
上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|一柳満久教授の伝熱工学・アンモニア燃焼研究
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 機能創造理工学科の一柳満久教授と、熱・エネルギーをめぐる研究」です。
自動車のエンジン、エアコン、パソコン、スマートフォンなど、私たちの身の回りにある多くの機械では「熱」が発生します。その熱をどのように利用し、どのように逃がすのかは、機械やエネルギーシステムの性能を考えるうえで重要なテーマです。今回は、一柳教授の研究を通して、高校の物理で学ぶ「熱」が大学でどのような研究につながっていくのか考えてみましょう。
一柳満久教授はどのような研究者?

一柳満久教授は、上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属し、伝熱工学を専門としています。上智大学公式サイトでは、主な研究テーマとして「環境負荷低減に向けたアンモニア燃焼技術、熱交換器等の高効率化に関する研究」が紹介されています。
研究キーワードには、伝熱工学、熱交換器、エンジンシステム、沸騰熱伝達、アンモニア燃焼、PIV、干渉画像法、深層学習、超音波制御技術などが挙げられています。つまり、昔から研究されてきた「熱」や「エンジン」だけでなく、画像による計測やデータ解析なども取り入れながら研究を進めていることが分かります。
一柳教授は慶應義塾大学理工学部を卒業後、同大学大学院で博士(工学)を取得しています。その後、東京大学などで研究に携わり、2011年に上智大学 理工学部 機能創造理工学科の助教に着任しました。2014年に准教授、2022年に教授となり、現在も機能創造理工学科で研究・教育に取り組んでいます。
アンモニアを燃料として利用する研究
一柳教授の研究テーマの一つが、アンモニアを燃料としたエンジンの研究です。
現在、多くのエンジンではガソリンや軽油などの化石燃料が利用されています。一方、カーボンニュートラルに向けた技術開発が進むなかで、燃焼時に二酸化炭素を直接排出しないアンモニアを燃料として利用する研究が行われています。
ただし、燃料をアンモニアに置き換えればすべての問題が解決するわけではありません。アンモニアには燃焼しにくい性質があり、燃焼方法やエンジンの効率、排出物、アンモニアそのものをどのように製造・供給するかなど、考えるべき課題があります。
一柳教授らは、アンモニアを用いたエンジンについて、燃焼状態や熱効率などを研究しています。環境負荷を考えながら、実際の機械としてどのように成立させるのかを追究する点に、工学研究の面白さがあります。
「沸騰」が最先端の研究テーマになる
もう一つ注目したいのが、沸騰熱伝達に関する研究です。
「沸騰」と聞くと、やかんのお湯が沸く様子を思い浮かべるかもしれません。しかし、液体が気体へ変化するときには多くの熱が移動します。その性質を利用すると、発熱する機器を効率よく冷却できる可能性があります。
一柳教授の研究室では、車両の電動化に伴って発熱密度が高くなる車載部品などを対象に、核沸騰熱伝達を利用した高効率な冷却技術の開発に取り組んでいます。「核沸騰」とは、加熱された面の特定の場所から気泡が次々と発生する沸騰の状態です。
普段の生活で目にしている沸騰現象も、「気泡はどこで生まれるのか」「液体はどのように流れているのか」「どうすれば効率よく熱を移動させられるのか」と問い直すと、大学で研究されるテーマへとつながっていきます。
見えにくい流れを「見えるようにする」
熱や流体の研究では、温度を測るだけでなく、液体や気体がどのように動いているのかを調べることも重要です。一柳教授の研究キーワードには「PIV」や「干渉画像法」があります。
PIVは、流体の中にある粒子の動きを画像から捉え、流れの速度などを調べる計測方法です。肉眼では分かりにくい複雑な流れをデータとして捉えることで、「どこで、どのような流れが生じているのか」を分析できます。
さらに研究キーワードには「深層学習」も含まれています。深層学習はAIに使われる機械学習の手法の一つです。ここからも、現在の機械工学が機械を設計することだけに限定されず、計測、画像、データ解析など複数の技術と結びついていることが分かります。
高校の物理や数学がどうつながる?

高校の物理では、熱量、比熱、熱力学、力学などを学びます。授業では公式を使って問題を解くことが多いかもしれませんが、大学ではそれらの知識を使いながら、現実の複雑な現象を考えていきます。
たとえば「同じ量の熱を効率よく逃がすにはどうすればよいのか」「燃料を変えるとエンジン内部の燃焼はどう変化するのか」といった問いには、一つの公式だけでは答えられません。実験を行い、データを集め、仮説と結果を比較しながら考える必要があります。
上智大学 理工学部 機能創造理工学科では、機械工学、電気・電子工学、物理学という三つの学問分野と、「エネルギーの創出と利用」「物質の理解と材料・デバイスの創成」「ものづくりとシステムの創造」というテーマを結びつけた教育が行われています。一柳教授の研究は、その中でも熱、エネルギー、機械システムがつながる研究の一例といえるでしょう。
高校生活の「なぜ?」を研究への入口にする
一柳教授の研究に興味を持ったからといって、高校生のうちからアンモニア燃焼や沸騰熱伝達について専門的な研究をしている必要はありません。
たとえば、物理の授業で熱について学んだときに「パソコンやスマートフォンはどうやって熱を逃がしているのだろう」と疑問を持つことも入口になります。自動車に興味があるなら、「電気自動車になればエネルギーや熱の問題はすべて解決するのだろうか」と考えてみてもよいでしょう。
環境問題について調べた経験がある人なら、「二酸化炭素を減らすにはどんな燃料が考えられるのか」「新しい燃料にも別の課題があるのではないか」と問いを広げることができます。
大切なのは、最初から正解を知っていることではありません。身近な疑問について調べ、分かったことと分からなかったことを整理し、さらに新しい問いを見つけていくことです。
推薦入試では自分の興味との接点を考えよう
上智大学 理工学部 機能創造理工学科の推薦入試を考えているなら、教員の研究を調べながら、「自分はなぜこの研究に興味を持ったのか」を整理してみましょう。
「環境問題に興味があるのでアンモニア燃焼を研究したい」とだけ考えるのではなく、「環境負荷を減らすための燃料について調べる中で、燃料を変更するだけではなく、燃焼効率や熱の制御も重要だと知った。その仕組みを工学的に学びたい」というように、一段深く考えることができます。
また、「車が好き」「機械が好き」という興味も立派な出発点です。そこから「なぜエンジンは熱くなるのか」「発生した熱はどこへ行くのか」「エネルギーを無駄なく使うにはどうすればよいのか」と問いを広げれば、高校の物理と大学の伝熱工学とのつながりが見えてきます。
身近な「熱」から大学の研究を考えてみよう

一柳教授の研究を見ると、エンジン、アンモニア燃料、沸騰、冷却、画像計測、深層学習など、一見別々に見える技術が「熱やエネルギーをどのように扱うか」という問題を通してつながっていることが分かります。
上智大学 理工学部 機能創造理工学科を目指している人は、まず身近な機械や乗り物を見ながら、「エネルギーはどこから来て、どこで使われ、どこで熱として失われているのだろう」と考えてみてください。その小さな疑問が、大学で学びたいテーマを見つけるきっかけになるかもしれません。
教員の研究内容まで調べていくと、自分が高校で学んでいる数学や物理と、大学での研究とのつながりも少しずつ見えてきます。自分の興味と上智大学 理工学部 機能創造理工学科での学びをつなげて考えてみましょう。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


