
上智大学 経済学部 経済学科|青木研教授に学ぶ「産業組織論」と医療サービスの経済分析
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 経済学部 経済学科・青木研教授の研究から考える、産業組織論と医療サービスの経済分析」です。
今回の記事案では「経営学科」という指定もありましたが、上智大学の最新公式情報を確認すると、青木研教授は経済学部経済学科に所属しています。そのため、この記事では正確な所属である「上智大学 経済学部 経済学科」として紹介します。青木教授の研究分野は、産業組織論、特に医療サービスの産業組織です。
青木研教授が研究する「産業組織論」とは
産業組織論とは、企業や病院などの事業者が、ある市場の中でどのように行動し、その結果として価格やサービスの質、私たちの暮らしにどのような影響が生まれるのかを考える経済学の分野です。
例えば、同じ地域に複数のコンビニがあれば、それぞれの店舗は価格だけではなく、品ぞろえや営業時間、サービスなどを工夫します。スマートフォンの市場でも、複数の企業が性能、価格、ブランドなどを通じて競争しています。
こうした企業同士の競争を、「競争が激しいほど良い」と単純に捉えるのではなく、市場の仕組みや制度まで含めて分析していくのが産業組織論です。
上智大学経済学部の公式情報では、青木教授の研究分野として「産業組織論、医療サービスの産業組織についての研究」が示され、担当科目にはミクロ経済学B、産業組織論、ミクロ経済学特講I、産業組織論特講などが掲載されています。
なぜ医療サービスを経済学で研究するのか
青木教授が特に研究しているのが、医療サービス市場です。上智大学の研究情報では、日本の医療サービス市場の産業組織や、病院などの医療提供者の行動、医療費、患者の受診行動などに関する研究が確認できます。
「医療を経済学で考える」と聞くと、少し意外に感じる人もいるかもしれません。しかし、私たちは病院を利用し、医師や看護師などからサービスを受けています。そこには医療機関を運営するための費用もかかりますし、人材や設備にも限りがあります。
一方で、医療は普通の商品とまったく同じように考えられるものでもありません。病気になった人にとって医療は生活や生命に深く関わるものです。そのため、「安ければよい」「競争が多ければよい」という簡単な問題ではありません。
限られた医療資源をどう使い、患者が必要な医療を受けられる仕組みをどうつくるのか。そこに経済学から考える意味があります。
患者と医師では持っている情報が違う
医療サービスを考えるうえでは、「情報の非対称性」という考え方も重要です。これは、取引やサービスに関わる人同士が持っている情報の量や内容に差がある状態を意味します。
例えば、風邪をひいて病院へ行ったとき、患者自身は「体調が悪い」ということは分かっていても、どの治療が最適なのかまで判断することは難しいでしょう。専門的な知識は、基本的に医療従事者のほうが多く持っています。
スマートフォンを買う場合であれば、性能や価格を比較して購入をやめることもできます。しかし、急な病気やけがの場合には、同じように時間をかけて比較できないこともあります。
だからこそ、医療では単純な市場競争だけでは解決できない問題があります。保険制度や医療制度が存在する理由を、「なぜこの仕組みが必要なのだろう」と考えていくことも経済学の学びにつながります。
病院はどのような制度の中で行動しているのか
青木教授の研究では、医療制度の変更が病院など医療機関の行動にどのような影響を与えるのかという問題も扱われています。研究シーズでは、レセプトデータを利用した受診・受療行動や医療費の分析、患者が医療機関を選ぶ際の要因なども紹介されています。
ここで重要なのは、病院も制度とは無関係に動いているわけではないということです。国が医療費の仕組みを変えれば、医療機関の行動が変化する可能性があります。そして、その変化が患者の負担や医療の質にも影響するかもしれません。
つまり、「制度を変えれば目的どおりの結果になる」とは限りません。その制度によって病院や患者がどのように行動を変えるのかまで考える必要があります。
地域によって医療環境が違うのはなぜ?
高校生にも考えやすいテーマとして、地域医療があります。都市部では複数の病院から選べる一方、人口の少ない地域では、近くに医療機関が少ないこともあります。
では、「病院が少ない地域には病院を増やせばよい」と簡単に解決できるでしょうか。病院には医師や看護師が必要ですし、設備や運営費も必要です。人口が少なければ、医療機関を維持すること自体が難しくなる場合もあります。
青木教授は医療資源の地域的な分布に関する研究にも取り組んできました。医療サービスを考えるときには、患者、医療従事者、病院、行政など、それぞれの立場を考えることが必要になります。
「自分が患者だったらどう感じるか」だけでなく、「医師の立場ならどうか」「自治体にはどのような制約があるか」と視点を変えることで、問題の見え方も変わります。
高校までの経済学習と大学での学びの違い
高校の公共や政治・経済では、需要と供給、市場、価格など経済の基本的な仕組みを学びます。大学の経済学では、そこからさらに一歩進み、数理的なモデルや実際のデータを使って現実の問題を分析していきます。
例えば、「病院同士が競争すると医療費はどうなるのか」という問いについても、感覚だけで結論を出すのではありません。仮説を立て、実際のデータを確認し、別の理由でその結果が生まれている可能性も検討します。
青木教授が担当するミクロ経済学や産業組織論も、個人や企業などの行動と市場の仕組みを理論的に考えていく学びにつながっています。
大学では「答えを覚える」ことだけではなく、「なぜその結果になるのか」「別の条件ならどうなるのか」と問いを立てながら考えていくことが大切になります。
推薦入試に向けて身近な医療から問いをつくってみよう
上智大学経済学部経済学科の推薦入試を考えている人も、最初から高度な経済理論を理解していなければならないわけではありません。まずは、身近な社会問題に疑問を持つことから始めてみましょう。
例えば、「なぜ地域によって病院の数に差があるのだろう」「医師不足はなぜ起きるのだろう」「医療費を抑えることと医療の質を守ることは両立できるのだろう」「患者はどのように病院を選んでいるのだろう」といった問いがあります。
家族が病院を利用した経験や、ニュースで地域医療について知った経験も、関心の出発点になります。ただし、自分の経験だけで社会全体を説明せず、統計や制度、他の人の立場にも目を向けてみることが大切です。
出願書類や面接で問われる志望理由を整理するときも、「医療問題に興味があります」で終わらせず、「何に疑問を持ったのか」「なぜ経済学から考えたいのか」「どのようなことを大学で確かめたいのか」まで深めてみてください。
身近なサービスを「なぜ?」という視点で見てみよう
産業組織論を学ぶと、普段当たり前に利用しているサービスの背景にも、さまざまな仕組みがあることが見えてきます。
医療についても、「病院があるから利用する」というところで終わらず、その病院がどのような制度の中で運営されているのか、患者はどのような情報をもとに選択しているのか、地域によってなぜ違いが生まれるのかと考えることができます。
また、医療は生命や健康に関わるからこそ、効率性だけでなく、公平性や誰もが必要なサービスにアクセスできるかという視点も欠かせません。経済学は数字だけを見る学問ではなく、限られた資源を社会の中でどのように生かすのかを考える学問でもあります。
まずは身近な医療やサービスについて、「なぜこの仕組みになっているのだろう」と考えてみてください。その問いが、産業組織論や医療経済学への興味につながっていくかもしれません。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト、上智大学経済学部公式サイト、上智学院教員教育研究情報データベース等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。教員の所属、研究分野、担当科目、カリキュラム、入試制度などは今後変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。

