係の深い分野です。
地方自治とは、都道府県や市区町村などが、その地域の事情に応じて行政を行う仕組みです。
日本全国のすべての地域に、まったく同じ課題があるわけではありません。人口が増えている地域もあれば、高齢化が進んでいる地域もあります。交通の問題を抱える地域、観光を活性化したい地域、災害対策を強化したい地域など、それぞれ事情は異なります。
そこで、地域の実情をよく知る自治体が一定の権限を持ち、住民と関わりながら課題に対応していくことが重要になります。
地方自治法を学ぶことは、「地域の問題を誰が決めるべきなのか」「国と自治体はどのように役割を分担するべきなのか」「住民の意見をどのように行政に反映させるのか」といった問いを考えることにつながります。
高校生にも身近な行政法のテーマ
行政法というと国や自治体の専門的な制度の話に思えるかもしれませんが、高校生の生活にも関係するテーマは多くあります。
たとえば、通学路の安全対策、地域の公共施設、災害時の避難所、図書館、公園、地域交通なども行政と関わっています。
また、学校の探究活動やボランティア活動を通じて、地域の課題について考えた経験がある人もいるでしょう。
「なぜこの地域ではこの制度があるのだろう」「住民の意見はどのように行政に届くのだろう」「行政の判断に納得できない場合はどうすればよいのだろう」と考えることが、行政法への入り口になります。
大学の法律学では「制度の理由」を考える
大学で行政法を学ぶときには、法律の条文や制度の名称を覚えるだけではありません。
たとえば、「行政の判断に不満がある人には、なぜ異議を申し立てる機会が必要なのか」「裁判と裁判以外の解決方法には、それぞれどのような長所や課題があるのか」といった問いを考えていきます。
また、行政側には社会全体の利益を守る必要がある一方、市民には自分の権利や利益を守ってもらう必要があります。
どちらか一方だけを優先するのではなく、双方の立場から考えながら制度のあり方を検討することが求められます。
高校までの学習では答えを覚えることが多かった人も、大学では「なぜこの制度なのか」「もっとよい方法はないのか」と問いを立てることが重要になります。
推薦入試を考える高校生が意識したいこと
上智大学法学部法律学科の推薦入試を考えている人は、行政法について難しい専門知識を持っていることよりも、自分の身近な社会に関心を持ち、そこから問いを見つけることを意識してみましょう。
たとえば、次のような経験や疑問が出発点になります。
- 地域のまちづくりやボランティア活動に参加し、行政と住民の関係に興味を持った
- 身近な行政サービスを利用して、制度がどのように決められているのか疑問を持った
- 行政の判断に納得できない人は、どのような方法で意見を伝えられるのか気になった
- 裁判だけではなく、話し合いによって問題を解決する方法に関心を持った
大切なのは、最初から専門的な結論を持っていることではありません。
「なぜこの仕組みになっているのだろう」と感じたところから調べ始め、行政側と市民側など異なる立場から考えてみることが、大学での学びにつながります。
志望理由では身近な問題意識から始める
提出書類や面接で問われる志望理由を考える際には、「大橋教授が行政法を研究しているから志望する」という説明だけで終わらないことが大切です。
まずは、自分自身が行政や地域社会についてどのような疑問を持ったのかを振り返ってみてください。
たとえば、地域のボランティア活動を通じて、高齢者の移動手段の不足という課題に気づいたとします。そこから「自治体は地域の課題にどこまで対応できるのか」「住民の意見を行政に反映させるにはどのような仕組みが必要なのか」と関心を広げることができます。
あるいは、ニュースをきっかけに行政と市民の間の争いに関心を持ち、「裁判以外にも解決する方法があるのではないか」と考えた経験も、行政救済法への関心につながります。
自分の経験、そこから生まれた疑問、大学で学びたい内容を丁寧につなげて考えることで、自分らしい志望理由をまとめやすくなります。
身の回りの制度に「なぜ?」を向けてみよう
行政と私たちの生活は、思っている以上に密接につながっています。
普段何気なく利用している公共施設や行政サービスも、「誰がどのような根拠で決めているのか」「困ったときにはどのような方法で意見を伝えられるのか」と考えてみると、法律学のテーマとして見えてきます。
さらに、問題が起きたときに「裁判で決めればよい」と考えるだけではなく、当事者にとってより納得しやすい解決方法はないのかと考えることも大切です。
日常の中にある制度を当たり前のものとして受け入れるのではなく、「なぜこうなっているのだろう」と少し立ち止まって考えることが、行政法への興味を深める第一歩になります。
まとめ
大橋真由美教授が研究する行政救済法や裁判以外の紛争解決というテーマは、行政と市民との関係を考えるうえで重要な分野です。
行政には社会を支えるための大きな役割がありますが、その判断に納得できない人がいたとき、どのように意見を伝え、どのように問題を解決するのかという仕組みも欠かせません。
また、裁判だけではなく、話し合いや調整などを通じて柔軟に問題を解決する方法を考えることも、現代社会における法律学の大切な視点です。
上智大学法学部法律学科を志望している人は、自分の住んでいる地域や身近な行政サービスにも目を向けてみてください。「なぜこの制度があるのか」「行政と住民はどのような関係が望ましいのか」と考えるところから、行政法の学びは始まります。
提出書類や面接に向けて、自分の経験と法律学への関心をどのように結びつければよいのか、一人で整理することが難しい場合は、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。今後、教員情報、授業内容、入試制度等が変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
KOSSUN教育ラボでは、上智大学の推薦入試対策に特化した
上智大学合格プロジェクト
を完全定員制(先着10名限定)にて設け、専門性の高い個別サポートを行っています。
限られた時間の中でも本気で上智大学合格を掴み取りたい方は、今すぐ 無料個別相談会 にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


