
上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|野村一郎教授の半導体材料・光デバイス研究
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 機能創造理工学科の野村一郎教授と、新しい半導体材料・光デバイスの研究」です。
スマートフォンのディスプレイ、LED照明、光通信など、私たちの生活を支えるさまざまな技術に半導体が使われています。しかし、半導体研究は、すでにある半導体を使って製品をつくることだけではありません。「これまでにない性質を持った半導体材料をつくれないか」という材料そのものの研究も行われています。
今回は野村一郎教授の研究を通して、高校で学ぶ物理や化学が、半導体材料や光デバイスの研究へどのようにつながっていくのか考えてみましょう。
野村一郎教授はどんな研究者?

上智大学の公式情報によると、野村一郎教授は現在、上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属しています。研究分野は「新半導体材料の開発とデバイス応用、新機能デバイスの研究」で、学士・修士・博士(工学)の学位はいずれも上智大学で取得しています。
野村教授は、1988年から1994年にかけてAlGaInP赤色半導体レーザを研究し、1994年以降はInP基板上のⅡ-Ⅵ族化合物半導体材料の開拓とデバイス応用を研究しています。
上智大学の理工学振興会が2026年に発行した資料でも、野村教授は「青、緑、赤で光る超小型半導体レーザを目指して」と題して研究を紹介しています。新しい半導体材料をつくるところから、その特徴を生かしたデバイスへ発展させるところまでを研究している点が大きな特徴です。
「新しい半導体材料をつくる」とは?
半導体というと、シリコンを思い浮かべる人もいるでしょう。しかし、半導体にはさまざまな種類があります。野村教授が研究しているⅡ-Ⅵ族化合物半導体は、異なる元素を組み合わせてつくられる化合物半導体の一種です。
元素の組み合わせや結晶の構造などを変えると、光の吸収や発光などの性質も変化します。そこで、「どのような材料をつくれば目的とする色の光を出せるのか」「どのような構造なら新しい機能を持たせられるのか」と考えながら材料を設計していきます。
野村教授の研究では、黄色・緑色域の半導体レーザや、新しい機能を持つ光デバイスなどが研究されています。2026年の上智大学理工学振興会の資料では、Ⅱ-Ⅵ族半導体を使った材料探索からデバイス実現まで研究を進めていることが紹介されています。
つまり、「半導体について学ぶ」といっても、電子回路だけを学ぶわけではありません。物質そのものの性質を理解し、新しい材料をつくり、その材料だからこそ可能になるデバイスを考えるという研究の道もあるのです。
分子線エピタキシーで原子レベルの結晶をつくる
野村教授の研究を理解するうえで重要な技術の一つが「分子線エピタキシー」です。
難しい言葉ですが、簡単にいえば、非常に高い真空状態の装置の中で原料となる元素を基板へ供給し、薄い半導体結晶を成長させる技術です。上智大学の2026年の研究紹介でも、野村教授の研究グループが分子線エピタキシー装置を使い、半導体基板の上にさまざまな半導体層を積み重ねていることが説明されています。
ここでは「どんな元素を組み合わせるか」だけでなく、結晶をどのような条件で成長させるかも重要になります。狙った性質を持つ材料が一度で完成するとは限りません。材料をつくり、性質を測定し、その結果から次の条件を考えるという試行錯誤が研究には欠かせません。
高校の化学実験で、予想とは異なる結果が出て「なぜだろう」と考えた経験がある人もいるでしょう。大学の研究では、その「なぜ」をさらに細かく分析し、仮説を立て、条件を変えながら検証していくことになります。
高校の物理・化学からどうつながる?

半導体の性質を本格的に理解するためには、大学では量子力学なども学んでいきます。量子力学とは、原子や電子といった非常に小さな世界の現象を理解するための物理学です。
しかし、その入口には高校で学んでいる内容があります。物理で学ぶ電気や電子、波、光、化学で学ぶ原子や元素、結晶などは、半導体材料を考えるための基礎につながります。
たとえば、「LEDはなぜ色によって使われている材料が違うのだろう」「同じ電気エネルギーから、なぜ異なる色の光を出せるのだろう」と疑問を持つだけでも、半導体研究への入口になります。
大切なのは、「物理が得意だから半導体研究に向いている」と単純に考えることではありません。身近な技術の仕組みに疑問を持ち、その背景にある物理や材料についてさらに知りたいと思えるかどうかも、学問とのつながりを考えるヒントになります。
材料研究から光デバイスへつながる面白さ
上智大学の公式情報では、野村教授の研究分野として、黄色・緑色半導体レーザや新機能光デバイスの研究が紹介されています。また、これまでには発光ダイオード、太陽電池、Ⅱ-Ⅵ族化合物半導体を利用したデバイスなど、材料の特徴を生かしたさまざまな研究が行われてきました。
さらに2026年の研究紹介では、青・緑・赤の三原色で発光する一体集積型半導体レーザを目指す研究や、光ファイバー通信に関連するデバイスへの展開なども紹介されています。
ここで注目したいのは、基礎研究と応用研究が完全に分かれているわけではないことです。新しい材料の性質を調べていたら、そこから新しいデバイスの可能性が見えてくることがあります。反対に、「こんなデバイスをつくりたい」という目的から、必要な材料の性質を考えることもあります。
機能創造理工学科で扱われる学問の広がりを知るうえでも、「物理を理解する」「材料をつくる」「機能を確かめる」「デバイスへ応用する」というつながりは興味深いポイントです。
身近な製品から研究テーマを考えてみよう
野村教授の研究に興味を持ったら、まず身近にある「光を使った技術」を探してみるのもおすすめです。
たとえばLED照明、スマートフォンのディスプレイ、光ファイバー通信、レーザーなどがあります。そこで「便利だから興味があります」で終わらせず、もう一段階深く考えてみましょう。
「LEDはどのような仕組みで発光しているのか」「半導体レーザと普通のLEDは何が違うのか」「なぜ新しい半導体材料を研究する必要があるのか」と問いを広げていけば、高校で学んだ知識と大学での研究がつながってきます。
科学部などに所属していなくても構いません。授業中の疑問、ニュースで知った技術、毎日使っている製品なども、調べ方次第で立派な探究の入口になります。
推薦入試では「研究室名」だけで終わらせない
上智大学 理工学部 機能創造理工学科の推薦入試を考えている人にとって、教員の研究内容を調べることは、自分が大学で学びたいことを具体化するために役立ちます。
ただし、出願書類や面接で「半導体に興味があります」「野村教授の研究室に興味があります」と述べるだけでは、自分自身の問題意識までは十分に表現できません。
たとえば、「スマートフォンの画面に使われる発光技術に興味を持った」ことが出発点なら、そこから「発光する色と半導体材料にはどのような関係があるのかを調べた」「新しい材料の開発が新しいデバイスにつながることを知った」「大学では材料の性質からデバイス応用まで学びたい」と、自分の関心がどう深まったのかを整理できます。
高校生の段階で研究テーマを完全に決める必要はありません。むしろ、何に疑問を持ち、調べる中で考えがどう変化したのかを振り返ることが、自分の興味を具体的にする助けになります。
「なぜこの材料なのか?」から理工学を考える

普段使っている製品を見るとき、私たちは完成した機能に注目しがちです。しかし、その機能を支えている材料に目を向けると、新しい疑問が生まれます。
なぜこの半導体を使うのか。材料を変えると何が変わるのか。どのように結晶をつくるのか。新しい材料をつくることで、これまで難しかった機能を実現できる可能性はあるのか。
野村一郎教授の研究は、こうした問いを「材料の開発」と「デバイスへの応用」の両面から考える研究です。上智大学 理工学部 機能創造理工学科を志望している方は、ぜひ身近なLEDやレーザー、半導体製品から一つ疑問を見つけ、高校で学んでいる物理や化学とどうつながっているのか調べてみてください。
自分の興味と上智大学での学びを結びつけて考えることで、「大学で何をもっと知りたいのか」が少しずつ見えてくるはずです。もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


