上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|大槻東巳教授の物性物理学とAIを使った研究

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 機能創造理工学科の大槻東巳教授と、電子の振る舞いを理論・計算・AIから探る物性物理学」です。

「AI」と聞くと、生成AIや画像認識などのサービスを思い浮かべる高校生も多いかもしれません。しかし、AIや機械学習は自然科学の研究でも活用されています。今回は大槻東巳教授の研究を通して、高校で学ぶ物理や数学が、物質内部の電子というミクロな世界や最新の計算技術へどのようにつながっていくのかを見ていきましょう。


大槻東巳教授はどのような研究者?

大槻東巳教授は、上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属し、物性物理学、特に低温における量子輸送現象を理論的に研究しています。

上智大学公式サイトによると、大槻教授は東京大学で量子ホール効果に関する研究によって理学博士を取得し、博士研究員としてドイツに滞在した際には、アンダーソン転移に関する数値スケーリング法について学びました。その後、大阪大学、東邦大学を経て上智大学に着任し、大規模な数値計算による研究などに取り組んできました。

近年の研究では、アンダーソン転移やトポロジカル絶縁体といった物性物理学のテーマに加え、ニューラルネットワークなどの機械学習を物理学へ応用する研究も進めています。


物性物理学とは?「物質の性質」を電子から考える

物性物理学とは、物質がなぜ電気を流すのか、なぜ磁石になるのか、なぜ超伝導という特殊な状態になるのかといった「物質の性質」を物理学から理解しようとする分野です。

高校の物理では、電流や電圧、電気抵抗などを学びます。しかし大学では、さらに小さな世界へ目を向けます。「物質の中で電子はどのように動いているのか」「原子の並び方や乱れが変わると、電子の動きはどう変化するのか」といった問いを、量子力学や数学を使って考えていきます。

つまり、高校で学ぶ「電気を通す・通さない」という現象も、大学では物質内部の電子の状態まで掘り下げることで、より根本的な問いへ発展していくのです。


アンダーソン局在・アンダーソン転移とは?

大槻教授が長年研究しているテーマの一つが「アンダーソン局在」と「アンダーソン転移」です。

物質の内部に乱れがあると、電子が自由に広がることができず、ある場所の周辺にとどまることがあります。これがアンダーソン局在と呼ばれる現象です。そして、条件によって電子が動ける状態と局在する状態の間で変化が起こる現象がアンダーソン転移です。

大槻教授は、こうした現象を大規模な数値計算などによって研究してきました。実験装置で物質を観察するだけではなく、物理法則を数式で表し、コンピュータで計算することで、電子の振る舞いを理解しようとするのです。

ここでは数学も重要な道具になります。高校で学んでいる関数、ベクトル、確率なども、大学ではより高度な数学へ発展し、物理現象を表現したり計算したりするために使われます。


トポロジカル絶縁体という不思議な物質

大槻教授の研究テーマには「トポロジカル絶縁体」もあります。これは、物質内部と表面・境界部分で電子の状態に特徴的な違いが現れる物質です。

「トポロジー」はもともと数学で使われる考え方です。物理学ではこうした数学的な考え方が、物質の性質を理解するためにも利用されています。

高校生の段階ですべての理論を理解する必要はありません。注目してほしいのは、「物理」と「数学」が別々に存在しているわけではないという点です。数学によって物理現象を記述し、その結果から物質の新しい性質を理解する。上智大学 理工学部 機能創造理工学科で学ぶ理学と工学のつながりを考えるうえでも興味深い研究分野です。


AIを物理学の研究に使う

大槻教授の研究でもう一つ注目したいのが、機械学習です。上智大学では、大槻教授による「ニューラルネットワークで創成する新しい物性物理学」という研究課題も紹介されています。

ニューラルネットワークとは、人間の脳の神経回路を参考に発展してきた機械学習の仕組みの一つです。生成AIや画像認識などにも関連する技術ですが、大槻教授はこれを物性物理学の研究に取り入れています。

ここで大切なのは、「AIに答えを出してもらう」という単純な使い方ではありません。物理学では、得られた結果がどのような物理的意味を持つのかを考えなければなりません。AIという新しい道具と、物理学で積み重ねられてきた理論の両方を理解する必要があります。

高校の「情報」で機械学習やデータについて興味を持った人にとっても、「情報技術を自然科学の研究に使う」という方向へ関心を広げるきっかけになるでしょう。


上智大学 理工学部 機能創造理工学科での学びとのつながり

上智大学公式サイトでは、機能創造理工学科について、物理学・数学などの理学と、材料、デバイス、電子機器、エネルギー、機械システムなどの工学を融合的に学ぶ学科と説明しています。

カリキュラムでは、物理学、機械工学、電気・電子工学の基礎を学びながら専門性を深めていく構成になっています。大槻教授もこれまで、力学、電磁気学、線形代数、統計力学、固体物理などの教育に携わってきました。

そのため、「機能創造理工学科=機械を作る学科」と考えるのは十分ではありません。大槻教授のように、自然界の基本的な現象を理論や計算から理解する研究も、学科の重要な一面です。


高校生活の疑問から研究テーマを考えてみよう

大槻教授の研究に興味を持ったからといって、高校生のうちから量子力学やトポロジーを完全に理解する必要はありません。

まずは高校で学んでいる内容から疑問を広げてみましょう。「金属はなぜ電気を通すのか」「半導体は金属と何が違うのか」「同じ電子を扱っているのに、物質によって性質が違うのはなぜか」「AIは物理現象のどこまで見分けられるのか」といった問いも出発点になります。

さらに、自分で本や大学の研究紹介を調べ、「最初に考えていたことと何が違ったのか」「新しくどんな疑問が生まれたのか」まで整理してみると、探究が一段深まります。


推薦入試では自分の興味と学科の研究をつなげてみる

上智大学 理工学部 機能創造理工学科の推薦入試を考える際には、「物理が好きです」「AIに興味があります」という言葉だけで終わらせず、その理由を掘り下げてみることが大切です。

たとえば、「生成AIに興味を持ったことから機械学習について調べ、AIが文章や画像だけでなく物理学の研究にも利用されていることを知った」という経験があれば、そこから「機械学習を使うことで、従来とは違う方法で自然現象を理解できるのではないか」という問いへ発展させられます。

また、物理の授業で電気抵抗について学んだことから、「物質によって電気の流れ方が違う理由を電子のレベルから知りたい」と考えることもできます。

研究テーマを今の段階で完全に決める必要はありません。自分が何に疑問を持ち、調べる中で何を知り、大学でさらに何を学びたいと思ったのかを整理していきましょう。


身近な「なぜ?」からミクロな物理の世界へ

大槻東巳教授の研究は、電子という非常に小さな世界から物質の性質を理解しようとする物性物理学を軸に、数値計算や機械学習といった方法も取り入れています。

高校で学んでいる数学や物理、情報は、それぞれ独立した科目に見えるかもしれません。しかし大学での研究では、それらを組み合わせながら一つの現象に迫ることがあります。

まずは「なぜ金属には電気が流れるのだろう」「AIで自然現象をどう見分けるのだろう」といった身近な疑問から調べてみてください。そして、自分の興味と上智大学 理工学部 機能創造理工学科での学びがどこでつながるのかを考えてみましょう。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。