上智大学 理工学部 情報理工学科 教員紹介|荒井隆行教授の音声コミュニケーション研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 情報理工学科の荒井隆行教授と、音声コミュニケーションの研究」です。

スマートフォンの音声入力、オンライン会議、語学学習、補聴器など、私たちの生活には「声」と「音」を扱う技術が数多くあります。しかし、人間はそもそもどのように声をつくり、相手の声を聞き取っているのでしょうか。こうした音声コミュニケーションを科学的に研究しているのが荒井隆行教授です。


荒井隆行教授はどんな研究者?

荒井隆行教授は、上智大学 理工学部 情報理工学科に所属しています。主な研究テーマは、音声コミュニケーションを中心とした音声科学・聴覚科学、音声の福祉工学・障害者支援、音響学・音響教育、音響音声学です。

上智大学で電気・電子工学を学び、同大学大学院の博士後期課程を修了。1994年に上智大学理工学部の助手となり、その後、専任講師、助教授、教授を経て、2008年から情報理工学科教授を務めています。

音声を「コンピュータで処理する情報」としてだけ見るのではなく、人間がどのように声をつくるのか、どのように聞くのか、そして音声を介してどのようにコミュニケーションするのかまで幅広く研究していることが特徴です。


人間はどうやって「声」をつくっている?

私たちは普段、特に意識することなく「あ」「い」「う」などの音を発しています。しかし、声は単純に喉から出てくる音ではありません。

肺から送られた空気によって声帯などで音のもとが生まれ、その音が喉や口の中を通ることで、さまざまな音声へ変化します。この音の通り道を「声道」といいます。

荒井教授は、この仕組みを分かりやすく示す「声道模型」を使った研究や音響教育にも長年取り組んでいます。声道の形を物理的な模型として再現することで、口や喉の形が変わると、なぜ異なる音が生まれるのかを実際の音として確かめることができます。

目には見えにくい音声生成の仕組みを、模型を使って「見える・聞こえる」形にすることで、音声科学を教育にもつなげています。


「聞こえる」と「聞き取れる」は同じではない

荒井教授の研究では、声をつくる仕組みだけでなく、人間が音声をどのように聞き取っているのかという「音声知覚」も重要なテーマです。

たとえば、同じ人の同じ言葉でも、静かな教室で聞く場合と、周囲に多くの人がいる場所で聞く場合では、聞き取りやすさが変わります。また、部屋に音が反響する「残響」があると、言葉が聞き取りにくくなる場合もあります。

そこで、音声のどの部分が言葉の聞き取りに重要なのか、音声信号をどのように処理すると聞き取りやすくなるのかなどを科学的に調べていきます。

音は物理現象ですが、それを「言葉」として認識するのは人間です。そのため、荒井教授の研究は工学だけでなく、言語学や認知心理学などとも接点を持っています。


音声研究を福祉や障害者支援へ

荒井教授の研究のもう一つの大きな柱が、音声に関する福祉工学・障害者支援です。

音声コミュニケーションについて研究することは、発話や聞き取りに困難を抱える人を支援する技術を考えることにもつながります。これまでの研究では、障害音声の音響分析、聴覚障害者や高齢者の音声知覚、音声合成技術を利用した発話支援など、幅広いテーマが扱われてきました。

大切なのは、単に新しい技術をつくることだけではありません。「誰にとって、どのような音声が聞き取りやすいのか」「どのような支援がコミュニケーションにつながるのか」と、人間を中心に考える視点が必要になります。

情報理工学というとAIやコンピュータをイメージしやすいかもしれませんが、人間が情報をどのように生み出し、受け取り、理解するのかも重要な研究対象なのです。


音声認識や音声処理ともつながる

荒井教授の研究分野には、音声信号処理や音声処理アルゴリズムなども含まれています。

音声をコンピュータで扱うためには、声をデジタルな信号として捉え、その中に含まれる特徴を分析する必要があります。高校の「情報」で学ぶデジタル化やデータ処理の考え方も、大学では音声という具体的な情報を分析する技術へ発展していきます。

現在では、スマートフォンの音声入力や自動字幕など、音声をコンピュータで扱う技術が身近になりました。ただし、荒井教授の研究は「音声認識技術をつくる」ことだけに限定されません。その前提にある、人間の音声生成や知覚の仕組みそのものを科学的に理解する研究が重要な柱になっています。


高校の物理・数学・情報はどうつながる?

音声科学は、高校で学ぶさまざまな内容とつながっています。

物理で学ぶ波、振動、周波数などは、音を理解するための基礎になります。数学は、音声信号を数値として分析するときに必要になります。そして情報では、アナログの音をデジタルデータとして扱う方法や、コンピュータによる情報処理へとつながります。

さらに、人間がどのように言葉を聞き取るのかを考えれば、言語や心理などとの接点も生まれます。

情報理工学科の面白さは、コンピュータだけに対象を限定せず、人間や社会も含めて「情報」を考えられるところにあります。荒井教授の研究は、その幅広さを実感しやすいテーマの一つです。


推薦入試では「音声技術が好き」から一歩深めてみよう

推薦入試を考える際、「音声認識に興味があります」「AIに興味があります」というところから始めても構いません。ただ、そこで終わらず、自分が何に疑問を感じたのかまで考えてみましょう。

たとえば、「同じ言葉でも人によって声が違うのに、なぜ同じ言葉だと分かるのだろう」「雑音があると音声認識が難しくなるのはなぜだろう」「人間にとって聞き取りやすい音声と、コンピュータが認識しやすい音声は同じなのだろうか」といった問いへ広げることができます。

語学学習で発音に疑問を持った経験や、動画の自動字幕を使った経験、家族が補聴器を利用していることなど、身近な出来事が研究への入口になる場合もあります。

経験そのものの大きさではなく、そこから疑問を持ち、調べ、大学でさらに何を知りたいと思ったのかを整理してみることが大切です。


「声」を情報として考えてみよう

荒井隆行教授の研究を見ていくと、私たちが毎日使っている「声」の中にも、物理、情報、言語、人間の知覚、福祉など、多くの研究テーマが隠れていることが分かります。

上智大学 理工学部 情報理工学科を調べるときは、「プログラミングを学べるか」だけでなく、「情報という視点から人間や社会のどのような問題を研究できるのか」にも注目してみてください。

普段使っている音声入力や自動字幕、イヤホン、オンライン会議などから、「そもそも人間はどうやって声をつくり、聞き取っているのだろう」と考えてみることも、情報理工学への第一歩になります。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。