
上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|久世信彦教授の分子構造・分子分光研究とは
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の久世信彦教授と、マイクロ波などを使った分子構造の研究」です。
水や香りの成分など、私たちの身の回りにある物質は分子からできています。しかし、分子は肉眼では見ることができません。では、その立体的な形をどのように調べるのでしょうか。久世信彦教授は、マイクロ波分光法や気体電子線回折、量子化学計算などを使い、気体分子の構造や性質を精密に調べています。
久世信彦教授の専門は物理化学・分子分光学

久世教授は、上智大学 理工学部 物質生命理工学科の教授です。主な研究テーマは「気体電子線回折、マイクロ波分光法、計算化学による分子構造解析」です。
学位は理学士、理学修士、博士(理学)のいずれも北海道大学で取得しています。1996年から上智大学理工学部で気体分子の構造に関する研究を続け、現在はマイクロ波分光、振動分光、気体電子回折、量子化学計算などを組み合わせて研究しています。
高校では化学で分子の構造を図として学びますが、大学では「本当にこの分子はどのような形をしているのか」を実験データと理論の両方から確かめていきます。
マイクロ波で目に見えない分子の形を調べる
久世教授の研究で中心となっている方法の一つが「回転分光」です。気体の分子にマイクロ波のパルスを照射すると、分子の回転運動に応じた固有のスペクトルを観測できます。
スペクトルとは、光や電磁波と物質との相互作用を測定したデータです。量子力学の理論を使ってこのデータを解析することで、分子の立体構造や、分子の内部でどのような動きが起きているのかを調べることができます。
電子レンジや通信などにも使われているマイクロ波が、大学の研究では分子を見るための手段になるという点は興味深いところです。
高校の物理で学ぶ電磁波や、化学で学ぶ分子構造が、大学では一つの実験研究の中で結びついていきます。
宇宙に存在する分子を探す研究にもつながる
久世教授の研究テーマの一つが、「マイクロ波分光法による新規星間分子候補の探索」です。
宇宙空間にはさまざまな分子が存在しています。電波望遠鏡で宇宙を観測すると分子に由来するスペクトルが得られますが、それだけではどの分子なのか判断できない場合があります。
そこで、地球上の実験室で候補となる分子のスペクトルを精密に測定します。分子ごとに固有のデータを蓄積することで、宇宙から届いた観測データと比較できるようになります。
久世研究室で得られた分子のスペクトルは、大気観測や宇宙に存在する分子の発見、分布を調べる研究などへの活用が想定されています。
壮大な宇宙の研究を支えているのが、実験室の中で一つひとつの分子を丁寧に測定する研究であるというのも、基礎科学の面白さの一つです。
身近な「香り」の分子も研究対象

宇宙とは反対に、私たちの日常生活に身近な香りの成分も久世教授の研究対象です。
研究室では「気体電子回折による香り分子の立体構造」を研究テーマの一つとしています。また、マイクロ波分光法を使って、青葉アルデヒドと呼ばれるcis-3-hexenalなど、香りに関係する分子の構造を研究しています。
香り分子には、同じ分子であっても原子の並び方や分子内部の回転によって、複数の立体的な形をとるものがあります。久世教授の研究では、実験によるデータと計算化学を組み合わせ、こうした立体構造や内部の動きを調べています。
普段何気なく感じている植物などの香りも、「その香りを持つ分子はどのような形なのだろう」と考えると、物理化学の研究テーマへとつながります。
実験とコンピュータ計算の両方から分子を考える
久世教授の研究の特徴は、実験だけで分子を調べるのではなく、量子化学計算も組み合わせていることです。
量子化学計算とは、量子力学の考え方をもとに、コンピュータを使って分子の構造やエネルギーなどを計算する方法です。実験で得られたスペクトルや電子回折のデータと計算結果を比べることで、分子の構造をより詳しく考えることができます。
理工系の研究というと、白衣を着いて実験だけを続けるイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし実際には、実験装置を使うだけでなく、コンピュータでデータを処理したり、理論計算を行ったりする研究もあります。
物質生命理工学科で分子の世界を深く学ぶ
上智大学 理工学部 物質生命理工学科では、物理学、化学、生物学、環境科学、材料工学などを複合的に学びます。久世教授の研究は、その中でも分子という非常に小さな世界から物質の性質を理解する研究の一例です。
高校で学んだ分子式や構造式も、大学では「実際の分子はどんな形なのか」「分子はどのように回転しているのか」「構造の違いによってどのような性質が現れるのか」といった問いへ発展していきます。
化学だけでなく物理や数学、コンピュータを使った計算など、複数の知識を組み合わせて一つの分子を理解していくところに、物質生命理工学科の学びの広がりがあります。
推薦入試では「分子に興味がある」の先を考えよう

上智大学 理工学部 物質生命理工学科の推薦入試を考える場合、「化学が好きです」「宇宙に興味があります」という言葉から、もう一歩自分の疑問を深めてみましょう。
たとえば、「同じ物質でも分子の形が変わると性質はどう変化するのか」「宇宙にある分子をどうやって地球から見分けるのか」「目に見えない分子の形をどうやって測定するのか」といった問いを考えることができます。
高校生の段階でマイクロ波分光や量子化学計算を使える必要はありません。授業で気になった現象について調べ、自分なりに疑問を深めるところから始めれば大丈夫です。
久世教授の研究を知ると、身近な香りから宇宙に存在する分子まで、「分子の形を知る」という共通の視点から研究できることが分かります。高校で学んでいる化学や物理の知識がその先でどのようにつながるのか、ぜひ自分の興味から調べてみてください。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


