上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|Emir Yilmaz准教授のトライボロジー・表面工学研究

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 機能創造理工学科のEmir Yilmaz准教授と、摩擦・熱・表面をめぐる研究」です。

機械の性能を考えるとき、エンジンやモーターなどの大きな部品に目が向きがちです。しかし、部品の「表面」にあるごく小さな構造を変えることで、摩擦を減らしたり、熱を効率よく逃がしたりできる可能性があります。今回は、Emir Yilmaz准教授の研究を通して、ミクロな表面の研究が機械やエネルギー技術にどうつながっているのか見ていきましょう。


Emir Yilmaz准教授はどのような研究者?

Emir Yilmaz准教授は、上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属しています。上智大学公式サイトでは、主な研究テーマとして「冷却システム及びアンモニア燃焼現象における熱流体解析、マイクロ加工」が紹介されています。

研究キーワードには、放電加工、トライボロジー、マイクロ加工、核沸騰現象が挙げられています。また、研究分野としてトライボロジー、表面工学、設計工学、熱工学、流体工学などが示されており、一つの専門だけに閉じない研究を行っていることが特徴です。

Yilmaz准教授はトルコのサバンチ大学で学士号を取得した後、上智大学で修士号、博士号を取得しています。現在は上智大学 理工学部 機能創造理工学科の准教授として研究・教育に取り組んでいます。


「トライボロジー」とは何を研究する学問?

Yilmaz准教授の研究を理解するためのキーワードの一つが「トライボロジー」です。これは、物体同士が接触して動くときに起こる摩擦、摩耗、潤滑などを扱う学問です。

たとえば机の上で消しゴムを滑らせると抵抗を感じます。自転車や自動車、工場の機械でも、部品同士が接触して動けば摩擦が生じます。摩擦は動きを止めるブレーキなどには必要ですが、必要以上に大きくなるとエネルギーの損失や部品の摩耗につながります。

Yilmaz准教授の研究では、往復運動する部品の接触面などを対象に、表面に微細な構造を設けることで摩擦を低減する研究が行われています。目に見えないほど小さな表面構造が、機械全体の効率や性能に関係しているのです。


表面を変えると機械の性能も変わる

上智大学の公式情報では、Yilmaz研究室について、さまざまな用途に向けた表面改質・マイクロ機械加工技術を研究し、摩擦の低減、熱伝達の強化、防汚性などを備えた表面について数値解析と実験の両面から研究していることが紹介されています。

「表面改質」とは、材料そのものをすべて変えるのではなく、表面の形や性質を変えることで新しい機能を持たせる考え方です。研究対象には、エンジン内部のピストンとシリンダーライナーの接触、バッテリーやエンジンの冷却システムなどがあります。

ここで面白いのは、「小さな表面」と「大きな機械システム」がつながっていることです。表面で生じる摩擦や熱の移動を詳しく調べることが、機械全体のエネルギー効率や性能を考えることにつながります。


マイクロ加工と放電加工

研究キーワードにある「マイクロ加工」は、非常に小さなスケールで材料を加工する技術です。また、「放電加工」は、電気的な放電を利用して材料を加工する方法です。

Yilmaz准教授は、放電加工を活用した加工技術についても研究しています。上智大学の研究情報では、炭素繊維強化プラスチックであるCFRPに対して、放電加工と切削加工を組み合わせた研究なども確認できます。

高校の物理で学ぶ電気現象や力学は、試験問題を解くためだけのものではありません。大学では、それらの原理を利用して「どのように加工すれば狙った表面を作れるのか」「加工方法を変えると材料はどう変化するのか」といった工学的な問いへ発展していきます。


「沸騰」も重要な研究対象になる

Yilmaz准教授の研究には「核沸騰現象」も含まれています。沸騰は高校生にも身近な現象ですが、工学の世界では重要な熱移動現象の一つです。

たとえば高い熱を発生する機器を冷却するとき、液体が沸騰する際の熱移動を利用する方法があります。Yilmaz准教授は、表面の性質を変えることによって熱伝達を高める研究にも取り組んでいます。

つまり、同じ液体を使っていても、それが接触する表面の細かな構造や、水になじみやすいかどうかといった性質によって、熱の伝わり方が変化する可能性があります。「表面をデザインして熱の移動を変える」という発想は、トライボロジーや表面工学と熱工学が結びつくポイントです。


アンモニア燃料と機械の摩擦という視点

Yilmaz准教授の近年の研究テーマには、アンモニアを燃料として使用した場合のエンジンにおける摩擦・潤滑に関する研究もあります。

アンモニアは燃焼時に二酸化炭素を直接排出しないことから、カーボンニュートラルに向けた燃料候補の一つとして研究されています。しかし、新しい燃料を使えばそれだけで問題が解決するわけではありません。燃焼特性だけでなく、エンジンオイルや部品の摩擦・摩耗にどのような影響が生じるのかについても調べる必要があります。

科学技術では、一つの利点だけを見るのではなく、別の場所に新しい課題が生じないかを検証することが重要です。Yilmaz准教授の研究からは、エネルギー問題を機械内部の表面や摩擦という視点から考えることができます。


高校の数学・物理からどうつながる?

上智大学 理工学部 機能創造理工学科では、物理学、機械工学、電気・電子工学を横断する学びが展開されています。Yilmaz准教授の研究でも、物体の運動、摩擦、熱、流体、電気を利用した加工など、複数の知識が関係しています。

高校では「摩擦力を求める」「熱量を計算する」といった問題として学んでいる内容も、大学では現実の機械を対象にすると条件が複雑になります。そのため、実験で現象を観察したり、数値解析を行ったりしながら、仮説と結果を比較していきます。

数学や物理が得意かどうかだけで学科との相性を決めるのではなく、「授業で習った法則が実際の機械ではどう使われているのだろう」と疑問を持てることも、大学での学びにつながる大切な入口です。


推薦入試に向けて研究をどう調べる?

上智大学 理工学部 機能創造理工学科の推薦入試を考えている人は、教員紹介を読むだけで終わらず、自分の経験や疑問との接点を探してみましょう。

たとえば「自動車が好き」なら、なぜ好きなのかを掘り下げてみます。「機械の効率を上げるにはどうすればよいのか」「部品同士の摩擦によるエネルギー損失はどれくらいあるのか」「電気自動車でも冷却は必要なのか」と問いを広げることができます。

また、環境問題に関心がある人なら、アンモニアなどの新しい燃料についてメリットだけを調べるのではなく、技術的な課題や機械への影響まで調べてみると、より立体的に考えられます。

こうして自分の興味を具体的な問いに変えていくと、出願書類や面接で問われる志望理由を考える際にも、「なぜ上智大学 理工学部 機能創造理工学科で学びたいのか」を整理しやすくなります。


小さな「表面」から大きな技術を考えてみよう

Yilmaz准教授の研究を見ると、摩擦、表面加工、冷却、沸騰、アンモニア燃焼など、さまざまなテーマがつながっていることが分かります。特に興味深いのは、目に見えないほど小さな表面構造の工夫が、機械の効率や熱の移動といった大きな問題につながっている点です。

普段使っている自転車、自動車、家電などを見ながら、「なぜここには油が必要なのだろう」「どうやって熱を逃がしているのだろう」「表面の形を変えたら性能はどうなるのだろう」と考えてみてください。身近な疑問を調べていくことが、大学で学びたいテーマを見つける第一歩になります。

自分の興味と上智大学 理工学部 機能創造理工学科での学びがどこでつながるのか、教員の研究内容も手がかりにしながら考えてみましょう。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。