上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|曹文静准教授の制御工学・自動運転・ロボット研究

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 機能創造理工学科の曹文静准教授と、制御工学を生かした自動運転・ロボット研究」です。

自動運転車や自律走行ロボットを見て、「機械はどうやって自分で判断して動いているのだろう?」と疑問を持ったことはありませんか。機械を目的に合わせて動かすための重要な学問の一つが「制御工学」です。今回は、制御工学を自動車やロボット、エネルギー供給などへ応用している曹文静准教授の研究を、高校生にもイメージしやすい言葉で見ていきます。


曹文静准教授はどんな研究をしている?

曹文静准教授は、上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属し、制御理論・制御工学と、その自動車やロボットなどへの応用を研究しています。

上智大学の公式情報では、研究キーワードとして、制御工学、自動制御、機械工学、電気電子工学、プログラミング、最適制御、モデル予測制御、非線形制御、自動車の自動運転、パワートレイン制御、ロボットの自動制御などが挙げられています。

経歴も特徴的です。天津大学で工学学士・工学修士を取得し、九州大学大学院で学術博士(工学)を取得。その後、2014年から2018年まで日産自動車株式会社に勤務し、2018年に上智大学 理工学部 機能創造理工学科の助教となり、2023年から准教授を務めています。

自動車開発の現場を経験した後、大学で制御理論とその応用を研究している先生です。


そもそも「制御工学」とは?

上智大学の教員紹介では、制御工学について、機械を思い通りに動かすための仕組みを考える学問であると説明されています。

たとえば自動車なら、「時速60kmで走り続けたい」と考えても、坂道や風、車両の状態によって速度は変化します。そこで現在の状態を把握し、目的の状態に近づけるためにアクセルやブレーキなどを調整する必要があります。

制御工学では、まず対象となるシステムがどのような原理で動くのかを考え、それを数式で表現します。そして、そのモデルをもとに制御方法を設計し、シミュレーションや実験によって確かめていきます。

エアコンが設定温度を保つ仕組み、ロボットが指定された位置まで移動する仕組みなども、制御という視点から考えることができます。「機械を動かす」だけでなく、「望んだ状態へどう近づけるか」を考えるところに制御工学の面白さがあります。


自動運転では「これから」を考えて車を動かす

曹准教授の研究テーマの一つが、自動車の自動運転に関わる挙動制御です。

自動運転では、単に道路上の白線を認識すればよいわけではありません。周囲の車両との位置関係や速度などを考慮しながら、車をどのように動かすかを決める必要があります。

曹准教授の研究では「モデル予測制御」も重要なキーワードになっています。これは、対象となるシステムのモデルを使って少し先の状態を予測しながら、目的に適した制御を考えていく方法です。

上智大学理工学部が公開している研究情報では、直交方向から別の車両が進入してきた場合の車線変更や速度計画、前を走る車両の挙動を先読みしながら省燃費と渋滞緩和を目指す協調型合流の制御なども研究テーマとして示されています。

「未来を完全に当てる」のではなく、得られた情報やモデルを使いながら、どのような動きが適切なのかを繰り返し計算していくところがポイントです。


高校数学が「機械を動かすための言葉」になる

曹准教授の主な担当講義として、線形代数、システム解析の基礎、ロボット工学、制御工学特論などが上智大学の公式情報で紹介されています。

高校では、関数やベクトル、微分・積分などを問題として解くことが多いでしょう。しかし大学では、数学が現実の機械やシステムの状態を表現し、動きを予測するための道具になっていきます。

たとえば自動車なら、位置、速度、加速度などが時間とともにどう変化するかを数式で考えます。複数の条件を同時に扱うためには、大学で学ぶ線形代数なども重要になります。

そのため、「数学の計算が速いから制御工学に向いている」と単純に考える必要はありません。「この数式は現実の何を表しているのだろう」「条件を変えると機械の動きはどう変わるのだろう」と考えることが、大学での学びにつながっていきます。


ロボットの自律走行にも制御工学が使われる

曹准教授は、移動型ロボットの自律走行に関する研究にも取り組んでいます。

ロボットを自律的に動かすためには、目的地を決めるだけでは足りません。周囲の状況やロボット自身の状態を把握しながら、進む方向や速度などを調整する必要があります。

ここでも「目的を設定する」「現在の状態を把握する」「どう動けば目的へ近づけるか計算する」「実際に動かして結果を確認する」という制御工学の考え方が活躍します。

高校でロボット製作やプログラミングを経験したことがある人なら、「プログラム通りに動かなかった」という経験があるかもしれません。そのとき、原因を調べて条件を変更し、再び動かしてみるという過程そのものが、大学での工学的な考え方につながっています。


EVを「走る電池」として考える研究も

曹准教授の研究は、自動車やロボットの移動制御だけにとどまりません。上智大学の公式情報では、過疎地域や災害地域へのエネルギー供給を目的とした、EVによる電力配達も主な研究テーマとして紹介されています。

電気自動車には大容量のバッテリーが搭載されています。そのバッテリーを「車を走らせるためだけのもの」ではなく、必要な場所へ電気を運ぶために利用するという発想です。

ただし、どの家庭へ、どのEVが、どのタイミングで電気を届けるのかを考えるには、多くの条件を整理しなければなりません。上智大学の教員紹介では、家庭ごとに異なる電力需要などを考慮しながら、より多くの家庭へ電力を供給するための研究が進められていることが紹介されています。

ここでは機械工学だけでなく、電気、数学、情報、最適化など複数の分野がつながります。機能創造理工学科が、物理学や数学などの理学と、機械システム、エネルギー、電子機器などの工学を融合的に学ぶ学科であることをイメージしやすい研究例でもあります。


高校生活の経験から「制御」の問いを探してみよう

曹准教授の研究に興味を持った人は、いきなり高度な制御理論を理解しようとしなくても大丈夫です。まずは身近な技術から疑問を探してみましょう。

「自動運転車は急な飛び出しにどう対応するのだろう」「渋滞を減らすために車同士が情報を共有すると何が変わるのだろう」「配送ロボットは障害物を避けながらどう目的地へ向かうのだろう」「EVのバッテリーを地域の電力供給に使うにはどんな条件が必要なのだろう」といった問いも考えられます。

科学部やロボット部に所属していなくても、普段利用している自動車、電車、家電などから疑問を見つけることはできます。大切なのは経験の派手さではなく、疑問を持った後に調べ、さらに新しい問いへ発展させていくことです。


推薦入試に向けて「自分の関心」と研究をつなげる

上智大学 理工学部 機能創造理工学科の推薦入試を考えているなら、「自動運転に興味があります」「ロボットが好きです」だけで終わらせず、なぜ興味を持ったのかを掘り下げてみましょう。

たとえば、「自動運転に興味がある」から、「周囲の状況が変化する中で、車はどう安全な動きを決めるのか疑問を持った」、さらに「そこで制御工学について調べ、曹准教授のモデル予測制御や自動車の挙動制御に関心を持った」というように、自分の疑問と大学での研究をつなげることができます。

研究テーマを高校生の段階で完全に決める必要はありません。出願書類や面接に向けては、自分が何を経験し、何に疑問を持ち、何を調べ、その結果として上智大学 理工学部 機能創造理工学科で何をさらに学びたいと思ったのかを整理してみることが大切です。


身近な機械の「なぜ動ける?」から学びを広げよう

曹文静准教授の研究を見ていくと、自動運転、ロボット、EV、エネルギー供給という一見異なるテーマが、「目的に合わせてシステムをどう制御するか」という共通した問いでつながっていることが分かります。

上智大学 理工学部 機能創造理工学科を目指している人は、身近な機械をただ便利なものとして使うだけでなく、「どうしてこの動きができるのだろう」「もっと安全に、効率よく動かすにはどうすればよいのだろう」と考えてみてください。高校で学んでいる数学や物理、情報が、大学でどのように現実のシステムを動かす学問へ発展するのかを調べることも、学科への理解を深めるきっかけになります。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。