
上智大学法学部法律学科|照沼亮介教授に学ぶ「刑法」と共犯・正当防衛の考え方
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、「上智大学法学部法律学科・照沼亮介教授の研究から考える、刑法における共犯と正当防衛」です。
上智大学法学部法律学科で学ぶ「刑法」とは
上智大学法学部法律学科には、刑法を専門とする照沼亮介教授がいらっしゃいます。照沼教授は、共犯、正当防衛、財産犯といったテーマを中心に研究されています。授業では「刑法各論」「刑法特殊講義Ⅰ」などを担当されています。
刑法というと、「犯罪をした人を罰するための法律」というイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、大学で学ぶ刑法は、犯罪の名前や刑罰を覚えるだけの学問ではありません。
ある行為について、「誰がどこまで責任を負うべきなのか」「どのような場合であれば処罰するべきなのか」を、具体的な事実をもとに丁寧に考えていきます。
同じように見える事件であっても、その場にいた人の行動や意図、事件が起きるまでの経緯によって、法律上の評価が変わることがあります。そこに刑法を学ぶ難しさと面白さがあります。
「共犯」とは何を考える分野なのか
照沼教授の研究テーマの一つである「共犯」とは、複数の人が関わって犯罪が行われた場合に、それぞれの人にどのような責任があるのかを考える分野です。
たとえば、ある犯罪について計画を立てた人、実際に行動した人、道具を用意した人がいたとします。全員がまったく同じ責任を負うのでしょうか。それとも、どのように関わったかによって責任は変わるのでしょうか。
ここで重要になるのは、単に「その場にいた」という事実だけではありません。その人が犯罪についてどこまで理解していたのか、どのような行動をしたのか、他の人とどのような関係にあったのかなどを細かく検討する必要があります。
刑法では、結果だけを見て一括りに判断するのではなく、一人ひとりの行動や意思を整理しながら責任の範囲を考えていきます。
身近な場面から「誰に責任があるのか」を考える
共犯は犯罪に関する専門的なテーマですが、「誰がどこまで責任を負うべきなのか」という考え方自体は、高校生活の中でも経験することがあります。
たとえば、部活動や委員会活動で何か問題が起きたとします。実際に問題となる行動をした人だけでなく、それを提案した人や手伝った人、事情を知りながら関わった人がいた場合、それぞれの責任をどう考えるべきでしょうか。
もちろん学校で起きるトラブルと刑法上の共犯を同じように扱うことはできません。しかし、「関わった人をすべて同じように評価してよいのか」「その人が何を知り、何をしたのかを見る必要があるのではないか」と考える点には共通する部分があります。
普段の生活の中でも、結果だけではなく、その人がどのような立場でどの程度関わっていたのかを考えてみることが、法律学的な視点につながります。
「正当防衛」はなぜ認められるのか
照沼教授の研究テーマには、「正当防衛」もあります。
正当防衛という言葉は、ニュースやドラマなどで聞いたことがある人も多いでしょう。簡単にいえば、自分や他人に対する不当な攻撃から身を守るために、やむを得ず一定の行為をした場合、その行為が犯罪として処罰されないことがあるという考え方です。
たとえば、自分が突然攻撃され、身を守るために相手を押し返した結果、相手がけがをしたとします。表面的には相手にけがをさせたという事実がありますが、「なぜその行動をしたのか」を考える必要があります。
他人から不当に攻撃されているにもかかわらず、一切抵抗することが認められないのであれば、自分の生命や身体を守ることが難しくなってしまいます。そのため、一定の条件のもとで自分や他人を守る行為が認められています。
どこまでなら「正当な防衛」といえるのか
正当防衛で難しいのは、「自分を守るためなら何をしてもよい」というわけではないことです。
相手からどのような攻撃を受けていたのか、その危険がどの程度差し迫っていたのか、自分が取った行動は防衛のために必要なものだったのかなど、具体的な事情によって判断が変わります。
たとえば、すでに危険がなくなっているにもかかわらず相手への攻撃を続けた場合、それをすべて正当防衛として認めてよいのかという問題が生じます。
つまり、法律では「自分を守ったから無罪」「相手を傷つけたから有罪」というように単純に判断するわけではありません。
その場で何が起きていたのかを細かく確認し、どこまでを許される防衛行為と考えるのかを慎重に検討します。この線引きが、刑法を学ぶうえで重要なテーマになります。
刑法では「結果」だけでなく「状況」を見る
共犯と正当防衛に共通しているのは、起きた結果だけを見て判断することができないという点です。
たとえば同じように人がけがをした事件でも、一方的に攻撃した場合と、自分を守るために行動した場合とでは、意味が大きく異なります。
また、複数の人が事件に関わっていたとしても、全員が同じ意図で同じ役割を果たしたとは限りません。
誰が、いつ、何を考え、どのような状況で行動したのか。その事実を丁寧に整理したうえで、法律をどのように当てはめるのかを考えていきます。
刑法の学びでは、こうした具体的な事情を一つずつ確認しながら論理的に判断していく力が求められます。
大学の刑法では具体的な事例から考える
高校までの学習では、問題に対して一つの答えを導くことが中心になる場面も多いでしょう。一方、大学で刑法を学ぶ際には、具体的な事例をもとに「この場合はどのように考えるべきか」を検討していきます。
条件を少し変えるだけで、法律上の評価が変化することもあります。
たとえば、ある人が犯罪に使われるとは知らずに道具を貸していた場合と、犯罪に使用されることを知ったうえで貸した場合では、同じ「道具を貸した」という行為でも意味が異なります。
正当防衛についても、相手が攻撃を続けている場合と、すでに攻撃をやめている場合では状況が違います。
このように条件を整理し、どの事実が法律上重要なのかを見極める作業は、高校の探究活動で一つのテーマをさまざまな角度から検証していく姿勢にも通じるところがあります。
単純な善悪だけでは判断できない
刑事事件のニュースを見ると、「この人が悪い」「厳しく罰するべきだ」と感じることもあるかもしれません。しかし、法律学では感情だけで結論を出すことはできません。
もちろん、犯罪によって被害を受けた人の立場を考えることは重要です。一方で、国家が人を処罰する以上、「本当にその人に刑事責任があるのか」を慎重に判断する必要もあります。
共犯の場合には、その人がどこまで事件に関わったのかを確認する必要があります。正当防衛の場合には、危険な状況の中でどのような行動が許されるのかを検討する必要があります。
このように、一つの立場だけではなく複数の視点から事実を見たうえで、自分の考えを根拠とともに説明することが、大学で法律を学ぶうえで大切になります。
推薦入試を考える高校生が意識したい視点
上智大学法学部法律学科の推薦入試を考えている人は、刑法の専門用語をたくさん覚えることだけに意識を向ける必要はありません。
まずは、日頃目にする社会問題について「なぜこのような判断になるのだろう」と疑問を持つところから始めてみましょう。
- 複数人が関わった事件で、それぞれの責任がどのように決まるのか疑問を持った
- 正当防衛が認められた事件を知り、どこまでが許されるのか気になった
- 同じような行為でも犯罪になる場合とならない場合があることに興味を持った
- 事件報道を見て、結果だけで人の責任を判断してよいのか疑問を感じた
こうした小さな疑問から調べ始め、自分なりに考えを深めていくことが重要です。
最初から専門家のような結論を出す必要はありません。「自分はこう思ったが、別の立場から考えるとどうだろう」と考える姿勢そのものが、法律学への関心を深めていきます。
志望理由では自分の「問い」を大切にする
提出書類や面接で問われる志望理由を考える際には、「照沼教授が共犯や正当防衛を研究しているから学びたい」という説明だけで終わらないようにしましょう。
大切なのは、自分自身がなぜそのテーマに関心を持ったのかという出発点です。
たとえば、ニュースで複数人が関わる事件を知り、「実際に犯罪を行った人と、それを手伝った人では責任は同じなのだろうか」と疑問を持ったとします。
そこから調べる中で共犯という刑法上のテーマを知り、「一人ひとりの関わり方によって責任をどのように考えるのかを学びたい」と思うようになれば、自分自身の問題意識と大学での学びがつながります。
正当防衛についても同様です。ある事件をきっかけに「自分を守る権利と、相手を傷つけてはいけないというルールをどう両立するのか」と考えたのであれば、それは大学で深めることのできる問いになります。
ニュースを刑法の視点から見てみよう
刑法への関心を深めるためには、日頃のニュースを少し違った視点から見ることもおすすめです。
事件の結果だけを見て終わるのではなく、「この人にはどのような行動があったのか」「本人はどのような状況に置かれていたのか」「なぜ裁判所はこの判断をしたのか」と考えてみてください。
また、似たような事件を複数調べてみると、事実関係の違いによって判断が変わっていることに気づく場合もあります。
その違いに「なぜ?」と疑問を持つことが、大学で刑法を学ぶための良い出発点になります。
まとめ
照沼亮介教授が研究されている共犯や正当防衛は、「誰にどこまで刑事責任を負わせるべきなのか」を考えるうえで重要なテーマです。
共犯では、複数の人が関わった事件について、それぞれがどのような役割を果たし、何を考えていたのかを丁寧に検討します。正当防衛では、自分や他人を守るための行為をどこまで認めるべきなのか、その境界を考えていきます。
刑法では、出来事を単純に善悪で判断するのではなく、その背景や状況、本人の意思などを細かく整理したうえで考えることが求められます。
上智大学法学部法律学科を志望している人は、日頃のニュースや身近な出来事の中から、「なぜこの人にはこの責任があるのだろう」「どこまでなら許されるのだろう」という問いを探してみてください。
その疑問を深く掘り下げることが、刑法という学問の面白さを知り、自分が大学で学びたいテーマを見つけるきっかけになります。
提出書類や面接に向けて、自分の経験と法律学への関心をどのように結びつければよいのか、一人で整理することが難しい場合は、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。今後、教員情報、授業内容、入試制度等が変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


