
上智大学 理工学部 情報理工学科 教員紹介|石塚裕己准教授のソフトロボティクス・触覚研究とは
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 情報理工学科の石塚裕己准教授と、ソフトロボティクス・ハプティクス・バーチャルリアリティの研究」です。
ロボットというと、金属製のアームや硬い機械を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし現在は、人間の皮膚や筋肉のように柔らかな材料を使い、環境に合わせて形を変える「ソフトロボット」の研究も進んでいます。さらに、「触る」「感じる」という人間の感覚そのものを工学的に研究しているのが石塚裕己准教授です。
石塚裕己准教授はどんな研究者?

石塚裕己准教授は、2026年4月から上智大学 理工学部 情報理工学科に所属しています。上智大学公式サイトでは、主な研究テーマとして「ソフトロボティクス、ハプティクス、バーチャルリアリティ」が掲げられています。
博士(工学)の学位を慶應義塾大学で取得し、香川大学工学部、大阪大学大学院基礎工学研究科で研究・教育に携わった後、上智大学に着任しました。
研究キーワードには、ソフトロボティクス、メカトロニクス、センサ・アクチュエータ、計算神経科学、触覚、バーチャルリアリティなどがあります。材料やロボットだけではなく、「人間が触ったものをどう感じるのか」という知覚まで研究対象としていることが特徴です。
柔らかいロボット「ソフトロボティクス」とは?
ソフトロボティクスとは、柔軟な材料や構造を利用してロボットをつくる研究分野です。
石塚准教授の研究では、柔軟材料や形を変えられる構造を用いた「アクチュエータ」の設計が行われています。アクチュエータとは、電気などのエネルギーを実際の動きに変える、ロボットの筋肉のような部分です。
硬い部品だけで構成されたロボットでは、目的の動きを実現するために細かな制御が必要になることがあります。一方、柔らかい材料では、物体に触れたときに形そのものが変化します。その変形を利用することで、身体の構造自体に機能を持たせようという考え方があります。
石塚准教授は、「柔軟な身体がどのように環境情報を取得し、それを知覚へ変換するのか」という問いに取り組んでいます。
「触った感じ」を科学するハプティクス
もう一つの重要なテーマが「ハプティクス」です。ハプティクスとは、人間の触覚や力の感覚を扱う技術・研究分野です。
私たちは物に触れると、「硬い」「柔らかい」「ざらざらしている」「滑らかだ」と感じます。しかし、皮膚に加わった力が、どのような仕組みで「触った感覚」になるのでしょうか。
石塚准教授は、触覚センサや神経モデルなどを利用し、力学的な刺激がどのように知覚へ変換されるのかを研究しています。実際の研究では、皮膚の変形に対応する触覚受容器モデルなども扱われています。
単に「よく反応するセンサをつくる」だけではなく、人間の皮膚や神経がどのように情報を受け取っているのかを理解し、それをセンシング技術へ生かそうとしている点が興味深いところです。
傷ついても修復できる触覚センサ
石塚准教授の研究では、「自己修復材料」も重要なキーワードです。
自己修復材料とは、傷や切断などの損傷を受けた後に、材料そのものが再びつながる性質を持つ材料です。石塚准教授は、自己修復ポリマーを利用した触覚センサや触覚ディスプレイなどを研究してきました。
2026年度からは「修復可能触覚センサを用いたソフトロボットの作業継続性実証」という研究課題にも取り組んでいます。
柔らかいロボットを実際に動かせば、曲げたり物体に触れたりする中で材料に負荷がかかります。そこで、傷ついたときのことまで考えてロボットの身体やセンサを設計するという発想が生まれます。
材料、センサ、ロボット、情報処理が一つの研究テーマの中でつながっているのです。
VRで「触覚」をつくる研究

バーチャルリアリティというと、ヘッドセットを装着して映像を見るイメージが強いかもしれません。しかし、人間が感じる現実感には視覚だけでなく触覚も関係します。
石塚准教授は、物理的なデバイスや離れた場所から刺激を提示する技術などを利用し、実際の環境に依存しない触覚体験をつくる研究にも取り組んでいます。
つまり、「そこに物がないのに、触ったように感じるにはどうすればよいのか」という問いも研究対象になります。
こうした研究では、機械をつくる知識だけでは十分ではありません。人間が刺激をどう感じるのかを理解し、その情報をどのようなデバイスで提示するかを考える必要があります。情報理工学と人間の知覚が深く結びついている分野です。
なぜ情報理工学科でロボットや触覚を研究するの?
「ロボットなら機械工学では?」と思う高校生もいるかもしれません。しかし、現代のロボットでは、センサから情報を取得し、その情報を処理し、動きを決めることが欠かせません。
上智大学 理工学部 情報理工学科では、「人間情報」「情報通信」「社会情報」「数理情報」をキーテーマとして、情報を基盤に人間や社会を複合的に理解することを目指しています。石塚准教授の研究は、その中でも人間情報とのつながりが深い研究の一つです。
人間の皮膚が受け取った刺激を神経が処理する仕組みと、センサが取得したデータをコンピュータが処理する仕組みを比較してみると、「情報」という言葉の意味がプログラミングだけではないことが見えてきます。
高校の数学・物理・情報とどうつながる?
高校の物理で学ぶ力、圧力、運動、電気などは、センサやアクチュエータを理解する基礎になります。数学は、センサから得られたデータを分析したり、ロボットの状態を数値として表現したりするときに使われます。
さらに高校の「情報」で学ぶプログラミングやデータ活用は、センサから集めた情報を処理し、ロボットの動きにつなげる考え方へ発展していきます。
石塚准教授の研究では機械学習も研究キーワードの一つですが、「AIを使えばロボットが賢くなる」という単純な話ではありません。どのような情報を取得し、どのように処理すれば、人間の触覚に近いセンシングや判断につながるのかを考える必要があります。
推薦入試では「ロボットが好き」から問いを深めよう

推薦入試を考えるとき、「ロボットが好きです」「VRに興味があります」という興味は大切な出発点です。ただし、そこから一歩進んで、自分が何を不思議に思っているのか考えてみましょう。
たとえば、「人間はなぜ触っただけで硬さや質感を判断できるのだろう」「ロボットにも人間の皮膚のような感覚を持たせることはできるのだろう」「VRで本当に物を触っているような感覚はどうつくるのだろう」といった問いがあります。
プログラミングやロボット製作の経験がなくても、身近な技術から疑問を持ち、自分で調べていくことはできます。高校生の段階で研究テーマを完全に決める必要もありません。
石塚准教授の研究を入口に、「ロボットの身体」「センサ」「情報処理」「人間の知覚」がどうつながっているのか調べてみると、上智大学 理工学部 情報理工学科で学べる「情報」の幅広さが見えてくるでしょう。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


