上智大学法学部法律学科|白石友行教授に学ぶ「民法」とAI・仮想空間をめぐる新しい法律問題

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、「上智大学法学部法律学科・白石友行教授の研究から考える、民法とAI・仮想空間をめぐる法律問題」です。


上智大学法学部法律学科で学ぶ「民法」とは

上智大学法学部法律学科には、民法を専門とする白石友行教授がいらっしゃいます。白石教授は契約不履行法や不法行為法、人の法、フランス民法などを研究するとともに、AIや仮想空間、アバターといった先端技術に関わる法的な研究にも取り組んでいます。授業では「民法総則Ⅱ」「債権法各論Ⅰ」などを担当されています。

民法は、私たちの日常生活にとても深く関わる法律です。商品を買う、サービスを利用する、お金を貸し借りする、誰かに損害を与えてしまうなど、身近な出来事の多くに民法の考え方が関わっています。

法律というと、犯罪や裁判をイメージする人も多いかもしれません。しかし、私たちが普段行っている契約や人間関係を支えているルールも、法律学の重要な研究対象です。


「契約不履行」とは約束が守られなかったときの問題

白石教授の研究分野の一つである契約不履行法は、簡単にいえば、契約によって約束したことが守られなかった場合にどうするのかを考える分野です。

たとえば、インターネットで商品を購入して代金を支払ったのに商品が届かなかった場合を考えてみましょう。購入者は商品を受け取ることを期待して代金を支払っています。それにもかかわらず、相手が約束を果たさなければ問題になります。

そのとき、商品を届けるよう求めることができるのか、契約をやめることができるのか、損害が発生した場合には賠償を求められるのかなど、さまざまな法律上の問題が生じます。

私たちは普段、「契約している」と強く意識せずに多くのサービスを利用しています。しかし、買い物やオンラインサービスへの登録なども、法律の視点から見ると契約と関係しています。


「不法行為法」は誰かに損害を与えたときのルール

不法行為法も、私たちの生活に非常に身近な分野です。

たとえば、自転車を運転中に歩行者とぶつかり、相手にけがをさせてしまった場合を考えてみましょう。そこでは、治療費などの損害について誰がどのような責任を負うのかという問題が生じます。

また、インターネット上で他人の権利を侵害したり、サービスの不具合によって利用者に損害が発生したりする場合にも、民法上の責任が問題になることがあります。

不法行為法では、単に損害が発生したという事実だけではなく、誰に責任があるのか、どのような行為によって損害が生じたのか、どこまで損害を補償するべきなのかなどを考えていきます。

こうした考え方は、AIや仮想空間が広がる現代社会でも重要になっています。


AIが引き起こした問題は誰の責任になるのか

AIの利用が広がることで、これまでにはなかった法律問題も生まれています。

たとえば、AIを利用したサービスが誤った判断を行い、その結果として誰かに損害が発生した場合を考えてみましょう。

AIそのものに責任を負わせることができるのか、AIを開発した企業が責任を負うのか、それともAIを利用した人に責任があるのか。状況によって考えるべき要素は大きく異なります。

従来の民法は、人や企業の行為を中心に制度がつくられてきました。しかし、人間が一つひとつ直接判断するのではなく、AIが一定の判断を担う場面が増えれば、「誰の行為として考えるのか」という新しい問題が生じます。

既存の法律の考え方をどこまで使うことができるのか、そして新たなルールが必要なのかを検討することが、先端技術と法律を考える面白さの一つです。


仮想空間やアバターにも法律は必要なのか

白石教授の研究テーマには、仮想空間やアバターに関わる法的問題も含まれています。

オンラインゲームや仮想空間では、自分自身の代わりとなるアバターを使って他の人と交流することがあります。今後、こうした空間で買い物をしたり、仕事をしたり、さまざまなサービスを利用したりする機会がさらに増える可能性があります。

そこで問題になるのが、仮想空間で起きたトラブルを法律上どのように考えるのかという点です。

たとえば、仮想空間で購入したデジタル上のアイテムが突然使えなくなった場合、利用者にはどのような権利があるのでしょうか。アバターを通じて誰かの権利を侵害した場合、その責任は誰が負うのでしょうか。

現実世界と仮想空間の境界が少しずつ変化する中で、民法がどのような役割を果たすべきかを考える必要があります。


AIが作った作品の権利は誰のものなのか

生成AIの普及によって、高校生のみなさんにも身近になったテーマとして、AIが生み出した文章や画像、音楽などがあります。

AIが作った作品について「誰のものなのか」と疑問を持ったことがある人もいるのではないでしょうか。

この問題には民法だけでなく、著作権をはじめとするさまざまな法律分野が関係します。大切なのは、新しい技術が登場すると、これまで当然だと思われていた「人が作る」「人が決める」という前提そのものを考え直す必要が出てくるということです。

また、AIを使ったサービスを利用する際には、利用者とサービス提供者との契約関係もあります。問題が起きたときに誰が責任を負うのかという点では、民法の基本的な考え方が重要になります。

AIという新しいテーマであっても、その土台には契約や責任といった、これまで民法が積み重ねてきた考え方があります。


新しい技術を昔からある法律でどう考えるか

AIや仮想空間について考えると、「新しい法律をつくればよい」と思うかもしれません。しかし、社会に新しい技術が登場するたびに、すべての法律を一からつくり直すわけではありません。

まずは、これまで使われてきた民法の考え方を、新しい状況にも当てはめることができるのかを検討します。

たとえば、AIを利用した契約でも、「誰と誰の間にどのような約束があったのか」という契約法の基本的な考え方は重要です。AIが関係する事故でも、「誰の行為によってどのような損害が発生したのか」という不法行為法の視点が必要になります。

そのうえで、従来のルールではどうしても解決できない問題があれば、新しい制度について検討することになります。

前例のない問題だからこそ、既存の知識を土台にしながら新しい状況に合わせて考える柔軟さが求められます。


大学の民法では「なぜそう考えるのか」を説明する

大学で民法を学ぶ際には、法律の条文を覚えるだけでは十分ではありません。

具体的な事例について、「この場合には誰が責任を負うべきなのか」「なぜその結論になるのか」を、法律上の根拠を示しながら考えていきます。

特にAIや仮想空間のような新しい分野では、過去とまったく同じ事例が存在しない場合もあります。

そのようなときには、自分がすでに学んだ法律の考え方を整理し、「この部分は従来の事例と共通している」「ここは新しい問題なので別の考え方が必要だ」と分析することになります。

答えを暗記するのではなく、自分で理由を考え、根拠を持って説明することが、大学での法律学の大きな特徴です。


推薦入試を考える高校生が意識したいテーマ

上智大学法学部法律学科の推薦入試を考えている人にとって、AIやデジタル技術は問題意識を見つけやすいテーマの一つです。

たとえば、次のような疑問から考えを深めることができます。

  • AIの誤った判断によって損害が発生した場合、誰が責任を負うのか
  • 仮想空間で購入したものには、現実世界の所有物と同じような権利が認められるのか
  • アバターを使った行動について、現実の本人はどこまで責任を負うのか
  • 新しい技術が登場したとき、法律はどのタイミングで変えるべきなのか

こうしたテーマには、簡単に一つの答えを出せないものもあります。

だからこそ、「私はこう思う」だけで終わるのではなく、利用者、企業、被害を受ける人、社会全体など、それぞれの立場から考えてみることが大切です。


志望理由では「AIが好き」だけで終わらせない

提出書類や面接で問われる志望理由を考える際には、「AIに興味があるので法律を学びたい」という内容だけでは、問題意識が十分に伝わらない可能性があります。

大切なのは、AIや仮想空間を利用する中で、具体的にどのような疑問を持ったのかを整理することです。

たとえば、生成AIを利用したことをきっかけに、「AIが誤った情報を出して損害が生じた場合、誰が責任を負うのだろう」と疑問を持ったとします。

そこから調べる中で、契約や損害賠償など民法上の問題に関心を持ち、「先端技術によって新しく生じる問題に、既存の民法がどこまで対応できるのかを学びたい」と考えるようになれば、自分の問題意識と大学での学びがつながります。

新しい技術そのものへの興味から一歩進んで、「その技術によって社会のルールがどう変わるのか」という問いまで掘り下げてみることがポイントです。


普段使っているサービスを法律の視点から見てみよう

民法や先端技術に関する問題は、特別な場所にあるわけではありません。

普段使っているSNS、オンラインゲーム、生成AI、フリマアプリなどにも、契約や責任に関するさまざまなルールがあります。

サービスを利用するときに表示される利用規約も、利用者とサービス提供者との関係を考えるうえで重要なものです。

「トラブルが起きたら誰が責任を負うのだろう」「このルールは利用者と企業のどちらにとって公平なのだろう」と少し考えてみるだけでも、身近なサービスが法律学の研究テーマとして見えてきます。

新しい技術を便利なものとして利用するだけでなく、その裏側にある法律や社会のルールにも目を向けてみてください。


まとめ

白石友行教授が研究されている契約不履行法、不法行為法、そしてAIや仮想空間、アバターなどの先端技術に関する法的問題は、これからの社会を考えるうえで非常に興味深いテーマです。

AIや仮想空間のような新しい技術が登場しても、契約とは何か、誰が責任を負うのか、損害を受けた人をどのように救済するのかという民法の基本的な問いがなくなるわけではありません。

むしろ、これまでとは違う状況が生まれるからこそ、民法の考え方をどのように活用し、必要に応じて新しい制度を考えていくのかが重要になります。

上智大学法学部法律学科を志望している人は、普段使っているAIやアプリ、オンラインサービスを、「法律の視点から見るとどのような問題があるのだろう」と考えてみてください。

その小さな疑問を深めていくことが、民法という学問への理解を深め、自分が大学で学びたいテーマを見つけるきっかけになります。

提出書類や面接に向けて、自分の経験と法律学への関心をどのように結びつければよいのか、一人で整理することが難しい場合は、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。今後、教員情報、授業内容、入試制度等が変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。