上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|長嶋利夫教授の計算力学・構造物シミュレーション研究

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 機能創造理工学科の長嶋利夫教授と、コンピュータシミュレーションを活用した構造物の安全性に関する研究」です。

橋や航空機、工場の設備など、大きな力が加わる構造物の安全性はどのように確認されているのでしょうか。実物を壊して調べる方法だけでなく、現在の工学では、物理法則や数学を使ってコンピュータ上に構造物を再現し、変形や損傷を予測する方法も重要な役割を担っています。

長嶋利夫教授は、上智大学 理工学部 機能創造理工学科で、構造工学や計算力学に関する教育・研究に取り組んでいます。高校で学ぶ力学や数学が、実際の構造物を解析する技術へどのように発展していくのかを考えるうえでも興味深い研究です。


長嶋利夫教授はどんな研究者?

上智大学の公式情報によると、長嶋教授は東京大学で工学士、工学修士、博士(工学)の学位を取得しています。現在は上智大学 理工学部 機能創造理工学科の教授で、主な研究テーマは「計算力学手法を用いた構造物の損傷進展シミュレーション」です。

研究キーワードには、計算力学、有限要素法、構造力学、破壊力学が挙げられています。さらに、上智大学理工学部の活動報告書では、研究分野として「計算破壊力学」、キーワードとして有限要素法、拡張有限要素法、構造力学、破壊力学、複合材料が示されています。

難しい言葉が並びますが、中心にあるのは「構造物に力が加わったとき、どこが変形し、どのように損傷していくのかをコンピュータで予測する」という考え方です。


計算力学とは?コンピュータの中で力学を再現する

計算力学とは、力学の問題をコンピュータシミュレーションによって解くための方法論を研究する分野です。

高校の物理では、物体に働く力や運動、エネルギーなどについて学びます。問題集では比較的単純な形の物体を扱うことが多いですが、現実の航空機や機械、プラント設備は複雑な形をしています。材料の性質も一様とは限らず、実際に加わる力もさまざまです。

そこで活用される代表的な方法が「有限要素法」です。複雑な構造物を小さな領域に分け、それぞれについて計算し、全体の変形や力のかかり方を求めていきます。上智大学の2026年度の科目情報でも、長嶋教授が「有限要素法の基礎」を担当していることが確認できます。

高校で学んでいる数学や物理が、大学ではコンピュータによる数値計算と結びつき、現実の構造物を解析する道具になっていくのです。


「ひび割れがどう広がるか」を予測する

長嶋教授が特に取り組んでいるのが、構造物の損傷進展をシミュレーションする方法の研究です。

構造物に小さな「き裂」が生じたとします。その時点ですぐに全体が壊れるとは限りません。しかし、力が繰り返し加わることで、き裂が少しずつ進み、最終的な破壊につながる可能性があります。こうした現象を扱うのが破壊力学です。

長嶋教授の研究テーマには「拡張有限要素法(XFEM)」があります。これは、き裂などによって構造内部に生じる不連続な状態を扱いやすくするために、従来の有限要素法を拡張した解析手法です。また、メッシュフリー法と呼ばれる新しい計算力学手法についても研究しています。

大切なのは、コンピュータに計算させれば自動的に正しい答えが出るわけではないという点です。現実の現象をどのような数理モデルで表すのか、計算結果が実際の現象を適切に再現しているのかを検討する必要があります。ここに、物理、数学、工学、コンピュータを組み合わせて考える計算力学の面白さがあります。


航空機やプラント機器など幅広い構造物を研究

上智大学公式サイトでは、長嶋教授の研究対象として、航空機構造や配管・圧力容器などのプラント機器が紹介されています。

さらに近年の研究テーマを見ると、プラント機器構造のき裂進展解析、複合材料構造の損傷進展解析、CFRP製航空機主翼構造の解析などが挙げられています。CFRPとは、炭素繊維と樹脂を組み合わせた「炭素繊維強化プラスチック」のことで、軽さと強さを生かして航空機などにも利用されている材料です。

2025年には、長嶋教授と大学院生らによる電力中央研究所との共同研究成果が、日本計算工学会の2024年度論文賞を受賞しています。

つまり、計算力学は単にコンピュータ上できれいな画像をつくる研究ではありません。構造物の強度や信頼性をどのように評価するのかという、現実の工学につながる研究なのです。


高校の物理・数学からどのようにつながる?

長嶋教授の研究に興味を持った高校生は、まず普段の数学や物理を「公式を覚える科目」だけで終わらせないことを意識してみてください。

たとえば物理で力や運動を学んだとき、「同じ力を加えても、物体の形や材料が変われば変形の仕方はどう変わるのだろう」と考えることができます。数学で関数や微分・積分を学んだときにも、「現実の物体の変形を数式でどのように表現するのだろう」と問いを広げられます。

また、飛行機に乗った経験から「軽い航空機が大きな力に耐えられるのはなぜだろう」と考えたり、ニュースで設備事故を見て「小さなき裂から大きな破損につながる過程を事前に予測できないのだろうか」と疑問を持ったりすることも、理工学への入口になります。

計算が得意かどうかだけで学科との相性を判断する必要はありません。「目の前の現象がなぜ起こるのかを知りたい」という疑問を、数学や物理を使って考えてみる姿勢も大切です。


上智大学 理工学部 機能創造理工学科で学ぶ意味

上智大学 理工学部 機能創造理工学科は、物理学や数学などの理学と、機械工学、電気・電子工学などの工学を融合的に学ぶことを特徴としています。

長嶋教授の研究も、その特徴をイメージしやすい一例です。物体に力が加わったときの現象を物理的に理解し、それを数学で表現し、さらにコンピュータを使って計算する。そして、その結果を航空機や機械構造物などの工学的な課題へつなげていきます。

「ものづくりがしたい」だけではなく、「壊れるとは物理的にどういうことなのか」「安全性をどう数値で評価できるのか」「現実の現象をコンピュータ上でどう再現するのか」といった問いに興味がある人にとっても、調べてみる価値のある研究分野です。


推薦入試では自分の興味を一段深く考えてみよう

推薦入試を考えている場合、教授の研究内容を暗記して説明できるようにすることが目的ではありません。研究内容を知ったうえで、自分がどこに興味を持ったのかを考えることが重要です。

たとえば「航空機が好きです」から始まった興味でも、「なぜ軽い材料で安全な構造をつくれるのか」「材料に小さな損傷が生じたとき、それをどのように評価するのか」と問いを深めることができます。

高校の探究活動や授業でシミュレーション、構造物、材料などを扱った経験があれば、「何をやったか」だけではなく、予想と結果にどのような違いがあったのか、そこから何を疑問に思ったのかまで振り返ってみましょう。

こうした整理を重ねることで、自分の興味と上智大学 理工学部 機能創造理工学科での学びとの接点が見えてきます。出願書類や面接で志望理由を考える際にも、「大学名」や「学科名」だけではなく、「なぜこの研究分野に関心を持ったのか」を自分の言葉で考える材料になります。


身近な「壊れる」を理工学の問いにしてみよう

長嶋利夫教授の研究を知ると、私たちの身の回りにある「壊れないようにつくる」という当たり前のことの裏側にも、数学や物理、コンピュータを使った研究があることが分かります。

航空機や機械だけでなく、自転車、家電、建物などを見たときにも、「どこに大きな力がかかるのだろう」「材料を変えたらどうなるのだろう」「壊れる前にコンピュータで予測できるのだろう」と考えてみてください。

高校で学んでいる数学や物理を、現実の世界にある疑問と結びつけるところから、大学で研究したいテーマが少しずつ見えてくるかもしれません。上智大学 理工学部 機能創造理工学科を志望している方は、長嶋教授の研究だけでなく、学科に所属する他の先生の研究も調べ、自分が面白いと感じる問いを探してみましょう。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。