
上智大学法学部地球環境法学科|北村喜宣教授に学ぶ「環境法」とより良い制度を実現する視点
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、「上智大学法学部地球環境法学科・北村喜宣教授の研究から考える、環境法とより良い制度のあり方」です。
上智大学法学部地球環境法学科で学ぶ「環境法」とは
上智大学法学部地球環境法学科には、環境法政策を専門とする北村喜宣教授がいらっしゃいます。北村教授は、規制執行研究や地方自治と法といったテーマを通じて、「より佳い環境法」をいかにして実現するかという問いに、理論研究と実証研究の両面から取り組まれています。授業では「環境法各論」などを担当されています。
「環境法」と聞くと、ごみの分別や自然保護を思い浮かべる人が多いかもしれません。もちろんそれらも環境問題の大切な一部ですが、環境法が扱う範囲はさらに広く、公害、廃棄物、気候変動、自然環境の保全、企業活動に伴う環境負荷など、さまざまな問題が対象になります。
環境を守るためには、単に「環境に良い行動をしましょう」と呼びかけるだけでは十分ではありません。誰にどのような責任を求めるのか、どの程度まで規制するのか、そのルールをどのように実行するのかという法律上の仕組みが必要になります。
環境と経済活動のバランスをどう考えるか
環境法を考える際に難しいのは、環境を守ることだけを考えればよいわけではない点です。
たとえば、工場から出る排出物を厳しく規制すれば、環境への負担を減らせる可能性があります。一方で、企業に大きな負担がかかれば、事業活動や雇用などに影響が出ることも考えられます。
また、地球温暖化対策として企業や家庭に省エネルギーを求める場合にも、どこまで義務を課すのかという問題があります。
環境を守ること、経済活動を続けること、人々の暮らしを維持すること。この三つをどのように両立するのかを考えることが、環境法の重要なテーマです。
一方だけを正しいと考えるのではなく、それぞれの立場や影響を整理しながら、より良い制度を考えていく必要があります。
「規制執行研究」は法律が実際に機能しているかを見る
北村教授の研究を考えるうえで重要なのが、「規制執行研究」という視点です。
環境問題について法律や条例をつくったとしても、それだけで問題が解決するわけではありません。実際に企業や市民がルールを守っているのか、行政が適切に確認しているのか、違反があった場合にどのような対応が行われるのかまで考える必要があります。
たとえば、工場の排出量について基準を設定したとしても、測定や報告が適切に行われなければ、その規制が本当に守られているのか分かりません。
つまり、法律を「作ること」と、法律を「機能させること」は別の問題です。
規制執行研究では、制度が現場でどのように運用されているのかを確認し、必要であれば改善策を考えていきます。法律の文章だけではなく、実際の社会での働き方まで見る点が特徴です。
身近なルールから「運用」の大切さを考える
法律の運用というと難しく聞こえますが、高校生活にも似た場面があります。
たとえば、学校で「教室をきれいに使う」というルールがあったとしても、それだけで教室がいつもきれいになるとは限りません。
誰が掃除を担当するのか、ルールを知らない人にどう伝えるのか、守られなかった場合にどうするのかなど、具体的な運用方法が必要になります。
環境法も同じで、立派な制度があるから問題が解決するとは限りません。
「このルールは現場で本当に守れるものなのか」「守られているかをどのように確認するのか」と考えることが、実効性のある制度をつくるために重要です。
地方自治体だからこそできる環境対策
北村教授の研究テーマには、「地方自治と法」もあります。
環境問題というと、国が全国共通のルールをつくって解決するイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、地域によって抱えている問題は大きく異なります。
都市部では大気汚染やごみ処理が課題になることもあれば、山間部では森林保全、海沿いの地域では海洋ごみや自然環境の保護などが課題になることもあります。
そのため、国の法律だけではなく、地方自治体が地域の実情に応じて条例や施策をつくることも重要です。
地域に近い自治体だからこそ把握できる課題があり、地域住民や企業と協力しながら取り組める問題もあります。
国と自治体はどう役割を分担するべきか
環境問題に対して自治体が独自の取り組みを進める場合、「国と自治体のどちらがどこまで決めるべきなのか」という問題も生まれます。
全国共通の最低限の基準が必要な問題もあれば、地域によって柔軟に対応したほうがよい問題もあります。
すべてを国が決めれば全国で統一した対応ができますが、地域特有の事情に合わせにくくなる可能性があります。一方、自治体ごとに大きくルールが異なれば、企業や住民にとって分かりにくくなることも考えられます。
国が担うべきことと自治体に任せるべきことをどのように分けるのか。この問題を考えることも、環境法政策の重要なテーマです。
「より佳い環境法」とは何だろう
北村教授の研究を考えるとき、「より佳い環境法」という問いは非常に興味深いものです。
環境を厳しく守る法律であれば、それだけで良い法律といえるのでしょうか。
どれほど厳しいルールでも、現実には守ることが難しければ、十分な効果が得られない可能性があります。また、ルールを守るための負担が特定の人や企業に偏りすぎても、制度を長く続けることは難しくなるでしょう。
一方で、誰でも簡単に守れるように基準を緩くしすぎれば、環境問題を改善できないかもしれません。
そのため、環境への効果、実際に守れるかどうか、公平性、行政の負担など、さまざまな要素を考えながら制度を評価することが必要です。
理論だけでなく現実のデータを見る
北村教授は、理論研究だけではなく実証研究にも取り組まれています。
実証研究では、実際の制度や行政の取り組みについて、具体的な事例やデータをもとに分析していきます。
たとえば、ある環境政策を導入した自治体で、ごみの量が実際に減ったのか、企業の行動が変化したのか、住民はどのように受け止めたのかを調べることで、制度の効果を確認できます。
法律の文章だけを見ると良い制度に思えても、実際には想定していなかった問題が起きることがあります。
逆に、小さな自治体の工夫が大きな成果につながり、他の地域の参考になることもあります。
現実を調べ、その結果をもとに制度を見直すという姿勢は、より良い環境法を考えるうえで欠かせません。
高校の探究活動ともつながる環境法の学び
環境問題は、高校の探究活動でも取り組みやすいテーマの一つです。
プラスチックごみ、食品ロス、地球温暖化、再生可能エネルギー、地域の自然保護などについて調べた経験がある人もいるでしょう。
そこからさらに法律の視点を加えると、「現在どのようなルールがあるのか」「そのルールにはどのような効果があるのか」「もっと良い制度にするにはどうすればよいのか」という問いを立てることができます。
たとえば、「学校周辺のごみを減らしたい」という問題でも、単に清掃活動を増やすだけではなく、ごみが発生する原因やルールのあり方まで考えることで、問題をより深く分析できます。
環境問題を知るだけで終わらず、制度を通じてどのように改善できるのかを考えることが、環境法への入り口になります。
大学では「理想」と「現実」の両方を見る
大学で環境法を学ぶ際には、「環境を守るためにはこうするべきだ」という理想だけではなく、実際にその制度を実施できるかという現実的な視点も必要になります。
たとえば、企業に厳しい規制を設ければ環境負荷を減らせるかもしれません。しかし、企業が対応できなければ、制度が十分に機能しない可能性があります。
また、行政が細かく確認する制度をつくっても、それを担当する職員や予算が不足していれば、現場で実行することが難しくなります。
そこで、「理想的な制度は何か」だけではなく、「どうすれば現実に機能する制度になるのか」を考えることが重要です。
法律と社会の間にあるギャップを見ることが、環境法政策を学ぶ面白さの一つです。
推薦入試を考える高校生が意識したいこと
上智大学法学部地球環境法学科の推薦入試を考えている人は、環境問題について知識を増やすだけではなく、「現在の制度は本当に機能しているのか」という視点を持つことを意識してみてください。
- 地域のごみ問題について、現在のルールで十分なのか疑問を持った
- 環境保護と企業活動をどのように両立するのか考えてみたいと思った
- 国と地方自治体では、どちらが環境問題に対応するべきなのか関心を持った
- 環境に関する制度をつくっても守られない場合、どう改善すればよいのか疑問を持った
こうした問いについて、環境保護を求める立場だけでなく、企業、行政、地域住民など、さまざまな立場から考えてみることが大切です。
「環境に良いか悪いか」だけで判断せず、その制度が実際にどのように働くのかまで考えることで、問題意識を深めることができます。
志望理由では「環境問題に興味がある」から一歩深める
提出書類や面接で問われる志望理由を考える際には、「環境問題に興味があります」「地球温暖化を解決したいです」という説明だけで終わらないようにしましょう。
大切なのは、自分がどのような出来事から具体的な疑問を持ったのかという点です。
たとえば、地域の清掃活動に参加した際、毎回同じ場所にごみが捨てられていることに気づいたとします。そこから、「清掃するだけではなく、ごみが捨てられない仕組みをつくる必要があるのではないか」と考えれば、問題意識が一段深くなります。
さらに、「自治体にはどのようなルールがあるのか」「そのルールは実際に機能しているのか」と調べることで、環境問題から環境法への関心につなげることができます。
自分の経験、そこから生まれた疑問、法律によって考えたいことを順番に整理すると、大学で学ぶ理由がより具体的になります。
身の回りの環境ルールを観察してみよう
環境法への関心を深めるためには、自分の住む地域や学校にどのような環境ルールがあるのかを調べてみることもおすすめです。
ごみの分別方法、公園でのルール、プラスチック削減の取り組みなど、身近なところにも環境政策はあります。
そのときに、「どんなルールがあるか」を調べるだけではなく、「なぜこのルールが必要なのか」「実際に守られているのか」「どのような成果が出ているのか」と考えてみましょう。
もし十分に機能していないと感じるのであれば、「何を変えればより効果的になるのか」を考えてみることもできます。
法律や制度を現実の社会と結びつけて見ることが、環境法の学びへの第一歩です。
まとめ
北村喜宣教授が研究されている環境法政策、規制執行、地方自治と法といったテーマは、「環境を守るために、実際に機能する制度をどうつくるか」という問いにつながっています。
環境法では、ルールをつくることだけでは十分ではありません。そのルールが現場でどのように運用され、実際に環境改善につながっているのかまで考える必要があります。
また、環境問題は地域によって異なるため、国と地方自治体がどのように役割を分担するのかという視点も重要です。
上智大学法学部地球環境法学科を志望している人は、身の回りの環境問題を見たときに、「どのようなルールがあるのだろう」「そのルールは本当に機能しているのだろう」と考えてみてください。
その疑問を掘り下げ、理想だけではなく実際の制度や現場にも目を向けることが、環境法への理解を深め、自分が大学で学びたいテーマを見つけるきっかけになります。
提出書類や面接に向けて、自分の経験と環境法への関心をどのように結びつければよいのか、一人で整理することが難しい場合は、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。今後、教員情報、授業内容、入試制度等が変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


