
上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|鈴木隆教授のアンモニア燃焼・カーボンフリーエンジン研究
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 機能創造理工学科の鈴木隆教授と、アンモニア燃焼・カーボンフリーエンジンの研究」です。
自動車やエンジンに興味がある人の中には、「これから脱炭素が進んだら、エンジンはなくなるのだろうか?」と疑問を持ったことがある人もいるかもしれません。実は、燃料や燃焼方法そのものを見直すことで、環境負荷の低減を目指す研究も進められています。今回は、その一つであるアンモニア燃焼を研究する鈴木隆教授について、高校で学ぶ物理や化学とのつながりも含めて見ていきます。
鈴木隆教授はどんな研究をしている?

鈴木隆教授は、上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属し、熱工学を専門としています。上智大学の公式情報では、主な研究テーマとして「低炭素社会を実現するためのカーボンフリーエンジンに関する研究」が紹介されています。
研究キーワードには、アンモニア燃焼、核沸騰熱伝達、PIV、熱交換器、深層学習、熱損失、内燃機関などがあります。さらに、上智大学理工学部が公開している2025年度の活動報告では、カーボンニュートラル燃料を対象とした燃焼工学、内燃機関の燃焼特性・熱効率・排出特性、エンジン内の流れの可視化、沸騰熱伝達、機械学習を利用した燃焼予測など、幅広い研究が示されています。
つまり、単に「新しい燃料を使うエンジンをつくる」という研究ではありません。燃料がどのように燃えるのか、エンジン内部で熱や気体がどう動くのか、どのように効率を高められるのかといった複数の問題を、実験や数値解析、データ分析などから考える研究です。
なぜアンモニアを燃料として研究するの?
鈴木教授の研究を理解する重要なキーワードが「アンモニア」です。アンモニアは窒素と水素からできており、分子の中に炭素を含みません。そのため、アンモニアそのものを燃料として燃焼させる際には、燃料由来の二酸化炭素を排出しないという特徴があります。
上智大学の教員紹介では、水素と比較した場合の輸送コストなどの観点から、アンモニアがエネルギーキャリアとして期待されていることも説明されています。
ただし、「アンモニアを使えば環境問題がすべて解決する」という単純な話ではありません。アンモニアをどのように製造するのか、その過程でどの程度のエネルギーを使うのか、燃焼時にどのような物質が発生するのかなど、技術を社会で利用するためには多くの条件を考える必要があります。
科学技術を考えるときには、一つの長所だけを見るのではなく、課題や条件まで含めて考えることが大切です。こうした視点は、理工学を学ぶうえでも重要になります。
「燃える」という身近な現象を科学する
高校の化学では、燃焼を化学反応として学びます。一方、実際のエンジンでは、燃料を燃やせばそれだけで動くわけではありません。
どのくらいの温度で着火するのか、燃料と空気がどのように混ざるのか、燃焼によって発生した熱がどこへ移動するのか、燃焼室の中で気体がどのように流れるのかなど、多くの現象が同時に起きています。
上智大学の公式情報では、鈴木教授がアンモニア燃焼の不安定性に対して深層学習を活用した研究を行っていることも紹介されています。また、近年の研究では、噴射条件と燃焼挙動の関係や、サブチャンバーを利用した高効率燃焼なども研究対象となっています。
高校で学んだ「燃焼」という一つの現象が、大学では熱力学、流体力学、化学反応、計測、コンピュータによる解析などを組み合わせた研究テーマへ発展していくのです。
PIVでエンジン内部の「流れ」を見る
鈴木教授の研究キーワードには「PIV」もあります。PIVはParticle Image Velocimetryの略で、日本語では粒子画像流速測定法などと呼ばれます。流体の中にある微小な粒子を撮影し、その移動を画像から分析することで、気体や液体がどのように流れているのかを調べる方法です。
エンジン内部の燃焼を理解するには、温度や圧力だけでなく、空気や燃料がどのように動いているかを知る必要があります。高校物理で学ぶ速度、圧力、エネルギーなどの概念が、大学では実際の流れを測定し、複雑な現象を分析するための基礎になります。
公式の活動報告では、高速PIVを利用した燃焼室内流動の可視化や乱流解析も研究分野として示されています。「目に見えにくい現象をどうやって測るのか」という問いも、工学研究の面白さの一つです。
熱をどう扱うかも重要な研究テーマ

鈴木教授は、核沸騰熱伝達や熱交換器、内燃機関における熱伝達についても研究しています。
エンジンでは燃焼によって高い温度が発生します。しかし、発生したエネルギーのすべてを動力として利用できるわけではなく、一部は熱として失われます。そのため、「どこでどの程度の熱が移動しているのか」「どうすれば熱損失を抑えられるのか」を理解することが、効率を考えるうえで重要です。
高校物理で熱力学を学んだとき、「この公式が実際に何に使われるのだろう」と感じる人もいるでしょう。大学では、熱、仕事、エネルギー、温度変化といった概念が、エンジンや熱交換器など実際の機械を分析するための道具になります。
深層学習もエンジン研究に使われる
さらに興味深いのが、鈴木教授の研究に「深層学習」が取り入れられていることです。深層学習はAIを支える技術の一つで、大量のデータから特徴や関係を学習する方法です。
2025年度の公式活動報告では、機械学習を活用した燃焼・圧力予測やモデル化も研究分野として挙げられています。
ここから分かるのは、現代の機械工学が、機械だけを扱う学問ではないということです。物理や数学を基礎としながら、計測技術やプログラミング、データ分析などを組み合わせて複雑な現象を理解していきます。
そのため、「プログラミング経験がないから関係ない」と考える必要もありません。高校の段階では、まず「データを使えば燃焼の何が分かるのだろう」と疑問を持ち、自分なりに調べてみることから始められます。
高校での経験を研究への問いにつなげよう
鈴木教授の研究に興味を持ったら、自分の日常や高校での学習から問いを探してみましょう。
たとえば、「ガソリン以外の燃料でエンジンを動かすには何が必要なのか」「燃料によって燃え方はなぜ違うのか」「エンジンから出る熱はどこへ行くのか」「アンモニアをエネルギーとして利用する場合、メリットと課題は何なのか」といった疑問が考えられます。
探究活動でエネルギー問題を調べた経験があれば、「再生可能エネルギーだけでなく、燃料やエンジンという視点からも考えてみる」とテーマを広げることもできます。
重要なのは、特別な研究実績を持っていることではありません。身近な疑問から出発し、調べた結果から新しい疑問を見つけ、さらに考えていくことです。
推薦入試に向けて研究内容をどう生かす?
推薦入試を考えている人は、「環境問題に興味があります」「自動車が好きです」というところから、もう一段深く自分の関心を整理してみましょう。
たとえば、自動車が好きなのであれば、「エンジンの燃焼効率に興味を持った」「脱炭素化が進む中で内燃機関にはどのような可能性があるのか疑問を持った」など、自分なりの問いへ発展させることができます。
そこから鈴木教授のアンモニア燃焼や熱伝達の研究を調べれば、「自分の疑問」と「上智大学 理工学部 機能創造理工学科で行われている研究」の接点が見えてきます。
出願書類や面接に向けても、研究キーワードを並べるだけではなく、なぜ興味を持ったのか、高校で何を学んだのか、調べて考えがどう変化したのか、大学で何をさらに学びたいのかという流れを整理してみてください。
身近なエネルギーの疑問から理工学を考えてみよう

鈴木隆教授の研究を見ると、高校で学ぶ熱、エネルギー、燃焼、流体といった内容が、アンモニア燃焼やカーボンフリーエンジン、機械学習を利用した燃焼解析などの研究へ発展していることが分かります。
上智大学 理工学部 機能創造理工学科を目指すなら、「数学や物理が得意か」だけで学科との相性を考えるのではなく、自分が身近な機械やエネルギーについて何を不思議に感じているのかにも目を向けてみてください。
「エンジンはこれからどう変わるのだろう」「アンモニアを燃料として使うにはどんな課題があるのだろう」といった疑問からでも、大学で学びたいテーマを考えるきっかけになります。鈴木教授だけでなく、機能創造理工学科のほかの教員や研究分野も調べながら、自分の興味と大学での学びをつなげてみましょう。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


