上智大学 経済学部 経済学科|來島愛子教授に学ぶ「確率モデル」と不確実な未来への向き合い方

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、
「上智大学 経済学部 経済学科・來島愛子教授の研究から考える、確率モデルと不確実な未来への向き合い方」です。

明日の天気、試合の結果、商品の売れ行き、将来の景気など、私たちの周りには事前に結果を完全には知ることができないものがたくさんあります。それでも、人や企業は何らかの判断をしなければなりません。

こうした「未来が分からない状況を、数学を使ってどのように考えるか」を研究しているのが、上智大学経済学部経済学科の來島愛子教授です。上智大学経済学部の公式情報では、研究分野として「確率モデル、最適化理論、不確実性下の意思決定理論とファイナンスへの応用」が示されています。また、経済数学解析、線形経済数学、経済分析の数理、数理経済分析特講などを担当しています。


確率モデルとは何を考えるもの?

「確率」と聞くと、高校数学で学ぶサイコロやくじの問題を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、大学では確率を現実社会のさまざまな問題を考えるためにも利用します。

確率モデルとは、不確実な現象について、どのような結果がどの程度起こり得るのかを数学的に表現したものです。

例えば、「明日は雨が降るか、降らないか」を完全に予測することはできません。しかし、天気予報で降水確率が80%と分かれば、傘を持っていこうと判断する人は増えるでしょう。

経済でも同じように、将来の株価、企業の売上、景気などを完全に知ることはできません。そこで、未来を一つに決めつけるのではなく、さまざまな可能性を考えながら判断するために確率的な考え方が使われます。


最適化理論では「限られた条件の中で何を選ぶか」を考える

來島教授の研究分野には「最適化理論」も含まれています。

最適化とは、限られた条件の中で、目的にとってより良い選択を探す考え方です。

例えば文化祭で使える予算が5万円しかないとします。装飾に多く使えば見栄えは良くなるかもしれませんが、材料費が足りなくなる可能性があります。広告に費用を使う選択肢もあります。限られた予算をどのように配分すれば、企画全体としてより良い結果につながるのかを考える必要があります。

企業でも同様です。お金、人材、時間などは無限ではありません。「どこにどれだけ資源を使うのか」という問題は、経営や金融のさまざまな場面に存在します。


未来が分からない中でどう判断するのか

來島教授の研究では、不確実性の中での意思決定と、それをファイナンスへ応用する問題も扱われています。

例えば、100万円を投資するとします。将来必ず120万円になるのであれば判断は比較的簡単ですが、現実には「120万円になる可能性もあれば、80万円になる可能性もある」という状況があります。

そこで、「どれくらい利益を期待できるのか」だけではなく、「どの程度損をする可能性があるのか」「自分はどれくらいのリスクを受け入れられるのか」といったことも考える必要があります。

大切なのは、数学を使えば未来を完全に予言できるということではありません。分からない部分があることを前提に、その中でどのように判断すればよいのかを考えるのが、この分野の面白さです。


高校数学は現実社会とどうつながる?

数学の授業で、「この公式は将来どこで使うのだろう」と感じた経験がある人もいるかもしれません。來島教授の研究分野を見ると、数学が経済や金融の現実的な問題を考える道具になることが分かります。

高校数学では、与えられた式を計算して答えを求めることが多いでしょう。一方、大学では現実の問題を見て、「この状況をどのような数式で表せるだろう」と考えるところから始まることがあります。

例えば、「損失の可能性をどのように数字にするか」「複数の選択肢をどう比較するか」といった問題を数理的に整理していきます。

公式を覚えるだけではなく、その式が現実の何を表しているのかを理解することが、大学での数理的な経済学の学びにつながります。


日常生活にもある「不確実性」と意思決定

不確実性の中で判断する場面は、金融市場だけにあるわけではありません。

例えば部活動で大会まで1か月しかないとき、「これまでの練習を続けるのか、新しい練習方法を取り入れるのか」と迷うことがあります。新しい方法が成功する保証はありません。しかし、現在の課題や過去の結果などを材料にして判断する必要があります。

進路選択も似ています。ある大学へ進学したら将来必ずこうなる、という保証はありません。それでも、大学で学べること、自分の関心、将来の可能性など、現在集められる情報から考えて選択します。

「未来が分からないから考えても意味がない」のではなく、「未来が分からないからこそ、どの情報を使って判断するのかを考える」という視点が大切なのです。


推薦入試に向けて「数学が好き」から一歩深めてみよう

上智大学経済学部経済学科の推薦入試を考えている人の中には、数学が得意だから経済学科に興味を持った人もいるでしょう。それ自体は立派な出発点ですが、そこから「数学を使って何を考えたいのか」まで掘り下げてみると、興味がより具体的になります。

例えば、「なぜ将来が分からないのに金融商品の価格を決められるのだろう」「リスクとは数字でどのように表せるのだろう」「人によって最善の選択が違うのはなぜだろう」といった疑問があります。

数学の授業で確率を学んだことから、天気予報、保険、投資などの身近なテーマへ関心を広げてもよいでしょう。探究活動でデータを扱った経験があるなら、「データから未来についてどこまで判断できるのか」と考えることもできます。

出願書類や面接で問われる志望理由を整理するときにも、「数学が得意だから数理経済学を学びたい」で終わらせず、どのような問いに興味を持ち、その問いをなぜ経済学で考えたいのかまで整理してみてください。


数学は未来を当てるためだけのものではない

確率モデルや最適化理論を学ぶ面白さは、不確実な現実を無理に一つの答えに決めるのではなく、「どのような可能性があるのか」を整理して考えられるところにあります。

将来について完全な情報を持っている人はいません。だからこそ、現在分かっている情報をどのように整理し、どのような条件を重視して判断するのかが重要になります。

また、自分にとって望ましい選択が、別の人にとっても望ましいとは限りません。「誰の立場から考えるのか」「別の条件なら答えは変わるのか」と視点を広げてみることも大切です。

身近な「結果がまだ分からないこと」を一つ選び、「自分は何を根拠に判断しているのだろう」と考えてみてください。その問いから、確率モデル、最適化理論、数理経済学への興味が広がっていくかもしれません。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト、上智大学経済学部公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。教員の所属、研究分野、担当科目、カリキュラム、入試制度などは今後変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。