上智大学 経済学部 経済学科|倉田正充教授に学ぶ「開発経済学」と国際協力の視点

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、
「上智大学 経済学部 経済学科・倉田正充教授の研究から考える、開発経済学と国際協力」です。

世界には、十分な食料を確保できない地域、学校に通うことが難しい子どもたち、医療を受けにくい地域など、さまざまな課題があります。こうした問題を見たとき、「支援を増やせば解決するのでは」と思うこともあるでしょう。しかし、実際の国際協力では、何をどのように支援すれば人々の生活改善につながるのかを慎重に考える必要があります。

上智大学経済学部経済学科の倉田正充教授は、国際経済史、開発経済学、農業経済学、国際協力学を研究分野としています。現在、上智大学経済学部経済学科の教授であり、担当科目として国際経済史、データサイエンス概論、農業経済学特講、政策・事業評価などが公式サイトに掲載されています。


開発経済学とはどのような学問?

開発経済学とは、主に発展途上国や新興国が抱える貧困、教育、医療、雇用、農業、環境などの問題について、経済学の考え方やデータを使って分析する分野です。

上智大学大学院の公式情報では、倉田教授は途上国の貧困・環境問題や国際協力について実証研究を行っていることが紹介されています。「実証研究」とは、考え方や理論だけで結論を出すのではなく、実際の統計や調査データを使って確かめていく方法です。

例えば、「農家に資金を提供すれば貧困は改善するのか」「災害後に現金を支給すると食料不足を減らせるのか」といった問いについて、実際に支援を受けた人々の生活がどう変化したのかをデータから分析していきます。


なぜ農業が開発経済学の重要なテーマになるのか

倉田教授の研究分野には農業経済学も含まれています。多くの国や地域では、農業が人々の生活や収入を支える重要な産業です。

しかし農業は、天候、自然災害、作物の価格、市場までの距離など、さまざまな影響を受けます。良い作物を作る技術があっても、道路が整備されていなければ都市まで運べない場合があります。市場価格が大きく下がれば、豊作であっても十分な収入を得られないこともあります。

ここから、「農業技術だけを支援すれば生活は豊かになるのか」「道路や金融の仕組みも必要なのではないか」と問いを広げることができます。

開発の問題では、一つの原因だけを見るのではなく、教育、交通、雇用、金融、制度などを含めて複数の視点から考えることが重要です。


「良かれと思った支援」が本当に効果的とは限らない

国際協力について考えるとき、とても大切なのが「支援をしたこと」と「問題が改善したこと」を同じだと考えないことです。

例えば、ある地域に学校を建設したとしても、子どもが家計を支えるために働かなければならない状況であれば、学校ができただけでは通学者が増えない可能性があります。また、教材を配っても、教員が不足していれば教育の質が十分に向上しないかもしれません。

そこで必要になるのが、支援や政策の効果を客観的に確かめる視点です。倉田教授の担当科目に「政策・事業評価」が含まれていることからも、政策や国際協力の取り組みが実際にどのような結果につながったのかを検証することの重要性がうかがえます。


データを使って国際協力の効果を確かめる

倉田教授は、バングラデシュにおける災害時の支援やマイクロファイナンスに関連する実証研究などにも取り組んでいます。マイクロファイナンスとは、一般的な銀行からお金を借りることが難しい低所得層などに、小規模な融資や金融サービスを提供する仕組みです。

こうした制度も、「貧しい人にお金を貸せば生活が良くなる」と単純には言い切れません。どのような人に、どのような条件で、どれくらいの支援を行うと効果があるのかを確かめる必要があります。

ここでデータ分析が重要になります。支援を受けた人と受けていない人の状況を比較したり、時間が経った後にどのような変化があったかを追ったりすることで、政策や支援の効果をより客観的に考えることができます。


国際協力では「相手の立場」を考えることが重要

国際協力というと、「支援する側」と「支援される側」という関係を想像しやすいかもしれません。しかし、現地で暮らす人々には、それぞれの生活や文化、希望があります。

例えば、支援する側から見れば便利に思える設備でも、現地の生活習慣には合わない可能性があります。また、私たちが「この問題を解決するべきだ」と思っていても、現地の人は別の問題をより重要だと感じていることもあるでしょう。

高校でボランティア活動を経験した人の中にも、「自分たちがやりたい活動」と「相手が必要としていること」が必ずしも同じではないと感じた人がいるかもしれません。

国際協力を考えるときには、「何をしてあげるか」ではなく、「相手は何を必要としているのか」「誰の視点で問題を見ているのか」と考える姿勢が大切です。


高校までの学びと大学での開発経済学の違い

高校の地理や公共では、発展途上国の貧困、人口、農業、教育などについて学ぶことがあります。大学では、そこからさらに「なぜその問題が続いているのか」「どの政策なら改善につながるのか」と問いを深めていきます。

例えば、「貧困地域では教育環境が十分ではない」という事実を知るだけでなく、家庭の所得、学校までの距離、教育費、文化的背景など、複数の要因を分析します。

そして、政策を実施した後に本当に効果があったのかをデータで確認します。大学の開発経済学では、社会問題への関心と、経済理論やデータ分析を結びつけて考えることが重要になります。


推薦入試に向けて国際問題を「自分の問い」に変えよう

上智大学経済学部経済学科の推薦入試を考えている人も、海外でボランティアをした経験や特別な国際活動がなければならないわけではありません。

ニュースで貧困や飢餓について知ったこと、フェアトレードの商品を見かけたこと、学校の探究活動でSDGsについて調べたことなども、自分の関心を見つけるきっかけになります。

例えば、「なぜ長年支援が行われていても貧困がなくならないのだろう」「農家の収入を安定させるには何が必要なのだろう」「教育支援は本当に将来の所得を増やすのだろう」と問いを一段深めてみてください。

出願書類や面接で問われる志望理由を整理するときも、「途上国の人を助けたい」で終わらせるのではなく、なぜその問題に関心を持ったのか、どのような疑問を感じたのか、経済学を使って何を明らかにしたいのかまで考えていくことが大切です。


「支援すること」から「効果を考えること」へ

開発経済学や国際協力を学ぶ面白さは、社会問題に対する思いを、具体的な問いや分析につなげられるところにあります。

「困っている人を支援したい」という気持ちは大切です。しかし、その次に「どのような支援なら本当に役立つのか」「別の方法のほうが効果的ではないか」「現地の人はどう感じているのか」と考えることで、より深い学びにつながります。

一つの問題を、支援する側、現地で暮らす人、政府、企業など複数の立場から考えてみてください。他者の考えを知り、最初に自分が持っていた意見を見直すことも、大学での学びには欠かせません。

国際協力に関するニュースを見かけたら、「この支援はどのような結果を目指しているのだろう」「その効果はどうやって確かめるのだろう」と考えてみてください。その疑問が、開発経済学という学問への入口になるかもしれません。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト、上智大学経済学部公式サイト、上智学院教員教育研究情報データベース等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。教員の所属、研究分野、担当科目、カリキュラム、入試制度などは今後変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。