上智大学 経済学部 経済学科|川西諭教授に学ぶ「行動経済学」と人の意思決定のクセ

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、
「上智大学 経済学部 経済学科・川西諭教授の研究から考える、行動経済学と人の意思決定のクセ」です。

「期間限定だから買っておこう」「今やらなければいけないのに、ついスマートフォンを見てしまった」。そんな経験はありませんか。私たちは毎日さまざまな判断をしていますが、必ずしもすべてを冷静に比較し、自分にとって最も得になる選択をしているとは限りません。

こうした人間らしい意思決定を経済学の視点から考えるのが、行動経済学です。上智大学経済学部経済学科の川西諭教授は、ゲーム理論・行動経済学などを用いた応用経済分析を研究しています。現在の上智大学経済学部公式サイトでは、川西教授の担当科目として金融論、行動経済学、MATHEMATICS FOR ECONOMICS、CORPORATE FINANCEなどが掲載されています。


行動経済学とはどんな学問?

経済学では、人々が価格や利益などの情報をもとに意思決定する仕組みを考えます。しかし、現実の人間はいつでも完璧に情報を集め、冷静に判断できるわけではありません。

川西教授は上智大学公式サイトの研究紹介で、行動経済学を、人間の心理と経済の関係を探り、そこから経済をより良くする方法を考える学問として紹介しています。

例えば、欲しいものが5,000円で売られていても、「通常価格8,000円、今日だけ5,000円」と書かれていると、とてもお得に感じることがあります。本当に必要かどうかより、「今買わなければ損をする」という気持ちが強くなることもあるでしょう。

このように、感情や情報の見せ方、周囲の人の行動などが意思決定にどう影響するのかを考えるところに、行動経済学の面白さがあります。


なぜ「損をしたくない」という気持ちは強いのか

行動経済学を学ぶと、普段の買い物や勉強、貯蓄などにも、さまざまな意思決定のクセが隠れていることに気づきます。

例えば、1,000円をもらった喜びと、持っていた1,000円を失ったショックを比べると、同じ金額でも「失ったこと」のほうを強く感じる人がいます。

また、「半年後の大きな利益」より「今日すぐにもらえる小さな利益」を選びたくなる場合もあります。テスト勉強を早く始めれば後で楽になると分かっているのに、今日の動画やゲームを優先してしまうことも、似た構造として考えることができます。

大切なのは、こうした行動を単純に「意志が弱いから」と片づけないことです。「なぜ人はそのような選択をしやすいのか」と考えることで、人間の心理と社会の仕組みを結びつけて考えられるようになります。


ゲーム理論では「相手の行動」まで考える

川西教授の研究分野にはゲーム理論も含まれています。ゲーム理論とは、自分の判断だけで結果が決まるのではなく、相手の判断によっても結果が変わる状況を分析する考え方です。上智大学公式の教員紹介でも、ゲーム理論と行動経済学などを用いた応用経済分析が研究分野として示されています。

例えば部活動の試合で、相手が攻めてくると予想すれば守りを固めるかもしれません。しかし、相手もこちらが守りを固めると予想して作戦を変更する可能性があります。

企業同士の価格競争や交渉などでも、「相手がどう動くか」を考えたうえで自分の行動を決める必要があります。自分だけを見ていては分からない経済現象を、相手との関係から分析できるところがゲーム理論の特徴です。


行動経済学は社会をより良くすることにもつながる

行動経済学は、「人にはこんなクセがあります」と説明して終わる学問ではありません。人の心理や行動を理解し、それを社会の仕組みづくりにどう生かすかという視点もあります。

例えば健康診断を受けてもらいたいとき、「健康診断を受けてください」と伝えるだけでは行動しない人もいます。では、案内の出し方や申し込み方法を変えたらどうでしょうか。選びやすい環境をつくることで、人の行動が変化する可能性があります。

川西教授の大学公式インタビューでも、人間の心理や行動と経済の関係を研究し、経済をより良くする方法について考えていることが紹介されています。心理と経済を結びつけることで、働き方や人々のつながりなど、幅広い社会問題を考えることができます。


高校までの経済と大学の行動経済学の違い

高校の公共や政治・経済では、市場、需要と供給、金融など、社会の仕組みを理解するための基本的な知識を学びます。大学では、その知識を土台として「現実の人間は本当に理論通りに行動するのか」というところまで問いを深めていきます。

例えば、「価格が下がれば買う人が増える」という考え方を学んだ後で、「同じ価格でも表示方法が変わったら購入行動は変わるのか」「周囲の人が買っていたらどうなるのか」と考えることができます。

大学では、こうした疑問について理論だけでなく、データや実験なども手掛かりにしながら検討していきます。「人はこういうものだ」と決めつけず、根拠をもって確かめていく姿勢が大切です。


推薦入試に向けて日常の意思決定を振り返ってみよう

上智大学経済学部経済学科の推薦入試を考えている人も、最初から専門的な行動経済学を理解している必要はありません。普段の自分の行動を振り返るだけでも、多くの問いを見つけることができます。

例えば、「なぜ限定商品に弱いのだろう」「なぜ勉強は先延ばしするのに、好きなことならすぐ行動できるのだろう」「口コミの評価が高いと、自分も良い商品だと思いやすいのはなぜだろう」といった疑問です。

そこから、自分だけの経験なのか、他の人にも同じ傾向があるのかを考えてみましょう。友人と話したり、探究活動でアンケートを行ったりすると、自分とは違う行動をする人がいることにも気づくはずです。

出願書類や面接で問われる志望理由を整理する際にも、「人間の心理に興味があります」で終わらせず、どんな経験から疑問を持ったのか、経済学を使って何を考えたいのかまで深めてみてください。


自分の「当たり前」を疑うところから始めてみよう

行動経済学の面白さは、普段何気なく行っている選択そのものが研究の入り口になることです。

商品を買ったとき、勉強を後回しにしたとき、友人の意見に影響されたときに、「なぜ自分はこの判断をしたのだろう」と考えてみてください。そして、「別の人ならどう判断するだろう」「情報の伝え方が違ったら結果は変わるだろうか」と視点を広げてみましょう。

人の行動には一つの説明だけでは捉えきれない部分があります。だからこそ、自分の経験を出発点にしながら、他者の考えにも耳を傾け、データや理論を使って問いを深めていくことが大切です。

今日、自分が何かを選んだときに、一度だけ「なぜ私はこちらを選んだのだろう」と考えてみてください。その小さな疑問が、行動経済学という学問への入り口になるかもしれません。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト、上智大学経済学部公式サイト、上智学院教員教育研究情報データベース等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。教員の所属、研究分野、担当科目、カリキュラム、入試制度などは今後変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。