上智大学 経済学部 経営学科|具滋承教授に学ぶ「経営戦略」とM&A・グローバル経営

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、
「上智大学 経済学部 経営学科・具滋承教授の研究から考える、経営戦略とM&A・グローバル経営」です。

ニュースを見ていると、「企業が海外市場に進出した」「大手企業が別の企業を買収した」といった話題を目にすることがあります。こうした企業の動きは突然決まっているわけではなく、その背景には「これから企業をどのように成長させるのか」という経営戦略があります。

上智大学経済学部経営学科の具滋承教授は、経営戦略・国際経営を研究分野とし、経営戦略を軸にM&A、イノベーション、グローバル経営などについて研究しています。2026年4月から上智大学経済学部経営学科の教授を務めていることも、大学公式の教員教育研究情報データベースで確認できます。


経営戦略とは企業の「進む方向」を考えること

経営戦略とは、企業が持っている人材、お金、技術、ブランドなどの限られた資源をどのように活用し、どの方向に進んでいくのかを考える分野です。

例えば、ある食品メーカーが成長を目指しているとします。新しい商品を開発する方法もあれば、海外市場へ進出する方法もあります。インターネット販売を強化する方法や、別の企業と協力する方法も考えられるでしょう。

重要なのは、「売上を増やしたい」という目標だけでは戦略にならないことです。「なぜその市場を選ぶのか」「自社の強みは何なのか」「競合企業とどのように違いをつくるのか」といった問いを重ねながら、具体的な方向を考えていきます。

具教授は、こうした経営戦略を中心として、M&Aやイノベーション、グローバル経営を研究しています。上智大学経済学部では、担当科目として経営学概論Ⅰ、経営戦略論Ⅰ・Ⅱ、経営データ分析入門、MANAGEMENT OF MULTINATIONAL ENTERPRISESなどが掲載されています。


M&Aはなぜ企業の戦略になるのか

M&Aとは、企業の合併や買収を指す言葉です。企業が別の企業と一緒になったり、事業や企業そのものを取得したりすることで、新しい技術や顧客、販売網などを手に入れることがあります。

例えば、自社には優れた商品開発力があるものの、海外で販売する仕組みが十分にない企業があるとします。その企業が、海外に強い販売網を持つ会社と一緒になることで、自社だけで一から海外展開する場合とは違った成長の可能性が生まれるかもしれません。

ただし、企業同士が一緒になれば必ず成功するわけではありません。企業文化や仕事の進め方が違えば、社員同士の協力がうまくいかないことも考えられます。具教授の研究キーワードにも、M&Aに加えて「Post merger integration」が挙げられています。これはM&A後に企業や組織をどのように統合していくかという問題に関わる考え方です。

「買収すれば終わり」ではなく、その後に二つの組織をどのようにつなぎ、新しい価値を生み出すのかまで考える必要があるところに、M&A研究の奥深さがあります。


イノベーションは「新しい発明」だけではない

具教授の研究テーマにはイノベーションも含まれています。

イノベーションというと、AIやロボットなど画期的な技術を発明することを想像するかもしれません。しかし、経営を考えるうえでは、新しい商品だけでなく、新しいサービス、新しい販売方法、新しい組織の仕組みなどによって価値を生み出すことも重要です。

高校生活で考えてみましょう。部活動で毎年同じ練習方法を続けていたものの、課題を分析して新しい練習方法を導入した結果、チーム全体の動きが良くなったとします。規模は違いますが、「今までの方法を見直し、新しい方法によって価値を生み出す」という点では、イノベーションを考える入り口になります。

大切なのは、新しいことをすること自体ではありません。「なぜ変える必要があるのか」「誰にどのような価値が生まれるのか」と考えることです。


グローバル経営では「海外に進出すれば成功」ではない

具教授のもう一つの専門分野が国際経営です。大学公式情報でも、グローバル経営に関する研究が研究分野として明記されています。

企業が海外に進出するとき、日本で成功した商品や経営方法をそのまま持っていけばよいとは限りません。国や地域によって文化、法律、消費者の価値観、働き方などが異なるからです。

例えば、日本では受け入れられている商品のデザインや広告表現でも、別の文化圏では違った意味で受け取られることがあります。反対に、現地に合わせすぎれば、企業がもともと持っていた強みを失ってしまう可能性もあります。

「世界共通にしたほうがよい部分は何か」「現地に合わせるべき部分は何か」という問いに、一つの正解はありません。複数の立場や条件を比較しながら判断することが、グローバル経営の重要なテーマになります。


大学では成功企業の答えを暗記するのではない

経営戦略を学ぶというと、有名企業の成功事例をたくさん覚えることだと思うかもしれません。しかし、大学で大切なのは「この企業はこの戦略で成功した」という結果だけではありません。

「なぜその企業ではその戦略が機能したのか」「同じ方法を別の企業が使ったら成功するのか」「市場環境が違えば結果はどう変わるのか」と考えていきます。

例えば、ある企業の海外進出が成功したとしても、その背景にはブランド力、現地企業との協力関係、市場に参入した時期など、複数の理由があるかもしれません。一つの原因だけで説明せず、データや事例、理論を使って検討していくことが大学での経営学の学びです。

高校までの学習に比べて、「正しい答えを覚える」だけでなく、「自分ならどのように説明するか」「別の可能性はないか」と考える機会が増えていきます。


推薦入試に向けて企業ニュースから問いをつくってみよう

上智大学経済学部経営学科の推薦入試を考えている人も、最初から経営戦略の専門知識をすべて理解している必要はありません。まずは、ニュースや身近な経験の中から疑問を見つけてみてください。

例えば、「なぜ有名企業が別の企業を買収するのだろう」「日本企業が海外企業を買収した後、社員はどのように一緒に働くのだろう」「海外で成功する企業と苦戦する企業にはどんな違いがあるのだろう」といった問いがあります。

文化祭や部活動の経験から考えることもできます。新しい企画を提案したものの周囲の賛同を得られなかった経験があれば、「良いアイデアだけではなぜ組織は動かないのか」という問いにつながるかもしれません。

出願書類や面接で問われる志望理由を考える際も、「企業経営に興味があります」で終わらせず、「何を見て疑問を感じたのか」「その問題をどのような視点から考えてきたのか」「大学でさらに何を学びたいのか」と一段ずつ深めてみてください。


企業の決断を「なぜ?」という視点で見てみよう

経営戦略の面白さは、ニュースで報じられる企業の行動を、その結果だけではなく「なぜその選択をしたのか」という視点から考えられるところにあります。

M&Aにも海外進出にも、新規事業への挑戦にも、メリットだけでなくリスクがあります。経営者、社員、顧客、取引先、株主など、立場によって望ましい選択が異なる場合もあります。

だからこそ、「企業にとって良い戦略なのか」だけではなく、「社員から見たらどうか」「顧客にはどのような影響があるか」「社会全体ではどうだろう」と視点を広げることが大切です。他者の意見を知り、自分の考えを見直しながら問いを深める経験も、経営学への理解につながります。

これから企業のM&Aや海外進出に関するニュースを見たら、「なぜこの会社は今、この決断をしたのだろう」と考えてみてください。その小さな疑問が、経営戦略という学問を知る入口になるかもしれません。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト、上智大学経済学部公式サイト、上智学院教員教育研究情報データベース等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。教員の所属、研究分野、担当科目、カリキュラム、入試制度などは今後変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。