
上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|Marra Pasquale特任助教のトポロジカル量子現象研究とは
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 機能創造理工学科のMarra Pasquale特任助教と、トポロジカル量子現象・超伝導の研究」です。
量子力学という言葉を聞くと、「難しそう」「高校の物理とはまったく違う世界なのでは」と感じる人もいるかもしれません。しかし、私たちが使う電子機器や半導体などの背景には、原子や電子の世界を扱う量子力学があります。Marra Pasquale特任助教は、その量子の世界で現れる特殊な物質の性質を理論的に研究しています。
Marra Pasquale特任助教はどんな研究者?

Marra Pasquale特任助教は、上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属しています。上智大学公式サイトでは、主な研究テーマとして、トポロジカル量子現象、トポロジカル物質、トポロジカル超伝導、高温超伝導、物質中のマヨラナ粒子、光格子中の冷却原子気体、超対称性、ナノワイヤ、準周期性などが紹介されています。
イタリアのUniversity of Salernoで物理学の修士号を取得し、ドイツのTechnische Universität DresdenでPhDを取得しています。その後、イタリアの研究機関、理化学研究所、慶應義塾大学、東京大学などで研究に携わり、2025年から上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属しています。
国や研究機関を越えて物理学の研究を続けてきた研究者であり、現在も量子物質を中心とした理論研究に取り組んでいます。
「トポロジカル」とは何だろう?
Marra特任助教の研究を理解するうえで重要な言葉が「トポロジカル」です。
トポロジーとは、ものの形を連続的に変化させても変わらない性質などに注目する数学的な考え方です。現代の物理学では、この考え方が物質の性質を理解するためにも使われています。
その代表的な研究対象が「トポロジカル物質」です。物質の内部や表面などで現れる電子の特殊な振る舞いを、トポロジーという視点から理解しようとします。
高校では、電流や電磁気、原子などについて学びます。大学ではさらに量子力学や物性物理学を学び、「物質の中で電子はどのように振る舞うのか」「その振る舞いによって、なぜ特殊な性質が生まれるのか」といった問いへ進んでいきます。
トポロジカル超伝導とマヨラナ粒子
Marra特任助教が研究しているテーマの一つが、トポロジカル超伝導とマヨラナ粒子です。
超伝導とは、特定の物質を低温にすることで電気抵抗がなくなるなど、通常とは異なる性質が現れる現象です。Marra特任助教は、その中でもトポロジカルな性質を持つ超伝導状態について研究しています。
この研究で注目されているのが「マヨラナ束縛状態」です。上智大学の公式研究紹介でも、Marra特任助教の近年の研究対象として、トポロジカル超伝導体におけるマヨラナ束縛状態が挙げられています。
マヨラナ状態は、トポロジカル量子計算との関係でも研究されているテーマです。Marra特任助教自身も「Majorana nanowires for topological quantum computation」という研究論文を発表しています。
ただし、こうした研究を「すぐに新しい量子コンピュータが完成する研究」と考えるのは適切ではありません。まず量子状態がどのような条件で現れ、どのような性質を持つのかを理論的に明らかにすることが、将来の量子技術を考えるための基礎になります。
ナノワイヤや冷却原子から量子現象を考える
Marra特任助教の研究には「ナノワイヤ」や「光格子中の冷却原子気体」というキーワードもあります。
ナノワイヤとは、ナノメートルという非常に小さなスケールの細い構造です。このような小さな世界では、私たちが日常生活で経験する物体とは異なり、量子力学的な性質が重要になります。
また、光格子とはレーザー光などによって原子を周期的な構造の中に配置する仕組みです。非常に低い温度まで冷却した原子を使うことで、量子力学的な現象を研究することができます。
Marra特任助教は、空間的に変化する場によって量子ナノ構造や光格子中の冷却原子にトポロジカル相がどのように現れるのかについても研究しています。
「新しい物質をつくる」だけではなく、数理的なモデルを使って、どのような条件なら新しい量子状態が現れるのかを考えるところに理論物理学の面白さがあります。
高校の数学・物理が理論物理学につながる

こうした研究では、高度な数学や量子力学が使われます。しかし、その出発点には高校で学ぶ数学や物理があります。
たとえば、関数を使って変化を表すこと、微分・積分によって現象の変化を考えること、ベクトルを使って方向を含む量を扱うことは、大学の物理学でも重要です。高校物理で学ぶ波、電磁気、原子なども、量子物理を理解するための土台になります。
大切なのは、「数学が得意だから理論物理学に向いている」と単純に考えることではありません。数式を使って「なぜこの現象が起こるのか」を説明したいという好奇心も、物理学を学ぶ大きな動機になります。
機能創造理工学科で学ぶ物理学
上智大学 理工学部 機能創造理工学科は、新しい物理現象の発見やその応用可能性を考えながら、理学と工学を融合した学びを進める学科です。
機械、電気・電子、物理などの領域を横断して学べることも特徴で、量子力学や低温・超伝導物性、量子情報に関係する科目も用意されています。
Marra特任助教の研究は、その中でも物理学の基礎に深く関係する分野です。「新しい物理現象はなぜ生まれるのか」という理学的な問いと、「その性質は将来どのような技術につながる可能性があるのか」という工学的な視点が接する研究領域ともいえます。
推薦入試では「量子に興味がある」の先を考えよう
上智大学 理工学部 機能創造理工学科の推薦入試を考えている人の中には、量子コンピュータや半導体、超伝導などのニュースをきっかけに量子物理へ興味を持った人もいるでしょう。
その場合、「量子コンピュータに興味があります」で終わらせず、「なぜ従来のコンピュータとは違う計算が考えられているのか」「超伝導と量子技術にはどのような関係があるのか」「物質の中で特殊な量子状態はどうやって生まれるのか」など、自分なりの疑問を一つ見つけてみましょう。
高校生の段階でトポロジカル物性や量子力学を完全に理解する必要はありません。分からない言葉に出会ったときに調べ、さらに新しい疑問を見つけていくことが、大学で学びたいことを考えるきっかけになります。
「目に見えない世界」への疑問を深めてみよう

Marra Pasquale特任助教の研究は、トポロジカル物質、超伝導、マヨラナ状態、冷却原子など、日常生活では直接見ることのできない量子の世界を理論的に理解しようとする研究です。
高校で学んでいる数学や物理も、その先にはこうした最先端の研究へつながっています。「なぜ物質にはさまざまな性質があるのだろう」「電子は物質の中でどのように動いているのだろう」といった疑問から、まずは気になるテーマを一つ調べてみてください。
その過程で、自分の興味と上智大学 理工学部 機能創造理工学科での学びとの接点も見えてくるかもしれません。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


