
上智大学法学部法律学科|伊藤渉教授に学ぶ「刑法」と財産犯・経済犯罪の視点
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、「上智大学法学部法律学科・伊藤渉教授の研究から考える、刑法と財産犯・経済犯罪」です。
上智大学法学部法律学科で学ぶ「刑法」とは
上智大学法学部法律学科には、刑法を専門とする伊藤渉教授がいらっしゃいます。伊藤教授は、詐欺罪を中心とした各種の財産犯や、経済犯罪などを研究テーマとされています。授業では「刑法総論」「刑法特殊講義Ⅱ」などを担当されています。
刑法というと、「犯罪をした人を罰するための法律」というイメージを持つ人が多いかもしれません。もちろん、それも刑法の重要な役割の一つです。しかし、大学で学ぶ刑法は、単に犯罪の種類や刑罰を覚えるだけの科目ではありません。
「どのような行為を犯罪として扱うべきなのか」「なぜその行為を処罰する必要があるのか」「どこまで処罰の対象を広げてよいのか」といった問題について、一つひとつ丁寧に考えていく学問です。
ニュースで犯罪事件を見たときに、すぐに「悪いことだから罰すればよい」と結論づけるのではなく、法律上どのような要件を満たしているのか、本人にどのような意図があったのかなどを細かく検討していくことが求められます。
「財産犯」とはどのような犯罪なのか
伊藤教授の研究テーマの一つである「財産犯」は、他人の財産を侵害する犯罪を扱う分野です。
代表的なものとして、窃盗罪や詐欺罪、横領罪などがあります。言葉自体はニュースなどで聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
たとえば、相手をだましてお金を受け取る行為について考えてみます。一見すると単純な詐欺のように思えても、実際の刑法では「どのような内容で相手をだましたのか」「相手はその情報を信じたのか」「その結果として財産を渡したのか」といった点を一つずつ確認していきます。
つまり、「お金を受け取った」という結果だけを見て判断するのではありません。その結果に至るまでにどのような行為があり、本人が何を考えていたのかなど、複数の要素を検討する必要があります。
こうした細かな分析こそ、大学で刑法を学ぶ面白さの一つといえるでしょう。
特殊詐欺やネット上のトラブルも刑法につながる
財産犯は、決して教科書の中だけに存在する問題ではありません。現在の社会では、身近なところにも多くの事例があります。
たとえば、電話やSNSなどを利用した特殊詐欺は、多くの人がニュースで目にしたことがあるでしょう。また、インターネット上の売買やフリマアプリを利用する機会が増える中で、商品が届かない、説明とは異なる商品が届く、代金だけを受け取って連絡が取れなくなるといったトラブルも起こっています。
ただし、トラブルが発生したからといって、必ずしもすべてが刑法上の犯罪になるとは限りません。
単なる契約上の問題なのか、それとも最初から相手をだます意図があったのかによって、法律上の扱いは大きく変わる可能性があります。
「どこからが犯罪なのか」という境界を考えることも、刑法を学ぶうえで重要なテーマです。
経済犯罪から現代社会を見る
伊藤教授は、経済犯罪についても研究されています。
経済犯罪とは、企業活動や金融取引、経済活動などに関連して起こる犯罪を考える分野です。社会や経済の仕組みが複雑になるにつれて、犯罪の形も変化していきます。
特に現在は、インターネット上でのお金のやり取りや電子的な取引が身近になりました。便利になる一方で、これまで想定されていなかった方法を使った不正行為が生まれる可能性もあります。
こうした新しい問題に対して、既存の刑法をどのように適用するべきなのか、新たなルールが必要なのかという問いも出てきます。
法律は一度決められたら終わりではありません。社会の変化に応じて、現在の法律で十分なのかを考え続ける必要があります。その意味でも、経済犯罪は現代社会と刑法の関係を考えるうえで興味深いテーマです。
大学の刑法では「条件を変えて考える」
高校までの学習では、一つの問題に対して一つの正解を導くことが中心になる場面も多いでしょう。しかし、大学で刑法を学ぶ際には、事例の条件を少しずつ変えながら考えることがあります。
たとえば、ある人が相手にうその説明をしてお金を受け取った場合を考えてみましょう。そのうそがなければ相手はお金を渡さなかったのか、本人は最初から返すつもりがなかったのかなど、条件が変わることで法律上の評価も変化することがあります。
ここでは、「詐欺だから犯罪」という単純な理解ではなく、法律が定める条件に具体的な事実を当てはめて考える力が必要になります。
この考え方は、高校の探究活動にも少し似ています。ある結果が出たときに、「なぜこの結果になったのか」「条件を一つ変えたらどうなるのか」と検証する姿勢です。
自分の思い込みだけで結論を出さず、事実を細かく整理して判断することは、刑法だけではなく法律学全体を学ぶうえで重要な力になります。
一つの事件を多角的に見る力
刑法を考えるときには、事件を一つの方向からだけ見るのではなく、複数の視点を持つことも大切です。
たとえば詐欺事件であれば、被害を受けた人の立場からすれば、被害を防ぎ、加害者に適切な責任を負わせてほしいと考えるでしょう。
一方で、刑罰は国家が個人に対して行う非常に強い働きかけでもあります。そのため、疑わしいという理由だけで簡単に人を処罰することも許されません。
被害者を守ることと、処罰される側の権利を守ること。その両方を考えながら、どこに適切な線を引くのかを検討する必要があります。
法律学では、このように複数の価値がぶつかる問題に対して、根拠を示しながら考えていきます。「自分はこう思う」で終わらず、「なぜそう考えるのか」を説明できることが重要です。
推薦入試を考える高校生が意識したいこと
上智大学法学部法律学科の推薦入試を考えている人は、刑法に関する難しい専門用語をたくさん覚えることよりも、自分が社会のどのような問題に関心を持っているのかを整理してみることが大切です。
たとえば、次のような身近な問題から考え始めることができます。
- 特殊詐欺のニュースを見て、なぜ被害がなくならないのか疑問を持った
- SNSやフリマアプリで起こる詐欺的な取引に関心を持った
- 企業による不正行為のニュースを見て、個人の犯罪との違いが気になった
- 同じような行為でも犯罪になる場合とならない場合があることに疑問を感じた
大切なのは、「詐欺に興味があります」で終わらせるのではなく、なぜその問題に関心を持ったのか、そこから何を知りたいと思ったのかまで考えることです。
日常生活やニュースから生まれた小さな疑問を掘り下げていくことで、自分が大学で学びたいテーマが少しずつ見えてきます。
志望理由では自分の問題意識を出発点にする
提出書類や面接で問われる志望理由を考える際には、伊藤教授の研究内容を調べて紹介するだけにならないよう注意しましょう。
重要なのは、まず自分自身が刑法や財産犯、経済犯罪に関心を持ったきっかけを整理することです。
たとえば、特殊詐欺のニュースをきっかけに、「高齢者などを狙った詐欺を法律はどのように処罰しているのだろう」と疑問を持ったとします。さらに調べる中で、「新しい手口が次々に登場する中で、刑法はどのように対応しているのだろう」と問題意識が深まったのであれば、それは大学での学びにつながる一つの流れになります。
自分の経験や気づきから問いが生まれ、その問いをより深く考えるために上智大学法学部法律学科で学びたいという形につなげることで、志望理由にも自分らしさが出てきます。
日々のニュースを刑法の視点から見てみよう
刑法が関わる問題は、私たちの社会のさまざまなところにあります。
特殊詐欺、インターネット上の不正、企業活動における犯罪など、ニュースで取り上げられる出来事の中にも、刑法を考えるきっかけが数多くあります。
ニュースを見るときに、「この人は悪いことをした」という感想だけで終わらせず、「どの行為が犯罪にあたるのだろう」「なぜこの行為を刑罰で規制する必要があるのだろう」「似た行為でも犯罪にならない場合はあるのだろう」と考えてみてください。
そうした問いを持つことが、大学で刑法を学ぶための第一歩になります。
まとめ
伊藤渉教授が研究されている財産犯や経済犯罪は、現代社会において非常に身近な刑法上のテーマです。
詐欺をはじめとする財産犯罪について考えるときには、単に「悪い行為だから処罰する」と考えるのではなく、どのような事実があり、法律上どのような条件を満たしているのかを丁寧に検討する必要があります。
また、インターネットや経済活動の変化によって犯罪の手法も変化しています。社会が変化する中で刑法がどのような役割を果たすべきなのかを考えることも、法律学の重要な学びです。
上智大学法学部法律学科を志望している人は、まず日々のニュースや身近な出来事の中から、「なぜこれは犯罪になるのだろう」という問いを探してみてください。その疑問を少しずつ深めることが、自分自身の学びたいテーマを見つけることにつながります。
提出書類や面接に向けて、自分の経験と法律学への関心をどのように結びつければよいのか、一人で整理することが難しい場合は、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。今後、教員情報、授業内容、入試制度等が変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


