上智大学法学部国際関係法学科|江藤淳一教授に学ぶ「国際法」と国家主権・武力紛争のルール

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、「上智大学法学部国際関係法学科・江藤淳一教授の研究から考える、国際法と国家主権・武力紛争のルール」です。


上智大学法学部国際関係法学科で学ぶ「国際法」とは

上智大学法学部国際関係法学科には、国際法を専門とする江藤淳一教授がいらっしゃいます。江藤教授は、国家主権の機能、海洋境界画定、国際組織の権限・責任、武力紛争法の原則、軍縮条約の法的な構造などを中心に、国際法の形成過程について研究されています。授業では「国際紛争処理法」などを担当されています。

国際法というと、国と国との間で決める難しいルールという印象を持つ人もいるかもしれません。しかし、国際社会では一つの国だけでは解決できない問題が数多く存在します。

海の境界、武力紛争、兵器の規制、国際機関の役割など、複数の国が関わる問題について、どのような共通ルールを設けるのかを考えるのが国際法の重要な役割です。


「国家主権」とは何を意味するのか

江藤教授の研究テーマの一つに、「国家主権」があります。

国家主権とは、簡単にいえば、それぞれの国が自国の政治や制度について、自ら決定する権限を持っているという考え方です。

たとえば、日本の国内制度について、別の国が自由に決定できるわけではありません。それぞれの国には、自分たちの社会をどのように運営するのかを決める権限があります。

しかし、現代社会では、一つの国だけで完結しない問題も多くあります。環境問題、海洋資源、安全保障、国際的な犯罪などでは、複数の国が関係します。

そのため、「それぞれの国の主権を尊重しながら、国際社会としてどのようなルールをつくるのか」という難しい問題が生まれます。


海の境界はどのように決めるのか

国家主権と深く関わるテーマの一つが「海洋境界画定」です。

地図を見ると、陸地では国と国の境界が線で示されています。しかし、海についても「どこまでがどの国の権利の及ぶ範囲なのか」を考える必要があります。

特に、向かい合う国や隣接する国の海域が近い場合には、どこに境界を引くのかが問題になることがあります。

海には、漁業資源や海底資源などが存在するため、境界の位置によって各国の利益が大きく変わることもあります。

ニュースで「領海」や「排他的経済水域」という言葉を目にしたことがある人もいるでしょう。こうした問題の背景には、各国の権利と国際法上のルールをどのように調整するのかという課題があります。


国と国の対立をどう平和的に解決するのか

江藤教授が担当する「国際紛争処理法」という科目にもつながる重要なテーマが、国際的な争いをどのように解決するかという問題です。

国内で人同士や企業同士が争った場合には、裁判所に判断を求めることができます。しかし、国際社会には、すべての国に対して一方的に命令できる世界政府のような存在があるわけではありません。

そのため、国際社会では、交渉や仲介、国際裁判など、さまざまな方法を通じて紛争を解決していくことになります。

それぞれの国には、自国の立場や利益があります。その中で、どこまで譲歩し、どのルールに合意するのかを考える必要があります。

武力ではなく、法律や対話によって問題を解決するための仕組みを考えることも、国際法の大切な役割です。


「武力紛争法」はなぜ必要なのか

江藤教授の研究テーマには、武力紛争法の原則も含まれています。

武力紛争法は、武力紛争が起きた場合に、どのような行為が許され、どのような行為が禁止されるのかを定める国際法上のルールを扱う分野です。

「そもそも戦争を起こさなければよいのだから、紛争中のルールは必要ないのでは」と感じる人もいるかもしれません。

しかし、現実に武力紛争が発生してしまった場合には、被害を可能な限り小さくし、人々の生命や生活を守るためのルールが必要になります。

どのような人や施設を攻撃してはならないのか、戦闘に関わっていない人々をどのように保護するのかなど、武力が使われる状況においても守るべき基準があります。

武力紛争法を学ぶことは、「紛争が起きたときにも法律は機能するのか」「人道的な価値をどのように守るのか」という重い問いに向き合うことでもあります。


軍縮条約から考える「兵器を減らすルール」

江藤教授は、軍縮条約の法的な構造についても研究されています。

軍縮とは、兵器の保有や開発などを制限・削減していく取り組みです。

世界のすべての国が自由に兵器を増やしていけば、安全保障上の緊張が高まり、互いにさらに兵器を増やそうとする状況につながる可能性があります。

そこで、国同士が条約を結び、特定の兵器を禁止したり、保有数を制限したりする仕組みがつくられてきました。

しかし、自国の安全を守りたいという考えと、国際社会全体で兵器を減らしたいという考えを両立することは簡単ではありません。

なぜ国が条約に参加するのか、どのように約束を守らせるのか、違反が疑われた場合にどう対応するのか。軍縮条約を考えると、国際法が実際に機能するために必要な仕組みが見えてきます。


国際組織にはどこまで権限があるのか

江藤教授の研究テーマには、国際組織の権限や責任もあります。

国際社会では、国同士が協力してさまざまな国際組織をつくっています。こうした組織は、一つの国だけでは対応しにくい問題に取り組むうえで重要な役割を果たします。

一方で、国際組織に大きな力を持たせれば、「それぞれの国が自分たちで決める権利との関係をどう考えるのか」という問題も生じます。

また、国際組織が行った活動によって問題が起きた場合、誰がどのような責任を負うのかという問いもあります。

国家主権を尊重しながら、国際社会として協力する仕組みをつくるにはどうすればよいのか。ここにも国際法ならではの難しさがあります。


国際法はどのように作られてきたのか

江藤教授の研究を考えるうえで興味深いのが、「国際法の形成過程」という視点です。

私たちが法律を学ぶとき、すでに完成したルールとして条文を見ることが多いでしょう。しかし、そのルールも最初から存在していたわけではありません。

国際法の場合、各国の交渉や合意、長年にわたる実践などの積み重ねを通じてルールが形づくられてきたものがあります。

異なる立場や利益を持つ国々が、一つの共通ルールに合意することは簡単ではありません。それぞれの主張を調整しながら、少しずつ合意できる範囲を探していきます。

国際法を学ぶときには、「現在どのようなルールがあるのか」だけではなく、「なぜそのルールが必要になり、どのような交渉を通じて成立したのか」と考えることも重要です。


高校生活から「ルール形成」を考えてみる

国際法の形成は非常に大きなテーマですが、その考え方は身近な経験からイメージすることもできます。

たとえば、クラスや委員会で新しいルールをつくった経験がある人もいるでしょう。

全員の考えが最初から同じとは限りません。「もっと自由にしたい」という人もいれば、「一定の制限が必要だ」という人もいます。

そこで、それぞれの意見を聞きながら、どこまでなら全員が受け入れられるのかを話し合うことになります。

もちろん学校のルール作りと国家間の交渉は大きく異なります。しかし、「立場の異なる人たちが共通のルールをつくるためには、対話と調整が必要」という点には共通する部分があります。


大学では歴史や政治と結びつけて国際法を考える

大学で国際法を学ぶ際には、法律の条文だけを見るのではなく、その背景にある歴史や国際政治についても考える必要があります。

たとえば軍縮に関する条約がつくられた背景には、その時代の国際情勢や安全保障上の問題があります。海洋に関する国際ルールについても、技術の発達や資源利用の変化などが影響しています。

「なぜこの時代にこのルールが必要になったのか」と考えることで、国際法を単なる暗記科目ではなく、社会の変化の中で生まれた制度として理解できるようになります。

法律、歴史、政治、国際関係を結びつけて考えることは、上智大学法学部国際関係法学科で学ぶうえでも大切な視点です。


推薦入試を考える高校生が意識したいこと

上智大学法学部国際関係法学科の推薦入試を考えている人は、国際情勢についてたくさんの知識を覚えることだけではなく、自分なりの問いを持って考えることを意識してみてください。

  • 領海や排他的経済水域をめぐるニュースを見て、海の境界がどう決まるのか疑問を持った
  • 武力紛争の報道をきっかけに、戦闘中にも守るべき国際的なルールがあることに関心を持った
  • 軍縮や兵器規制について、なぜ国同士の合意が難しいのか考えてみたいと思った
  • 国際機関にはどこまで国に影響を与える権限があるのか気になった

こうした問題について、最初から正解を出せる必要はありません。

重要なのは、一つの国の立場だけではなく、相手国や国際社会全体の立場にも目を向け、「なぜ合意が難しいのか」「どのようなルールなら受け入れられるのか」と考えることです。


志望理由では「平和に興味がある」から一歩深める

提出書類や面接で問われる志望理由を考える際には、「世界平和に貢献したい」「国際問題に興味がある」という言葉だけで終わらないようにしましょう。

大切なのは、どのような出来事から、どのような具体的な疑問を持ったのかを整理することです。

たとえば、武力紛争のニュースを見て、「戦争中にも法律上守らなければならないルールがあるのはなぜだろう」と疑問を持ったとします。

そこから調べる中で武力紛争法に関心を持ち、「国家同士が対立している状況でも国際法がどのように人々を守ろうとしているのか学びたい」と考えることができれば、問題意識がより具体的になります。

海洋問題や軍縮についても同様に、ニュースから感じた疑問を、国際法上の具体的なテーマへと深めてみてください。


国際ニュースを「ルールができた背景」から見てみよう

国際法への関心を深めるためには、ニュースを見る際に、その出来事の背景にあるルールにも目を向けることがおすすめです。

たとえば領海をめぐる対立を見たときに、「どちらの国が正しいのか」だけではなく、「国際法では海の境界をどのように考えているのか」と調べてみましょう。

軍縮に関する報道を見たら、「なぜこの条約がつくられたのか」「参加していない国はなぜ参加していないのか」と問いを広げることもできます。

現在の国際ルールだけを見るのではなく、そのルールが必要になった歴史や各国の立場まで調べることで、国際社会の問題をより深く理解できるようになります。


まとめ

江藤淳一教授が研究されている国家主権、海洋境界画定、国際組織の権限・責任、武力紛争法、軍縮条約などは、国と国がどのように共通のルールをつくり、国際社会を維持していくのかを考える重要なテーマです。

国際社会では、それぞれの国が自分たちで物事を決める権利を持つ一方で、一つの国だけでは解決できない問題も数多くあります。

だからこそ、各国の主権を尊重しながら、武力紛争の被害を抑えたり、兵器を規制したり、海洋をめぐる争いを平和的に解決したりするための国際ルールが必要になります。

上智大学法学部国際関係法学科を志望している人は、国際ニュースを見たときに、「この問題にはどのような国際ルールがあるのだろう」「そのルールはなぜ作られたのだろう」と考えてみてください。

その疑問を少しずつ深めることが、国際法への理解を広げ、自分が大学で学びたいテーマを見つけるきっかけになります。

提出書類や面接に向けて、自分の経験と国際法への関心をどのように結びつければよいのか、一人で整理することが難しい場合は、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。今後、教員情報、授業内容、入試制度等が変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。