
上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|富樫理恵准教授の半導体・結晶成長研究
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 機能創造理工学科の富樫理恵准教授と、光・電子デバイスを支える半導体結晶の研究」です。
スマートフォンのディスプレイ、信号機、パソコン、LEDなど、私たちの身の回りには半導体を利用した製品がたくさんあります。しかし、「半導体そのものをどうやってつくるのだろう」「より小さく、省電力で高性能なデバイスを実現するには、どんな材料が必要なのだろう」と考えたことはあるでしょうか。
富樫理恵准教授は、上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属し、光・電子デバイスへの応用を見据えた半導体材料の結晶成長について研究しています。高校の物理や化学で学ぶ内容が、最先端の電子デバイスへどのようにつながっていくのかを考えられる研究分野です。
富樫理恵准教授はどんな研究者?

上智大学公式サイトによると、富樫准教授の主な研究テーマは「光・電子デバイス応用、結晶成長に関する研究」です。東京農工大学で博士(工学)を取得し、2006年から2018年まで東京農工大学大学院工学研究院で研究に取り組んだ後、2018年から上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属しています。
研究キーワードとして、ハイドライド気相成長法、第一原理計算、酸化物半導体結晶成長、III族窒化物半導体結晶成長、熱力学解析、半導体結晶成長などが挙げられています。
難しい言葉が並んでいるように見えますが、中心にあるのは「目的に合った性質を持つ半導体結晶を、どのようにつくるのか」という問いです。富樫准教授は、理論的な解析だけ、あるいは実験だけに限定するのではなく、理論解析から成長手法の提案、装置の構築、結晶の作製と評価、さらにデバイスへの応用まで一貫して研究しています。
そもそも「半導体結晶をつくる」とは?
高校の化学では結晶構造について学び、物理では電気や電子について学びます。大学では、こうした知識が「どのような材料をつくれば、目的とする機能を実現できるのか」という研究へ発展していきます。
半導体の性能は、単にどの元素を使うかだけで決まるわけではありません。原子がどのように並んで結晶を形成しているか、その結晶をどのような条件で成長させるかなども重要です。
富樫准教授が研究するIII族窒化物半導体には、窒化ガリウム(GaN)などがあります。上智大学の研究紹介では、こうした半導体材料について、結晶をつくり、その性質を評価し、光・電子デバイスへ応用する研究が進められていることが紹介されています。
つまり、身近な電子機器の性能を考えるとき、完成した製品だけを見るのではなく、その内部で働いている材料の原子レベルの世界までさかのぼって考えるのが、この研究の面白さの一つです。
ナノコラムから次世代の光デバイスを考える
富樫准教授の具体的な研究テーマの一つが「窒化物ナノコラム結晶を用いた高機能光デバイスの研究」です。ナノコラムとは、非常に小さな柱状の結晶構造です。「ナノ」は10億分の1メートルという極めて小さなスケールを表します。
上智大学が公表した2025年度の研究助成に関する情報では、富樫准教授が「InGaN/GaNナノコラム結晶を用いた高輝度赤色μLEDの実現」という研究課題に取り組んでいることが紹介されています。μLED(マイクロLED)は、非常に小さなLEDを利用するディスプレイ技術です。
さらに別の研究では、赤・緑・青の発光を一つのチップ上に高密度に集積する次世代μLEDディスプレイ技術についても研究が進められています。ARやVRなどへの応用も想定されている分野であり、私たちが将来利用するディスプレイの性能を材料レベルから考える研究といえます。
実験だけでなく「計算」から材料を考える

富樫准教授の研究キーワードには「第一原理計算」や「熱力学解析」もあります。第一原理計算とは、量子力学を基礎として物質の性質などを計算する方法です。
材料研究というと、白衣を着て実験装置を操作する姿をイメージする人も多いかもしれません。しかし実際には、コンピュータを使った計算や理論的な分析も重要です。
「この条件ならどのような反応が起こるのか」「どのような条件で結晶を成長させればよいのか」と考え、理論と実験の両方から確かめていきます。予想と違う実験結果が出れば、なぜ違ったのかを考え、条件や仮説を見直すことも研究の一部です。
高校の化学実験で「教科書通りの結果にならなかった」という経験も、見方を変えれば研究につながる入口です。結果だけを正解・不正解で判断するのではなく、「なぜこの結果になったのだろう」と考える姿勢が、大学での学びにつながっていきます。
機能創造理工学科で学ぶ意味
上智大学 理工学部 機能創造理工学科では、物理学、機械工学、電気・電子工学などを横断しながら学びます。富樫准教授の研究も、結晶という「物質」を理解する視点と、それを光・電子デバイスへつなげる工学的な視点の両方を含んでいます。
たとえば「省電力な電子機器をつくりたい」という目的があったとしても、完成品の設計だけを考えればよいわけではありません。デバイスを構成する半導体材料、その結晶構造、製造方法、電気的・光学的な性質など、さまざまな段階を考える必要があります。
一つの技術を複数の角度から考えることは、機能創造理工学科の学びを理解するうえでも大切な視点です。
高校での興味を「研究の問い」に変えてみよう
富樫准教授の研究に興味を持ったら、自分の高校生活との接点を探してみましょう。
たとえば、物理で半導体や電気について学んだこと、化学で結晶や原子について興味を持ったこと、スマートフォンのディスプレイを見て「どうしてこんなに小さな画面で鮮やかな色を出せるのだろう」と疑問を持ったことも出発点になります。
そこから、「LEDはどのような仕組みで光るのか」「半導体材料が変わると何が変わるのか」「小型化と省電力化はどのように両立するのか」と問いを深めてみましょう。
科学部やコンテストなどの特別な経験がなければ考えられないテーマではありません。日常で使っている製品から疑問を見つけ、自分で調べ、その先にどんな問いが残ったのかを考えることも、大学の研究を理解する入口になります。
推薦入試では「半導体に興味がある」の一歩先へ
上智大学 理工学部 機能創造理工学科の推薦入試を考える際にも、「半導体に興味があります」「省エネルギー技術を研究したいです」という言葉だけで終わらせず、なぜ興味を持ったのかを掘り下げてみましょう。
たとえば、「スマートフォンのディスプレイ技術に興味を持って調べるうちに、性能を左右する半導体材料そのものに関心が広がった」と整理できれば、自分の経験から大学での学びまでの流れが見えてきます。
さらに富樫准教授の研究を調べ、「完成したデバイスだけではなく、材料の結晶成長から研究することに興味を持った」と考えられれば、上智大学 理工学部 機能創造理工学科で何を学びたいのかも具体化していきます。
高校生の段階で専門的な研究テーマを完成させる必要はありません。自分の疑問を出発点に、調べる、考える、新しい疑問を見つけるという過程を大切にしてください。
身近な電子機器の「材料」に目を向けてみよう

富樫理恵准教授の研究を知ると、普段何気なく使っているスマートフォンやディスプレイも、少し違って見えてくるかもしれません。その内部には半導体があり、その半導体をつくるためには結晶成長や物性評価、理論解析などの研究があります。
「この機器はどう動いているのだろう」だけでなく、「そもそも、この機能を生み出している材料はどうやってつくられているのだろう」と考えてみると、理工学の世界はさらに広がります。
ぜひ高校で学んでいる数学、物理、化学と、上智大学 理工学部 機能創造理工学科で行われている研究とのつながりを調べ、自分がもっと知りたいと思える問いを探してみてください。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


