上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|臼杵豊展教授の天然物化学研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の臼杵豊展教授と、天然物化学の研究」です。

植物や微生物、人間を含む生き物は、体の中でさまざまな化合物をつくり出しています。そうした自然界の化合物には、医療や健康、食品などにつながる可能性を持つものもあります。臼杵豊展教授は、生物が生み出す天然有機化合物を化学の視点から研究している先生です。


臼杵豊展教授の専門は天然物化学

臼杵教授は、上智大学 理工学部 物質生命理工学科に所属し、天然物化学を専門としています。上智大学の2025年度理工学部活動報告書では、研究分野として天然物化学、有機合成化学、生物分子化学、ケミカルメディシンが挙げられています。研究キーワードには天然有機化合物、エラスチン、デスモシン、LC-MS/MS、深共晶溶媒などがあります。

天然物化学とは、人間や動物、植物、微生物などの生き物がつくり出す物質を研究する化学分野です。どのような構造をしているのか、どのような働きを持っているのかを調べるだけでなく、複雑な天然有機化合物を人工的に合成する研究も行われています。

高校の化学では、有機化合物の構造や反応について学びます。大学では、その知識を使って自然界に存在する複雑な分子を調べたり、自分たちで合成したりする研究へと発展していきます。


自然界の化合物を化学の力で読み解く

臼杵教授は「生物活性天然有機化合物の化学的研究」に取り組んでいます。生物活性とは、ある化合物が生物や細胞に対して何らかの働きを示すことです。自然界から見つかった興味深い化合物について、その構造や機能を明らかにし、有機合成化学などの手法を使って研究を進めています。

たとえば、植物がつくり出す成分について考えてみましょう。植物に含まれている化合物には、植物自身が生きていくうえで意味を持つものがあります。その中には、人間にとっても興味深い作用を示す物質があります。

ただし、「自然由来だから体に良い」と簡単に判断できるわけではありません。化学構造を明らかにし、どのような作用があるのかを実験によって確かめることが必要です。天然物化学では、こうした自然界の物質を科学的な根拠に基づいて理解していきます。


コラーゲンや弾性線維につながる研究

臼杵教授の研究テーマの一つに、人体を構成する重要な成分に関する研究があります。2025年度の研究報告では、コラーゲンに関係する架橋アミノ酸の全合成などが研究テーマとして紹介されています。また、これまでには皮膚や血管、靱帯、肺胞などに関係する弾性線維成分についても研究してきました。

さらに2026年8月には、臼杵教授によるコラーゲンの定量分析技術が「大学見本市2026 イノベーション・ジャパン」で紹介されました。同位体標識した架橋アミノ酸を合成し、LC-MS/MSという分析方法を用いてコラーゲンを定量する技術です。

LC-MS/MSは、液体中に含まれる物質を分離したうえで、その種類や量を詳しく調べる分析技術です。高校生の段階ですべての仕組みを理解する必要はありませんが、「目には見えない物質をどのように測るのか」という視点を持つと、分析化学の面白さが見えてきます。


植物から有用な成分を取り出す研究も

臼杵教授は、植物から有用な成分を抽出する研究にも取り組んできました。上智大学では過去に、サツマイモの葉からポリフェノール成分を効率よく抽出する研究成果も発表されています。通常は廃棄されることもある植物資源に含まれる成分へ目を向けることで、新しい利用方法を探ることができます。

また、現在の研究キーワードには「深共晶溶媒」も含まれています。深共晶溶媒は、複数の物質を組み合わせることによって生まれる特殊な液体で、天然物の抽出などへの活用が研究されています。

ここから分かるのは、天然物化学が「自然にある物質を見つけるだけ」の分野ではないということです。物質を見つける、構造を調べる、人工的につくる、分析する、取り出す方法を考えるなど、多くの化学的なアプローチがあります。


物質生命理工学科だからこそ考えられる「物質」と「生命」

上智大学 理工学部 物質生命理工学科では、物理学、化学、生物学などを横断しながら、物質と生命について学びます。学科では「物質とナノテクノロジー」「環境と生命の調和」「高機能材料の創成」というキーテーマを掲げています。

臼杵教授の天然物化学は、この「物質」と「生命」の接点をイメージしやすい研究の一つです。生物がつくる物質を化学的に調べ、その構造や働きを明らかにしていくためには、有機化学だけでなく、生物に関する理解や分析技術なども必要になります。

高校では化学と生物を別々の授業として学んでいても、大学の研究では分野の境界を越えて知識を組み合わせる場面があります。「化学は好きだけれど、生物にも興味がある」という高校生にとっても、物質生命理工学科の研究を調べることで新しい興味が見つかるかもしれません。


高校の化学から天然物化学へ問いを広げてみよう

天然物化学に興味を持ったら、身近なものから問いをつくってみるのがおすすめです。

たとえば、植物の色や香りは何という物質によって生まれているのか、食品に含まれるポリフェノールとはどのような構造なのか、植物から特定の成分だけを取り出すにはどうすればよいのか、と考えてみることができます。

学校の化学実験で予想と異なる結果が出た経験も、研究への入口になります。「なぜ予想と違ったのか」と考え、条件や反応の仕組みを調べてみる。このように疑問を持ち、自分で情報を探し、さらに新しい問いをつくっていくことが、大学での研究につながります。

化学が得意だから天然物化学に向いている、と単純に考える必要はありません。大切なのは、自然界の現象や物質について「なぜだろう」と興味を持ち、その疑問をさらに掘り下げてみることです。


推薦入試では「何を知りたいのか」まで考えてみる

上智大学 理工学部 物質生命理工学科の推薦入試を考えている人は、「化学が好きです」「創薬に興味があります」といった言葉から、もう一歩先まで考えてみましょう。

たとえば天然物に興味があるなら、「なぜ天然物に興味を持ったのか」「どのような物質や現象が気になっているのか」「高校で調べてみて新しく何を疑問に思ったのか」と整理すると、自分の興味が少しずつ具体的になります。

さらに、臼杵教授をはじめとする物質生命理工学科の先生方がどのような研究をしているのか調べることで、自分が大学で学びたい内容との接点も見つけやすくなります。

天然物化学の世界には、自然界の複雑な物質を一つずつ解き明かしていく面白さがあります。高校で学んでいる有機化学や生物の知識が、その先でどのような研究につながっていくのか、ぜひ自分でも調べてみてください。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


KOSSUN教育ラボでは、上智大学の推薦入試対策に特化した 上智大学合格プロジェクト を完全定員制(先着10名限定)にて設け、専門性の高い個別サポートを行っています。


限られた時間の中でも本気で上智大学合格を掴み取りたい方は、今すぐ 無料個別相談会 にお申し込みください。



※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。