上智大学法学部法律学科|三浦まり教授に学ぶ「政治学」とジェンダー・福祉国家の視点

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、「上智大学法学部法律学科・三浦まり教授の研究から考える、政治学とジェンダー・福祉国家の視点」です。


上智大学法学部法律学科で学ぶ「政治学」とは

上智大学法学部法律学科には、現代日本政治、比較福祉国家、ジェンダーと政治を専門とする三浦まり教授がいらっしゃいます。福祉国家の国際比較やケアと政治、ジェンダー平等政策、女性の政治参画、議会におけるハラスメントなど、幅広いテーマで研究に取り組まれています。授業では「現代日本政治論」「現代行政学」などを担当されています。

政治学というと、国会や選挙、政党などの仕組みを学ぶイメージを持つ人が多いかもしれません。もちろん、それも政治学の大切なテーマです。しかし大学では、制度の名称や仕組みを覚えるだけではなく、「なぜこの制度になっているのか」「この制度によって誰がどのような影響を受けているのか」といった点まで掘り下げて考えていきます。

私たちが普段当たり前のように利用している社会保障や子育て支援、介護制度なども、政治による意思決定の結果として成り立っています。政治学は、私たちの日常生活と決して離れた学問ではありません。


「福祉国家」とはどのような社会なのか

三浦教授の研究テーマの一つに「比較福祉国家」があります。

福祉国家とは、社会保障、医療、介護、子育て支援、雇用などを通じて、国や自治体が人々の生活をどのように支えていくのかを考える概念です。

たとえば、子育てについて考えてみましょう。子どもを育てる責任や負担を家庭が中心となって担う社会もあれば、保育や経済的な支援を充実させ、社会全体で支える仕組みを重視する国もあります。

介護についても同じです。高齢になった家族の世話を家族だけで担うのか、それとも介護サービスや社会保障制度を通じて社会全体で支えるのかによって、人々の生活は大きく変わります。

どこまでを個人や家庭の責任とし、どこからを社会全体で支えるのか。この線引きを考えることが、福祉国家を学ぶ重要な視点の一つです。


国によって福祉の仕組みが違うのはなぜか

福祉制度は、すべての国で同じようにつくられているわけではありません。

子育て支援を手厚く行う国もあれば、家族による支えを重視する国もあります。税金の負担や社会保障のあり方、働き方、家族観なども国によって異なります。

そこで政治学では、日本の制度だけを見るのではなく、複数の国を比較しながら考えることがあります。

他国と比べることで、「日本では当たり前だと思っていた制度が、実は世界共通ではない」と気づくことがあります。その違いがなぜ生まれたのかを、歴史や政治制度、社会の価値観などから考えていくのが比較研究の面白さです。

一つの国の制度だけを見て良い悪いを判断するのではなく、さまざまな仕組みを比べながら、その特徴や課題を考えていきます。


「ケア」はなぜ政治学のテーマになるのか

三浦教授は「ケアと政治」というテーマにも取り組まれています。

ケアとは、子育て、介護、看護など、人が生活していくために必要な支えを意味します。これらは家庭の中の問題と思われがちですが、実は政治とも深く関わっています。

たとえば、保育所をどのくらい整備するのか、介護サービスにどれだけ公的なお金を使うのか、仕事と育児を両立しやすい制度をどうつくるのかといった問題は、政治的な意思決定によって大きく変わります。

もしケアの負担が家庭の中の一部の人に集中すれば、その人が仕事を続けにくくなったり、学びや社会参加の機会を失ったりする可能性があります。

「誰がケアを担っているのか」「その負担を社会全体でどのように分けるのか」という問題を考えることも、政治学の重要な役割です。


ジェンダーと政治はどのようにつながっているのか

三浦教授の研究を考えるうえで、もう一つ重要なのが「ジェンダーと政治」という視点です。

政治の制度や政策は、すべての人に同じような影響を与えるとは限りません。性別や働き方、家庭環境などによって、制度から受ける影響が異なることがあります。

たとえば、育児や介護を担う人が女性に偏っている社会では、働き方や社会保障の制度が、女性の就業や政治参加にも影響を与える可能性があります。

そこで、「現在の制度は誰にとって利用しやすいのか」「特定の人に負担が集中していないか」といった視点から政策や社会制度を検討します。

ジェンダーについて考えることは、単に男女を比較することではありません。社会の中にある役割分担や制度が、どのように人々の選択肢に影響を与えているのかを考えることにつながります。


女性の政治参画はなぜ重要なのか

三浦教授は、女性の政治参画についても研究されています。

国会議員や地方議員など、政治的な意思決定を行う場に女性がどの程度参加しているのかという問題は、ニュースでも取り上げられることがあります。

なぜ意思決定の場に多様な人がいることが大切なのでしょうか。

その理由の一つとして、社会にはさまざまな立場や経験を持つ人がいることが挙げられます。同じ政策であっても、子育て中の人、高齢者、学生、働く人など、それぞれの立場によって見え方は異なります。

意思決定の場に多様な背景を持つ人が参加することで、これまで見落とされていた課題が議論される可能性があります。

一方で、「女性議員が増えれば自動的にすべての問題が解決する」と単純に考えることもできません。人数だけでなく、政治参加を妨げる制度や社会的な要因まで考える必要があります。


議会におけるハラスメントから政治参加を考える

三浦教授が研究されているテーマには、議会におけるハラスメントもあります。

政治への参加を考えるとき、単に立候補する権利があるだけでは十分とは限りません。

形式上は誰でも参加できる制度になっていても、特定の人が差別的な言動やハラスメントを受けやすい環境であれば、実際には参加しにくくなってしまう可能性があります。

そこで政治学では、「制度上平等であること」と「実際に平等に参加できること」の違いにも目を向けます。

誰もが政治に参加できる環境とはどのようなものなのか。そのために制度や文化をどのように変えていく必要があるのかを考えることも、政治学の大切な課題です。


高校生活から政治学の問いを見つける

福祉国家やジェンダーというテーマは大きく見えますが、高校生のみなさんの日常にも、考えるきっかけはあります。

たとえば、部活動や学校行事で、いつも同じ人だけが大変な仕事を担当していることはないでしょうか。また、生徒会選挙で候補者が少ないことに疑問を持ったことがある人もいるかもしれません。

「なぜ一部の人に負担が集中するのか」「参加したくても参加しにくい理由があるのではないか」と考えることは、社会の制度や政治参加を考える視点につながります。

もちろん学校生活の役割分担と国家の福祉政策をそのまま同じものとして考えることはできません。しかし、「誰が負担を担うのか」「誰が意思決定に参加できるのか」という問いには共通する部分があります。


大学の政治学では制度を「当たり前」と考えない

高校までの公民では、国会や内閣、選挙制度、社会保障制度などについて、その仕組みを理解することが中心になることがあります。

大学で政治学を学ぶと、そこからさらに一歩進んで、「なぜこの制度なのか」「別の制度ではどうなるのか」「現在の仕組みに課題はないのか」を考えていきます。

たとえば、ある政策によって多くの人が助かる一方で、一部の人には大きな負担が生じることもあります。

その場合、「多くの人にとって良い制度だから問題ない」と結論づけるのではなく、負担を受ける人の立場も含めて考える必要があります。

一つの政策や制度について、複数の立場から検討し、データや事例をもとに自分の考えを組み立てていくことが、大学で政治学を学ぶうえで重要です。


推薦入試を考える高校生が意識したい視点

上智大学法学部法律学科の推薦入試を考えている人は、政治やジェンダーに関する用語をたくさん覚えるだけではなく、身近な社会問題から自分なりの問いを見つけることを意識してみてください。

  • 子育てや介護の負担を家庭と社会でどのように分担するべきか疑問を持った
  • 女性議員の割合についてニュースを見て、なぜ差が生まれるのか気になった
  • 生徒会活動などを通して、意思決定の場への参加について考えた
  • 家庭や学校での役割分担について、なぜ特定の人に負担が偏るのか疑問を持った

大切なのは、最初から正しい答えを持っていることではありません。

自分が感じた疑問を出発点に、「誰の立場から見るかによって考え方は変わらないか」「他の国ではどうなっているのか」と問いを広げていくことが、政治学への理解につながります。


志望理由では社会問題への関心を具体化する

提出書類や面接で問われる志望理由を考える際には、「ジェンダー問題に興味があります」「女性の政治参加を学びたいです」と述べるだけでは、なぜそのテーマを学びたいのかが十分に伝わらないことがあります。

まずは、自分が問題を意識した具体的なきっかけを振り返ってみましょう。

たとえば、政治に関するニュースを見て女性議員の少なさに疑問を持ったとします。そこから「なぜ女性が政治に参加しにくい状況が生まれるのだろう」と調べ、制度だけではなく家庭での役割分担や社会的な価値観も関係していることに関心を持ったのであれば、問題意識が一段深まります。

また、家族の介護や子育てに関するニュースをきっかけに、「ケアの負担を個人だけに任せるべきなのか」と疑問を持つことも、福祉国家や政治学への関心につながります。

自分の経験や気づき、そこから生まれた問い、大学でさらに学びたい内容という流れを意識して整理してみてください。


政治のニュースを「誰に影響するか」という視点で見る

政治学への興味を深めるためには、日頃のニュースの見方を少し変えてみることもおすすめです。

政策について「賛成か反対か」だけを考えるのではなく、「この制度によって誰が支えられるのか」「誰に負担が生じるのか」「制度を決める場にはどのような人が参加しているのか」と考えてみましょう。

同じ政策でも、立場によって受け止め方が異なることがあります。その違いを知ることで、一つの社会問題をより立体的に見ることができます。

さらに、日本だけではなく海外の制度にも目を向けると、「別の方法もあるのではないか」という視点が生まれます。

当たり前だと思っている社会の仕組みに疑問を持つことが、政治学を学ぶ第一歩です。


まとめ

三浦まり教授が研究されている現代日本政治、福祉国家、ジェンダーと政治、女性の政治参画などのテーマは、「誰もが暮らしやすく、意思決定に参加できる社会をどのようにつくるのか」という大きな問いにつながっています。

福祉国家を考えることは、子育てや介護などの負担を誰が担うのかを考えることです。ジェンダーと政治を学ぶことは、制度や社会の仕組みが人々の選択肢にどのような影響を与えているのかを考えることでもあります。

また、女性の政治参画を考えることは、単に議員の人数を見るだけではなく、誰が意思決定の場に参加しやすく、誰が参加しにくいのか、その背景まで考えることにつながります。

上智大学法学部法律学科を志望している人は、政治や社会保障のニュースを見たときに、「この制度は誰にとってどのような意味を持つのだろう」と考えてみてください。

その小さな疑問を掘り下げることが、政治学への興味を深め、自分が大学で考えたいテーマを見つけるきっかけになります。

提出書類や面接に向けて、自分の経験と政治学への関心をどのように結びつければよいのか、一人で整理することが難しい場合は、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。今後、教員情報、授業内容、入試制度等が変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。