上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|平野哲文教授のクォーク・グルーオン・プラズマ研究

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 機能創造理工学科の平野哲文教授と、宇宙初期の物質に迫るクォーク・グルーオン・プラズマの研究」です。

「宇宙はどのように始まったのだろう」「物質をどんどん小さくしていくと、最後は何になるのだろう」。そんな疑問を持ったことはありませんか。上智大学 理工学部 機能創造理工学科では、機械や電気・電子などの工学だけでなく、物質や宇宙の根本に迫る物理学の研究も行われています。

今回は、コンピュータシミュレーションを使って宇宙初期の物質を研究する平野哲文教授の研究内容を、高校生にもイメージしやすいように紹介します。


平野哲文教授はどんな研究者?

上智大学の公式情報によると、平野哲文教授は上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属し、ハドロン物理学に関する理論的研究に取り組んでいます。早稲田大学理工学部を卒業後、同大学院理工学研究科博士後期課程を修了し、博士(理学)を取得しています。その後、理化学研究所理研BNL研究センター、コロンビア大学、東京大学などで研究・教育に携わり、2011年から上智大学で研究を続けています。

現在の平野研究室で中心的に研究されているのが、「クォーク・グルーオン・プラズマ」です。名前だけを見ると難しく感じますが、これは私たちの身の回りの物質と宇宙の始まりを考えるうえで重要な存在です。


クォーク・グルーオン・プラズマとは?

私たちの身の回りにある物質は原子からできています。そして原子には原子核があり、その中には陽子や中性子があります。さらに陽子や中性子の内部には、「クォーク」と呼ばれる素粒子が存在します。

上智大学の平野研究室の紹介によると、宇宙が誕生してわずか10マイクロ秒ほど後には、「クォーク・グルーオン・プラズマ」と呼ばれる原始物質が宇宙を満たしていたと考えられています。非常に高い温度では、クォークやグルーオンが陽子や中性子の内部に閉じ込められた通常の状態とは異なる状態になるのです。

現在の宇宙をそのまま138億年前に戻すことはできません。しかし、地球上の大型加速器を使って原子核同士を光速に近い速さまで加速し、衝突させることで、この極端な状態をほんの一瞬つくり出すことができます。

つまり、非常に小さな素粒子の研究が、非常に大きな宇宙の歴史を理解することにつながっています。


コンピュータで「宇宙初期」を再現する

平野研究室の大きな特徴の一つが、理論とコンピュータシミュレーションを使ってクォーク・グルーオン・プラズマを研究していることです。

原子核同士を衝突させたとき、内部で何が起きているのかを直接目で見ることはできません。そこで、実験によって得られたデータと物理学の理論を結びつけ、コンピュータ上で衝突後の状態を再現します。

平野研究室では、アインシュタインの相対性理論を組み込んだ「相対論的流体力学」を中心に、さまざまな方法で高エネルギー原子核衝突反応をシミュレーションしています。流体力学というと、水や空気の流れを思い浮かべるかもしれませんが、極めて高温のクォーク・グルーオン・プラズマにも流体のような振る舞いが現れるため、その性質を調べる重要な手段になります。


2026年にも新たな研究成果を発表

平野教授の研究は現在も進んでいます。上智大学は2026年8月、平野教授らが高エネルギーの酸素原子核同士の衝突によって生じるクォーク・グルーオン物質について、平衡化の度合いを定量的に評価した研究成果を発表しました。

「熱平衡」とは、簡単にいえば、物質を構成する粒子が十分に相互作用し、温度や圧力などが局所的にそろった状態です。クォーク・グルーオン・プラズマを流体として理解するうえでも重要な考え方です。

こうした研究からも分かるように、「宇宙の始まりを研究する」といっても、ただ宇宙を眺めるわけではありません。原子核衝突のデータ、数理的な理論、コンピュータによる計算を組み合わせながら、目に見えない現象を一つずつ明らかにしていきます。


高校の数学・物理はどうつながる?

高校で物理を勉強していると、公式を覚えて問題を解くことに意識が向きがちです。しかし大学では、その公式や考え方を使って、まだ答えの分かっていない現象を説明することが研究につながります。

たとえば高校物理で学ぶ運動やエネルギー、波などの考え方は、より高度な数学や物理学を学ぶための土台になります。高校数学で学ぶ関数、微分・積分、ベクトルなども、物理現象を数式で表現するために重要です。

さらに平野研究室の公式紹介では、研究活動の一つとして「データ解析プログラミングの作成」も紹介されています。現代の理論物理学では、紙と鉛筆だけで計算するのではなく、コンピュータを使って大量の計算やデータ解析を行う場面もあります。

数学、物理、情報がそれぞれ独立しているのではなく、一つの研究課題の中で結びついていくことが分かります。


機能創造理工学科だから見える物理学の広がり

上智大学の公式サイトでは、上智大学 理工学部 機能創造理工学科について、機械工学、電気・電子工学、物理学の3分野を軸に、理学と工学を融合的に学ぶ学科と説明しています。

そのため、「機能創造理工学科=ものづくりをする学科」とだけ考えると、学科の幅広さを十分に捉えられません。平野教授のように、宇宙や物質の根本原理を探究する基礎物理学の研究も行われています。

新しい技術を生み出すことだけが理工学ではありません。「そもそも自然界はどのような法則で成り立っているのか」という問いを深く追究することも、理工学の重要な役割です。


高校生活の「素朴な疑問」から考えてみよう

平野教授は2026年度に上智大学理工学部が実施した高校生向けの特別体験授業でも、「宇宙に果てはあるのかな?」「モノを小さくしていけばどこまでいけるのかな?」といった素朴な疑問を入口に、宇宙初期の物質について紹介しています。

推薦入試を考えるときにも、この「なぜ?」を大切にしてみてください。

たとえば、「宇宙が好きです」から始まっても構いません。そこから「宇宙の始まりはどのような状態だったのか」「なぜ地球上の原子核衝突から初期宇宙を研究できるのか」「目に見えない素粒子の性質をどうやって調べるのか」と疑問を具体化すると、自分が本当に知りたいことが見えてきます。

高校生の段階でクォーク・グルーオン・プラズマについて高度な計算ができる必要はありません。まずは興味を持った現象について調べ、分からないことを見つけ、さらに問いを深めていくことが大学での研究につながっていきます。


推薦入試に向けて研究室を調べるポイント

上智大学 理工学部 機能創造理工学科の推薦入試を考えている人は、教員名や研究テーマを覚えるだけで終わらせず、自分の興味との接点を考えてみましょう。

「平野教授がQGPを研究しているので興味があります」だけではなく、「自分はどんな経験から宇宙や物質の起源に関心を持ったのか」「高校の数学や物理を学んで、どんな疑問が生まれたのか」「上智大学でさらに何を学んでみたいのか」と順番に整理すると、自分自身の言葉になっていきます。

研究テーマを高校生の段階で完全に決める必要はありません。出願書類や面接に向けて考える際には、研究内容を借り物の言葉で説明するのではなく、自分が「面白い」と感じた理由を掘り下げてみることが大切です。


宇宙への疑問を大学での学びにつなげよう

平野哲文教授の研究は、クォークやグルーオンという極めて小さな世界を調べることで、138億年前の宇宙の姿へ迫ろうとする研究です。そこでは物理学だけでなく、数学、コンピュータシミュレーション、データ解析などさまざまな知識や方法が結びついています。

「宇宙はどう始まったのだろう」という素朴な疑問も、突き詰めれば大学の研究テーマになります。身近な疑問や授業中に感じた「なぜ?」をそのままにせず、一度自分で調べてみてください。その過程で、上智大学 理工学部 機能創造理工学科で学びたいことも、少しずつ具体的になっていくはずです。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。