上智大学法学部国際関係法学科|石井由梨佳教授に学ぶ「国際法」と海洋・宇宙・サイバー空間のルール

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、「上智大学法学部国際関係法学科・石井由梨佳教授の研究から考える、国際法と海洋・宇宙・サイバー空間のルール」です。


上智大学法学部国際関係法学科で学ぶ「国際法」とは

上智大学法学部国際関係法学科には、国際法を専門とする石井由梨佳教授がいらっしゃいます。石井教授は、管轄権理論、国際紛争解決、越境犯罪、海洋法、宇宙法など、幅広いテーマで研究に取り組まれています。授業では「国際法総論」などを担当されています。

「国際法」と聞くと、国と国との間で交わされる難しい約束事という印象を持つ人もいるかもしれません。しかし実際には、私たちの生活にもさまざまな形で関わっています。

たとえば、海外旅行で必要になるパスポートやビザ、国際線の飛行機がどの国の上空を通ることができるのか、国境を越えた犯罪をどの国が捜査するのかといった問題にも、国際的なルールが関係しています。

国際法を学ぶことは、一つの国の法律だけでは解決できない問題について、国際社会がどのようなルールをつくり、協力しているのかを考えることでもあります。


国際法では「どの国が判断するのか」を考える

石井教授の研究テーマの一つに「管轄権」があります。

管轄権とは、簡単にいえば、ある出来事について「どの国が法律を適用したり、取り締まったり、裁判を行ったりできるのか」を考える問題です。

日本国内だけで起きた事件であれば、日本の法律を適用するというイメージを持ちやすいでしょう。しかし、インターネットを通じた犯罪や国際的な取引のように、複数の国が関係する場合は事情が複雑になります。

たとえば、日本にいる人が海外からサイバー攻撃を受けた場合、どの国が捜査するのでしょうか。攻撃した人がいる国、被害が生じた国、利用されたサーバーが置かれている国など、複数の国が関係する可能性があります。

このような場面で、それぞれの国がどこまで権限を行使できるのかを整理することが、国際法の重要な課題の一つです。


「海洋法」は海を誰がどこまで利用できるかを考える

石井教授が研究されている海洋法も、国際法の重要な分野です。

海は一つの国だけが自由に使える空間ではありません。沿岸国が一定の権利を持つ海域もあれば、複数の国が利用する海域もあります。

そこで、「どこまでがその国の権限の及ぶ範囲なのか」「海の資源を誰が利用できるのか」「船はどこを航行できるのか」といった問題について国際的なルールが必要になります。

特に海には、漁業資源や海底資源など、多くの国が利用したい資源があります。一つの国だけが自由に利用すれば、他国との対立につながる可能性があります。

また、海洋環境の保護も重要な問題です。海洋汚染は国境で止まるものではないため、一つの国だけで対策しても十分ではありません。

海をめぐる問題からは、「自国の利益」と「国際社会全体の利益」をどのように両立させるのかという、国際法の大きなテーマが見えてきます。


宇宙にも法律は必要なのか

石井教授の研究分野には「宇宙法」もあります。

宇宙開発というと、ロケットや人工衛星など科学技術の話を思い浮かべるかもしれません。しかし、宇宙利用が広がれば、そこにも法律上の問題が生まれます。

たとえば、人工衛星をどのように利用するのか、宇宙空間で事故が起きた場合に誰が責任を負うのか、宇宙に残された人工物をどのように扱うのかといった問題です。

特に人工衛星などの活動が増えるにつれて、宇宙空間に残る物体、いわゆるスペースデブリの問題も注目されています。ある国の活動によって生じた物体が、別の国の人工衛星に影響を与える可能性もあります。

宇宙は一つの国だけの空間ではないからこそ、各国がどのようなルールのもとで利用するのかを考える必要があります。


サイバー空間は「どこの国」にあるのか

現代の国際法を考えるうえで、サイバー空間も重要なテーマです。

インターネット上では、国境を意識せずに世界中の人とやり取りできます。その便利さの一方で、「どこの国の法律を適用するのか」という難しい問題が生まれます。

たとえば、海外から日本の企業にサイバー攻撃が行われた場合を考えてみましょう。被害を受けたのは日本ですが、攻撃者が別の国にいる可能性があります。さらに、攻撃に使われたコンピューターが別の国に存在することもあります。

このような場合、一つの国だけで捜査や処罰を完結させることが難しいケースがあります。

だからこそ、国際的な協力や情報共有、各国の権限の調整が必要になります。サイバー空間は目に見えませんが、国際法にとって非常に現代的な問題を含んでいます。


国境を越える犯罪をどう取り締まるのか

石井教授の研究テーマには、国境を越える犯罪に関する問題もあります。

国際的な詐欺、違法な取引、サイバー犯罪などは、一つの国だけで完結しないことがあります。

たとえば、犯人がA国にいて、被害者がB国に住み、犯罪に利用したサービスがC国の企業によって運営されているという場合も考えられます。

このようなとき、「どの国が捜査するのか」「どの国の法律を適用するのか」「犯人が海外にいる場合にどう協力するのか」といった問題が出てきます。

国境を越える犯罪に対応するためには、それぞれの国が自国の法律だけを主張するのではなく、国際的に協力する仕組みをつくることが重要です。


国際紛争はどのように解決するのか

国と国との間で意見が対立した場合、それをどのように解決するのかという問題も国際法の重要なテーマです。

国内で人同士や企業同士が争った場合には、裁判所に判断を求めることができます。しかし国際社会では、一つの国の裁判所がすべての国に命令できるわけではありません。

そのため、話し合いや交渉、国際的な裁判・仲裁など、さまざまな方法を使って紛争解決を目指します。

ここで難しいのは、各国にはそれぞれ自国の立場や利益があるということです。

一方の国だけに有利なルールでは、もう一方の国が受け入れないかもしれません。異なる立場を持つ国々が、どのようなルールに合意し、問題を平和的に解決するのかを考えることが求められます。


国際法では「国境がない場所」のルールを考える

海洋、宇宙、サイバー空間に共通するのは、従来の「国境」だけでは整理しにくい領域だということです。

陸地であれば、日本、フランス、アメリカというように国の領域を比較的イメージしやすいでしょう。しかし海や宇宙、インターネットでは、一つの国だけで問題を完結させることが難しくなります。

そのため、「誰が利用できるのか」「誰が管理するのか」「問題が起きたときに誰が責任を負うのか」というルールを、国際社会で考える必要があります。

技術が進歩すれば、これまで想定していなかった新しい問題も登場します。そのたびに、既存の国際法をどのように適用するのか、新しいルールが必要なのかを検討していくことになります。


大学では一つの国の立場だけで考えない

大学で国際法を学ぶ大きな特徴は、一つの国の視点だけでは問題を考えられないことです。

たとえば海洋資源をめぐる問題では、資源を利用したい国、沿岸に位置する国、環境保護を重視する立場など、さまざまな考え方があります。

サイバー攻撃についても、被害を受けた国だけでなく、捜査に協力する国、企業、個人など、複数の立場が関係します。

大学では、「日本にとって有利かどうか」という視点だけでなく、「相手国はなぜその立場を取るのか」「国際社会全体としてどのようなルールが望ましいのか」と考えていきます。

異なる立場を理解したうえで解決策を考える力は、国際関係法を学ぶうえで欠かせません。


推薦入試を考える高校生が意識したいこと

上智大学法学部国際関係法学科の推薦入試を考えている人は、国際法の用語を覚えることだけでなく、世界で起きている問題について自分なりの問いを持つことを意識してみてください。

  • サイバー攻撃が国境を越えて行われた場合、どの国が取り締まるのか疑問を持った
  • 海洋資源を国々の間でどのように分けるべきなのか関心を持った
  • 宇宙開発が進む中で、宇宙空間のルールは誰が決めるのか気になった
  • 国際的な事件について、一つの国だけで解決できないのはなぜか考えてみたいと思った

こうした問題には、簡単に一つの答えが出ないものもあります。

だからこそ、複数の国の立場や国際社会全体への影響を調べながら、自分なりの考えを深めていくことが大切です。


志望理由では「国際問題に興味がある」から一歩深める

提出書類や面接で問われる志望理由を考える際には、「国際問題に興味があります」「国際法を学びたいです」という説明だけで終わらないようにしましょう。

大切なのは、どのような出来事をきっかけに、どんな疑問を持ったのかを具体的にすることです。

たとえば、海外からのサイバー攻撃について報じるニュースを見て、「インターネットには国境がないのに、どの国が犯人を取り締まるのだろう」と疑問を持ったとします。

そこから調べていく中で、国際法上の管轄権や国際協力に関心を持ち、「国境を越える問題に対して各国がどのようにルールを共有するのかを学びたい」と考えるようになれば、大学での学びにつながる問題意識になります。

また、宇宙開発や海洋問題に関心がある人も、「宇宙が好き」「海が好き」で終わらず、「なぜ国際的なルールが必要なのか」という問いまで掘り下げてみてください。


国際ニュースを「どのルールが関わるのか」という視点で見る

国際法への興味を深めるためには、普段のニュースを見るときにも、少し視点を変えてみることがおすすめです。

国際的な事件について、「どの国が悪いのか」と考えるだけではなく、「どの国に権限があるのか」「どのような国際ルールが存在しているのか」「問題を解決するためにどの国同士が協力する必要があるのか」と考えてみましょう。

海洋問題なら海洋法、宇宙開発なら宇宙法、国境を越えた犯罪なら管轄権や国際協力など、一つのニュースからさまざまな法律上のテーマを見つけることができます。

毎日のニュースを「法律の視点」で見ていくことが、国際法の学びへの第一歩になります。


まとめ

石井由梨佳教授が研究されている管轄権、国際紛争解決、越境犯罪、海洋法、宇宙法などは、国境を越えて広がる現代社会の課題を考えるうえで重要なテーマです。

海洋、宇宙、サイバー空間では、一つの国だけのルールでは問題を解決できないことがあります。だからこそ、複数の国がどのように権限を分け、共通のルールをつくり、協力するのかを考える必要があります。

また、技術や社会が変化すれば、新しい法律問題も生まれます。既存の国際法をどのように活用するのか、新しいルールが必要なのかを考えることも国際法の大切な学びです。

上智大学法学部国際関係法学科を志望している人は、国際ニュースを見たときに、「これはどの国の法律だけでは解決できないのだろう」「どのような国際的なルールが必要なのだろう」と考えてみてください。

その疑問を一つずつ掘り下げていくことが、国際法への理解を深め、自分が大学で学びたいテーマを見つけるきっかけになります。

提出書類や面接に向けて、自分の経験と国際法への関心をどのように結びつければよいのか、一人で整理することが難しい場合は、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。今後、教員情報、授業内容、入試制度等が変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。