上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|中村一也教授の超伝導・電力機器研究

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 機能創造理工学科の中村一也教授と、超伝導技術を電力機器へ応用する研究」です。

「超伝導」という言葉を、ニュースやリニアモーターカーの話題などで聞いたことがある人もいるかもしれません。電気抵抗がなくなるなど、通常の物質とは異なる性質を示す超伝導は、エネルギーや大型研究施設など、さまざまな分野への応用が研究されています。

中村一也教授は、こうした超伝導の特徴を実際の電力機器などへ生かす研究に取り組んでいます。高校で学ぶ電気や磁気が、大学ではどのような技術へ発展していくのかを考えてみましょう。


中村一也教授はどんな研究者?

上智大学の公式情報によると、中村一也教授は現在、上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属し、「電力機器のための超伝導利用技術に関する研究」に取り組んでいます。修士(工学)と博士(工学)の学位はいずれも上智大学で取得しています。

研究キーワードとして挙げられているのは、「電力機器」「核融合」「マグネット」「超伝導」です。2002年にはマサチューセッツ工科大学(MIT)のPlasma Science & Fusion Centerで客員研究員を務め、その後、核融合科学研究所や高エネルギー加速器研究機構でも共同研究に携わっています。

上智大学では電気・電子工学の助手・助教を経て、2008年から機能創造理工学科に所属し、2011年に准教授、2021年に教授となりました。

つまり、中村教授の研究を知るときのポイントは、超伝導という物理現象そのものだけではなく、「その性質をどのような装置や電力・エネルギー技術に利用できるのか」という工学的な視点にもあります。


そもそも「超伝導」とは何だろう?

電線に電流を流すと、一般的には電気抵抗によってエネルギーの一部が熱になります。ところが、ある種の物質を非常に低い温度まで冷やすと、電気抵抗がゼロになる「超伝導」と呼ばれる状態が現れます。

超伝導には、電気抵抗がなくなる性質だけでなく、磁場との間に通常とは異なる現象が生じるという特徴もあります。こうした性質を利用することで、強力な磁場を発生させる超伝導マグネットなどをつくることができます。

ただし、「電気抵抗がゼロだから、すぐに何にでも利用できる」という単純な話ではありません。超伝導状態を保つための冷却、装置の安定性、磁場や電流の変化に対する特性など、実際の機器として利用するためには多くの工学的課題を検討する必要があります。

中村教授の研究は、こうした超伝導の特徴を理解したうえで、実際に役立つ装置へ展開していく研究だと考えるとイメージしやすいでしょう。


核融合研究を支える超伝導コイル

中村教授の研究テーマの一つが、核融合炉用超伝導コイルに関する研究です。上智大学の公式な研究情報では、近年もJT-60SAの超伝導コイルを対象とした熱的安定性評価やクエンチ保護技術などの研究課題が確認できます。

核融合では、非常に高温になったプラズマを扱うため、強力な磁場を利用してプラズマを制御する方法が研究されています。その磁場をつくる重要な要素の一つが超伝導コイルです。

ここで重要になるのが「安定性」です。超伝導コイルが想定した状態で働き続けられるのか、温度や電流などの変化によって超伝導状態が失われた場合にどう対応するのか。大規模な装置だからこそ、超伝導という現象を理解するだけではなく、機器として安全かつ安定して利用するための研究が必要になります。

核融合を「未来のエネルギーだからすぐに社会問題を解決してくれる技術」と考えるのではなく、その実現に向けて材料、電気、磁気、冷却、制御など多くの研究課題が積み重ねられていることにも目を向けてみましょう。


超伝導技術は核融合だけではない

上智大学の公式情報では、中村教授は核融合炉用超伝導コイルだけでなく、伝導冷却型超伝導コイルや高温超伝導回転機などの研究開発にも取り組んでいます。

さらに、これまでの研究では、素粒子加速器用の超伝導マグネット導体、超伝導電力貯蔵装置、磁気浮上システムなども研究テーマとして扱われてきました。

同じ「超伝導」という物理現象でも、応用先によって求められる性能は異なります。強い磁場をつくりたいのか、電気エネルギーを効率的に扱いたいのか、物体を磁気的に浮上させたいのか。目的に応じて、材料や装置の構造、冷却方法などを考える必要があります。

このように、一つの物理現象を理解することから始まり、それを社会で利用できる技術へ発展させていくところに、機能創造理工学科で学ぶ工学の面白さの一端があります。


高校の物理・数学はどうつながる?

超伝導は大学で本格的に学ぶ内容ですが、その入口は高校で勉強している数学や物理ともつながっています。

たとえば高校物理では、電流、電圧、抵抗、磁場、電磁誘導などについて学びます。「電流が流れると磁場が生まれる」という内容も、超伝導マグネットを理解していくための基礎の一つです。

中村教授は学部で「電気回路Ⅰ」「パワーエレクトロニクス」「機能創造理工学実験・演習」などを担当しています。パワーエレクトロニクスとは、半導体などを使って電気エネルギーを効率よく変換・制御する技術分野です。

高校では問題を解くために公式を使うことが多いと思いますが、大学ではさらに、「実際の装置では何が起こるのか」「理論通りにならないのはなぜか」「どのような条件なら安定して動作するのか」といった問いへ発展していきます。


身近な疑問から研究への入口を探してみよう

中村教授の研究に興味を持ったからといって、高校生の段階で超伝導について高度な専門知識を持っている必要はありません。

たとえば物理の授業から、「そもそも電気抵抗はなぜ生まれるのだろう」と疑問を持つこともできます。ニュースでエネルギー問題を知り、「発電することだけではなく、電気を効率よく利用する技術も重要なのではないか」と考えることもできます。

リニアモーターカーなどをきっかけに磁気浮上へ興味を持った人なら、「強い磁場をどのようにつくるのか」「超伝導を利用すると何が変わるのか」と調べてみてもよいでしょう。

大切なのは、最初から難しい研究テーマを設定することではありません。身近な疑問について調べ、その過程で新しい疑問を見つけていくことが、大学で学びたい内容を考えるきっかけになります。


推薦入試に向けて研究内容をどう生かす?

上智大学 理工学部 機能創造理工学科の推薦入試を考える場合、教員の研究テーマを調べることは、自分の興味と大学での学びを結びつける材料になります。

ただし、「中村教授の研究室に入りたいです」と書くだけでは、自分自身の問題意識は十分に伝わりません。

たとえば、「エネルギー問題に興味があります」から、「電気をつくる方法だけでなく、電力を効率的に利用する技術にも関心を持った」「高校物理で電磁誘導を学び、磁場を利用した装置について調べた」「そこから超伝導を電力機器へ応用する研究を知った」というように、自分の経験と疑問の変化を整理してみましょう。

探究活動や科学部などの大きな実績がなければならないわけではありません。授業、ニュース、身近な製品への疑問などをきっかけに、何を調べ、何をさらに知りたいと思ったのかを掘り下げることができます。


「電気が流れる」を一段深く考えてみよう

私たちは毎日、照明、スマートフォン、電車、家電などを通じて電気を使っています。しかし、「電気をどうつくるか」だけでなく、「どう運び、どう変換し、どう効率よく利用するか」まで考えると、電気・エネルギーに関する研究には多くの問いがあることに気づきます。

中村一也教授の超伝導研究は、高校で学ぶ電気や磁気と、核融合用マグネットや超伝導機器といった大学での研究がつながっている一例です。

上智大学 理工学部 機能創造理工学科を考えている方は、「超伝導はすごい技術らしい」で終わらせず、なぜ電気抵抗がなくなるのか、超伝導を装置として利用するには何が課題になるのか、電力やエネルギーの未来とどう関係するのかなど、自分なりの疑問を一つ見つけて調べてみてください。

そこから、自分が大学でさらに学びたいことが少しずつ具体的になっていくはずです。もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。