上智大学法学部地球環境法学科|梅村悠教授に学ぶ「商法」とESG・企業のサステナビリティ

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、「上智大学法学部地球環境法学科・梅村悠教授の研究から考える、商法とESG・企業のサステナビリティ」です。


上智大学法学部地球環境法学科で学ぶ「商法」とは

上智大学法学部地球環境法学科には、商法・企業環境法を専門とする梅村悠教授がいらっしゃいます。梅村教授は、ESGをはじめとする企業を取り巻く環境・社会・ガバナンスの課題について、商法、つまり企業法の立場から研究されています。授業では「会社法Ⅱ」「保険法」「環境法入門」などを担当されています。

商法というと、高校生のみなさんには少し馴染みが薄いかもしれません。簡単にいえば、会社がどのような仕組みで成り立ち、誰がどのように意思決定をし、どのような責任を負うのかを考える法律の分野です。

企業は、私たちが利用する商品やサービスを生み出す大きな存在です。その企業がどのようなルールで動くのかを考えることは、社会そのものの仕組みを考えることにもつながります。


近年注目される「ESG」とは何か

ESGとは、EのEnvironment、SのSocial、GのGovernanceの頭文字を取った言葉です。日本語では、環境、社会、企業統治といった意味で使われます。

従来、企業は利益を上げることが大きな目的と考えられてきました。しかし現在では、利益だけでなく、環境への影響、働く人への配慮、人権、地域社会との関係、経営の透明性などにも責任を持つべきだという考え方が広がっています。

たとえば、二酸化炭素の排出量を減らす取り組み、働きやすい職場づくり、取引先での人権への配慮、不正を防ぐ経営体制などもESGに関係します。

普段商品を選ぶときに、「環境に配慮した商品だから選びたい」「フェアトレードの商品を買いたい」と考えることも、企業のESGへの取り組みとつながっています。


企業は利益だけを追求すればよいのか

企業活動について考えるとき、大きな問いになるのが「企業は誰のために存在するのか」という問題です。

企業には株主がいます。商品やサービスを利用する消費者もいます。そこで働く従業員や、取引先、地域社会なども企業活動の影響を受けます。

短期的な利益を最大化することだけを重視すると、環境への負担や労働環境などが後回しになる可能性があります。一方で、社会貢献だけを重視して経営が成り立たなくなれば、企業そのものを続けることができません。

利益を確保しながら、環境や社会への責任も果たすにはどうすればよいのか。このバランスを考えることが、企業のサステナビリティを考えるうえで重要になります。


「企業統治」はなぜ必要なのか

ESGのGにあたるガバナンスは、「企業統治」と訳されることがあります。

企業は規模が大きくなるほど、多くの人や社会に影響を与えます。そのため、経営者だけが自由に判断すればよいとは限りません。

会社の重要な意思決定を誰が行うのか、その判断を誰がチェックするのか、不正が起きた場合にどのような責任を取るのかといった仕組みが必要になります。

たとえば、利益を増やすために環境への影響を隠したり、安全性に問題がある商品を販売したりすれば、消費者だけでなく企業自身の信用にも大きな影響が出ます。

適切な企業統治の仕組みを整えることは、不正を防ぐだけでなく、企業が長期的に社会から信頼されるためにも重要です。


商法から環境問題を考えるという視点

環境問題というと、排出規制や自然保護などを扱う環境法を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、環境問題を企業の内部から変えていくという方法もあります。

たとえば企業の経営者が、短期的な利益だけでなく、将来の環境への影響まで考慮して意思決定する仕組みをつくることができれば、企業活動そのものが変化する可能性があります。

また、株主や投資家が環境への取り組みを企業に求めれば、経営方針に影響を与えることもあります。

このように、環境問題を「外から規制する」だけではなく、「企業の意思決定の仕組みをどう変えるか」という視点から考えることが、商法や企業環境法の興味深いところです。


企業のサステナビリティとは何だろう

サステナビリティは「持続可能性」と訳されます。企業について考える場合には、短期的に利益を出すだけではなく、将来にわたって社会と共存しながら事業を続けられるかという視点が重要になります。

たとえば、資源を大量に使い続けることで利益を出している企業があったとしても、その資源が将来なくなれば事業を継続できません。

また、労働環境が悪く人材が定着しない企業や、環境問題を繰り返し起こして社会から信用を失った企業も、長期的に成長することは難しくなります。

そのため、環境、働く人、取引先、地域社会などとの関係を考えることは、企業にとって単なる社会貢献ではなく、自分たちが長く事業を続けるための課題でもあります。


環境に良い商品を作るだけでは十分ではない

企業の環境への取り組みについて考えると、「環境に優しい商品を作ればよい」と思うかもしれません。しかし、それだけで企業全体が持続可能になるとは限りません。

商品の生産過程で大量のエネルギーを使用していないか、原材料はどのように調達されているのか、働く人の権利は守られているのかなど、商品が消費者に届くまでにはさまざまな問題があります。

そのため、企業の一部の取り組みだけを見るのではなく、経営全体としてどのような方針を持っているのかを考えることが必要です。

ESGという考え方は、環境問題だけを切り離すのではなく、社会や企業統治と結びつけながら企業活動全体を見ようとする点に特徴があります。


法律は企業の行動をどう変えられるのか

企業に環境への配慮を求める方法には、さまざまなものがあります。

一定の行為を法律で禁止したり、基準を設けたりする方法もあります。一方で、企業に環境や社会への取り組みに関する情報を公表させ、消費者や投資家がそれを見て企業を評価できるようにする方法も考えられます。

どのようなルールを設ければ企業がより良い行動を取るようになるのか、逆に規制が厳しすぎることで企業活動を必要以上に妨げることはないかという点も検討しなければなりません。

法律を使って企業の行動を変えるときには、目的だけでなく、実際にどのような影響が生じるのかまで考える必要があります。


身近な商品から企業の姿勢を考えてみる

商法やESGに興味を持つために、特別な企業研究をするところから始める必要はありません。普段購入している商品からでも、さまざまな問いを見つけることができます。

たとえば、商品に「環境に配慮しています」と書かれていたら、「具体的に何に配慮しているのだろう」と調べてみることができます。

企業のホームページでサステナビリティに関する情報を見て、どのような目標を掲げているのかを比較するのも一つの方法です。

また、「環境に良いことを宣伝しているけれど、本当に実態が伴っているのだろうか」という疑問を持つことも重要です。

企業が発信する情報をそのまま受け取るのではなく、その背景にある仕組みやルールまで考えることで、商法や企業環境法への理解が深まります。


大学では法律・経済・環境を横断して考える

梅村教授の研究テーマの特徴は、商法という法律分野から環境や社会の問題を考えていることです。

環境問題を解決するためには、自然科学の知識だけでなく、企業がなぜその行動を取るのかという経済的な視点や、行動を変えるための法律制度も必要になります。

たとえば、環境に良い技術が開発されても、導入費用が非常に高ければ企業が採用しない可能性があります。その場合、補助制度をつくるのか、一定の規制を設けるのか、投資家や消費者から企業の行動を促すのかなど、複数の方法が考えられます。

一つの専門分野だけで問題を考えるのではなく、法律、企業経営、経済、環境を結びつけて考えることが、地球環境法学科の学びにもつながります。


推薦入試を考える高校生が意識したい視点

上智大学法学部地球環境法学科の推薦入試を考えている人は、ESGという言葉の意味を覚えるだけでなく、企業と環境の関係について自分なりの問いを持つことを意識してみてください。

  • 企業は利益と環境保護をどのように両立するべきなのか考えてみたいと思った
  • 環境に配慮した商品を見て、企業がその取り組みを行う理由に関心を持った
  • 企業が発信する環境への取り組みが本当に実行されているのか疑問を持った
  • 法律によって企業の環境への行動をどこまで求めるべきなのか興味を持った

こうした問題では、環境を守る側だけではなく、企業、消費者、投資家、従業員など、さまざまな立場から考えてみることが大切です。

「企業は環境を守るべきだ」と結論を出すだけではなく、「どうすれば実際に企業が行動を変えられるのか」というところまで問いを深めてみましょう。


志望理由では「環境に興味がある」から一歩深める

提出書類や面接で問われる志望理由を考える際には、「環境問題に興味があります」「ESGを学びたいです」という説明だけで終わらないようにすることが大切です。

まずは、自分がどのような出来事をきっかけに企業と環境の関係に疑問を持ったのかを振り返ってみましょう。

たとえば、環境に配慮した商品を購入したことをきっかけに、「なぜこの企業は環境対策に力を入れているのだろう」と調べたとします。

そこから、環境対策が企業のブランドや投資家からの評価、経営戦略にも関係していることを知り、「企業が環境問題に継続的に取り組むためには、どのような法制度や企業統治が必要なのかを学びたい」と考えることができれば、問題意識が具体的になります。

自分の経験から始まり、企業活動の仕組み、さらに法律による解決へと関心を広げることがポイントです。


普段の商品や企業ニュースを違う視点から見てみよう

商法やESGへの関心を深めるためには、身近な企業のニュースを意識して見ることもおすすめです。

企業が環境目標を発表したときには、「なぜこの目標を掲げたのだろう」と考えてみる。企業の不祥事が報道されたときには、「社内で問題を防ぐ仕組みはなかったのだろうか」と考えてみる。

また、企業のサステナビリティに関する情報を複数比較すると、業種によって抱える課題が異なることにも気づけます。

普段何気なく利用している商品やサービスの裏側にある企業の意思決定に目を向けることで、商法やESGというテーマがより身近になります。


まとめ

梅村悠教授が研究されている商法・企業環境法とESGの問題は、「企業が利益を上げながら、環境や社会への責任をどのように果たすのか」という現代的なテーマにつながっています。

ESGでは、環境だけでなく、社会への責任や企業統治も含めて企業活動を考えます。環境に良い商品を作るだけではなく、会社の意思決定そのものをどのように変えていくかという視点が重要です。

また、企業のサステナビリティを考えることは、社会貢献だけではなく、企業自身が長期的に事業を続けるためにどのような仕組みが必要なのかを考えることでもあります。

上智大学法学部地球環境法学科を志望している人は、身近な商品や企業のニュースを見たときに、「この企業はなぜこの取り組みをしているのだろう」「法律や会社の仕組みは企業の行動をどう変えられるのだろう」と考えてみてください。

その疑問を少しずつ深めることが、商法や企業環境法への理解を広げ、自分が大学で学びたいテーマを見つけるきっかけになります。

提出書類や面接に向けて、自分の経験と環境法・企業法への関心をどのように結びつければよいのか、一人で整理することが難しい場合は、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。今後、教員情報、授業内容、入試制度等が変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


KOSSUN教育ラボでは、上智大学の推薦入試対策に特化した 上智大学合格プロジェクト を完全定員制(先着10名限定)にて設け、専門性の高い個別サポートを行っています。


限られた時間の中でも本気で上智大学合格を掴み取りたい方は、今すぐ 無料個別相談会 にお申し込みください。



※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。