
上智大学法学部国際関係法学科|東史彦教授に学ぶ「EU法」とヨーロッパの法制度
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、「上智大学法学部国際関係法学科・東史彦教授の研究から考える、EU法とヨーロッパの法制度」です。
上智大学法学部国際関係法学科で学ぶ「EU法」とは
上智大学法学部国際関係法学科には、EU法・比較法を専門とする東史彦教授がいらっしゃいます。東教授は、EU法、欧州人権条約法、そしてEU加盟国であるイタリアの国内法との関係などを研究されています。授業では「EUROPEAN UNION LAWⅡ」「比較法Ⅱ」などを担当されています。
EUとは欧州連合のことで、ヨーロッパの複数の国が参加する地域的な枠組みです。加盟国はそれぞれ自国の法律を持っていますが、それとは別にEU全体で共有するルールも存在します。
つまりEUでは、「一つの国の法律だけを見ればよい」というわけではありません。各国の国内法とEUのルールがどのような関係にあり、両者がどのように調整されているのかを考える必要があります。
このように、国境を越えて複数の法律や制度が関係する問題を学べることは、国際関係法学科ならではの面白さの一つです。
一つの国だけでは完結しない法律の仕組み
日本で生活していると、法律は基本的に日本という一つの国の中でつくられ、適用されるものだと考えがちです。
しかしEUでは、それぞれ異なる歴史や文化、法律制度を持つ国々が、一定の共通ルールのもとで協力しています。
たとえば、ある分野についてEU共通のルールが決められた場合、加盟国は自国の制度との関係を考えながら対応する必要があります。そこで、「EUのルールと国内法が異なる場合にはどうするのか」「どちらをどのように適用するのか」といった問題が生まれます。
EU法を学ぶことは、一つの法律を覚えることではありません。異なる法制度を持つ国々が、どのように共通の秩序をつくっているのかを考えることでもあります。
なぜ国を越えて共通のルールをつくるのか
では、そもそもなぜ複数の国が共通のルールを持つ必要があるのでしょうか。
現代社会では、経済活動、人の移動、環境問題、情報通信など、多くの課題が国境を越えて広がっています。一つの国だけで対応することが難しい問題も少なくありません。
たとえば、複数の国にまたがって企業が活動する場合、それぞれの国でまったく違うルールが適用されれば、取引が複雑になることがあります。また、人が国境を越えて暮らしたり働いたりする場合にも、共通する一定のルールがあることで活動しやすくなる場合があります。
一方で、共通ルールを増やしすぎれば、それぞれの国が自分たちで決められる範囲が狭くなる可能性もあります。
「国同士の協力」と「各国の自主性」をどのように両立するのか。このバランスを考えることも、EU法を学ぶ重要なテーマです。
欧州人権条約から考える「国境を越えた人権保障」
東教授の研究テーマには、欧州人権条約法もあります。
人権というと、日本国憲法で保障されている基本的人権を思い浮かべる人が多いでしょう。しかしヨーロッパには、一つの国の国内法だけではなく、国際的な枠組みを通じて人権を守ろうとする制度があります。
このような仕組みが興味深いのは、国が最終的な判断主体とは限らないという点です。
ある国の制度や対応によって人権が侵害されたと考える場合、その問題を国際的な人権保障の仕組みの中で検討するという考え方があります。
ここには、「人の権利を守る責任は国家だけにあるのか」「国を超えた共通の人権基準を設けることにはどのような意味があるのか」という大きな問いがあります。
人権の基準は国によって違ってよいのか
国境を越えた人権保障について考えると、難しい問題も見えてきます。
国ごとに歴史や宗教、文化、社会の価値観は異なります。そのため、「何をどこまで権利として守るべきか」について意見が分かれることもあります。
一方で、人間として守られるべき権利について、国によって大きな差があってよいのかという問題もあります。
そこで、「各国の事情をどこまで尊重するのか」「国境を越えて共通に守るべき基準は何か」を考える必要があります。
これは簡単に一つの答えを出せる問題ではありません。異なる文化や制度を理解しながら、それでも共通して守るべき価値はあるのかを考えていくことが、国際的な法律を学ぶ面白さでもあります。
「比較法」で日本や世界の法律を見る
東教授は比較法も専門とされています。
比較法とは、複数の国や地域の法律制度を比べながら、その共通点や違いを考える研究方法です。
私たちは自分の国の制度を「普通のもの」と考えがちですが、海外と比べてみると、日本独自の特徴に気づくことがあります。
たとえば、同じ社会問題でも、法律による解決方法は国によって異なることがあります。その違いが生まれる背景には、歴史、政治、文化、宗教、社会構造など、さまざまな要因があります。
「日本ではこうなっているから正しい」と考えるのではなく、「他の国ではなぜ違う方法を採用しているのか」と考えることで、一つの制度をより客観的に見ることができます。
イタリアの国内法からEU全体を考える
EUには複数の加盟国があり、それぞれ独自の国内法を持っています。そのため、EU法を理解するためには、EU全体の制度だけではなく、加盟国との関係を見ることも大切です。
東教授は、EU法や欧州人権条約法とイタリア国内法との関係についても研究されています。
EU全体で共通のルールがあったとしても、各国がどのようにそのルールを受け入れ、国内制度の中で運用するのかは必ずしも同じではありません。
一つの加盟国を具体的に見ることで、EUという大きな仕組みが、実際に各国の社会や法制度とどのようにつながっているのかを考えることができます。
国際的な制度を理解するときには、大きな仕組みだけを見るのではなく、それが一つひとつの国でどのように動いているのかを見ることも重要です。
異なるルールをどう調整するのか
EU法を学ぶ際の大きなテーマの一つが、「異なるルールをどのように調整するのか」という問題です。
これは高校生のみなさんにも、少し身近な経験からイメージすることができます。
たとえば、海外研修や交換留学、国際交流などで、相手の学校と自分の学校ではルールが違うと気づいた経験があるかもしれません。
自分たちの学校では当然だと思っていたことが、別の学校ではまったく違う場合があります。そのとき、一方のルールだけを押しつけるのではなく、お互いの事情を理解しながら共通の方法を探す必要があります。
EUでは、そのような調整を国という非常に大きな単位で行っています。
もちろん学校間の交流とEU法をそのまま同じものとして考えることはできませんが、「違うルールを持つ相手と、どのように共通の仕組みをつくるのか」という発想には通じる部分があります。
大学では国境を越えて法律を考える
高校までの公民などでは、日本国憲法や国会、裁判所など、日本国内の制度を中心に学ぶことが多いでしょう。
上智大学法学部国際関係法学科では、そこから視野を広げ、日本以外の法制度や国際的なルールについても考えていきます。
一つの国の中だけでは解決できない問題について、「複数の国がどのように協力するのか」「どのような共通ルールをつくるべきなのか」「国家と国際的な組織の権限をどう分けるのか」といった問いに向き合います。
国際関係というと外交や政治をイメージする人もいるかもしれませんが、その関係を支えている法律や制度に目を向けることも重要です。
世界の出来事を法律の視点から見ることで、ニュースの背景にある国同士の関係をより深く理解できるようになります。
推薦入試を考える高校生が意識したいこと
上智大学法学部国際関係法学科の推薦入試を考えている人は、EUの機関名や制度をたくさん暗記するだけではなく、国際的な問題について自分なりの問いを持つことを意識してみてください。
- ヨーロッパのニュースを見て、EUと加盟国の関係に疑問を持った
- 海外との交流経験から、国によるルールや価値観の違いに興味を持った
- 人権は国ごとに異なってよいのかという問題について考えたいと思った
- 国境を越えた問題に対して、各国がどのように共通ルールをつくるのか気になった
こうした問いには、簡単に一つの答えを出せないものもあります。
だからこそ、自分の意見だけではなく、EU全体、加盟国、そこに暮らす人々など、複数の立場から考えてみることが重要です。
志望理由では「海外に興味がある」から一歩深める
提出書類や面接で問われる志望理由を考える際には、「海外に興味がある」「ヨーロッパが好き」という理由だけで終わらせないようにしましょう。
大切なのは、海外や国際社会に触れる中で、具体的にどのような疑問を持ったのかという点です。
たとえば、EUに関するニュースを見て、「加盟国は自国で自由に法律を決められるのに、なぜEU全体のルールにも従う必要があるのだろう」と疑問を持ったとします。
そこから調べる中で、国家の主権と国際的な協力の関係に関心を持ち、「複数の国が共通の法秩序をつくる仕組みについて学びたい」と考えるようになれば、大学での学びにつながる問題意識になります。
あるいは、国際的な人権問題をきっかけに、「人権を守る基準は国家だけに任せてよいのか」と考えることも、EU法や欧州人権条約法への関心につながります。
自分の経験やニュースから生まれた疑問を、具体的な学問テーマまで深めていくことを意識してみてください。
海外ニュースを「法律の関係」から見てみよう
EU法への関心を深めるためには、普段の海外ニュースを見るときにも少し視点を変えてみることがおすすめです。
「この国では何が起きたのか」だけではなく、「EU全体ではどのようなルールがあるのか」「その国の国内法とはどのような関係になっているのか」「人権の観点から問題はないのか」と考えてみましょう。
また、同じ問題について複数の国がどのように対応しているのかを比較してみると、それぞれの法制度の違いにも気づくことができます。
一つの国だけを見るのではなく、複数の国の関係から社会問題を考えることが、国際関係法学科の学びにつながっていきます。
まとめ
東史彦教授が研究されているEU法、欧州人権条約法、比較法などは、国境を越えて法律や人権を考えるための重要な分野です。
EUでは、それぞれ独自の法律を持つ複数の国が、共通のルールのもとで協力しています。そのため、EU全体のルールと加盟国の国内法をどのように調整するのかという問題が生まれます。
また、欧州人権条約法を通じて、国家の枠を越えて人権をどのように保障するのかという問いについても考えることができます。
上智大学法学部国際関係法学科を志望している人は、海外ニュースを見たときに、「なぜ複数の国が同じルールを共有しているのだろう」「国と国際的な制度はどのような関係にあるのだろう」と考えてみてください。
その疑問を掘り下げることが、EU法や比較法への興味を深め、自分が大学で学びたいテーマを見つけるきっかけになります。
提出書類や面接に向けて、自分の経験と国際関係法への関心をどのように結びつければよいのか、一人で整理することが難しい場合は、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。今後、教員情報、授業内容、入試制度等が変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


