上智大学 理工学部 情報理工学科 教員紹介|伊呂原隆教授の生産・物流システム最適化研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 情報理工学科の伊呂原隆教授と、生産・物流システムの最適化研究」です。

ネット通販で注文した商品が翌日に届く。コンビニには必要な商品が並んでいる。工場では大量の製品が効率よく生産されている。私たちにとって当たり前に見えるこうした仕組みの裏側では、「どこでつくるか」「どこに保管するか」「どの順番で運ぶか」といった数多くの判断が行われています。

このような生産や物流の問題を、数学やデータ、コンピュータを使ってよりよい形にしようと研究しているのが伊呂原隆教授です。


伊呂原隆教授はどんな研究者?

伊呂原隆教授は、上智大学 理工学部 情報理工学科に所属し、「生産・物流システムの最適化」を主な研究テーマとしています。博士(工学)の学位を早稲田大学で取得し、現在は上智大学教授として研究・教育に携わっています。

研究キーワードには、サプライ・チェイン・マネジメント、マテリアル・ハンドリング、生産物流システムなどが挙げられています。

専門とする「経営工学」は、企業や社会の中で起きている課題を、工学的な方法で分析する学問です。経営という言葉が入っていますが、会社経営の知識だけを学ぶ分野ではありません。数学、統計、データ、コンピュータなどを活用して、複雑なシステムをよりよく設計・運用する方法を考えていきます。


「最適化」って何をするの?

伊呂原教授の研究を理解するうえで重要なのが「数理最適化」です。

たとえば、ある会社が商品を配送するとします。単純に最短距離だけを考えればよいわけではありません。トラックに積める量、配送時間、商品の保管場所、人員など、さまざまな条件があります。

こうした条件を数式で表現し、その中から目的に合ったよりよい方法を探すのが数理最適化の考え方です。

伊呂原教授の研究では、工場の生産効率を高めるレイアウトや、物流倉庫の商品配置、配送、サプライチェーンなど、現実社会の複雑な問題が研究対象になります。

現実の問題をそのままコンピュータに入力することはできません。まず問題を整理し、重要な条件を見つけ、数学で扱える「モデル」に置き換える必要があります。ここに情報理工学ならではの面白さがあります。


ネット通販を支える「物流倉庫」の研究

伊呂原教授が継続的に研究しているテーマの一つが、物流倉庫の効率的な運用です。

ネット通販の物流センターを想像してみてください。巨大な倉庫には非常に多くの商品が保管され、注文が入ると必要な商品を棚から取り出し、まとめて発送します。

この商品を棚から取り出す作業は「ピッキング」と呼ばれます。どの商品をどこに置くのか、複数の注文をどうまとめるのか、作業する人がどの順番で棚を回るのかによって、作業時間は変わります。

伊呂原教授の近年の研究でも、物流倉庫における商品の保管場所割当や、注文のまとめ方と移動経路を組み合わせた問題などが扱われています。また、人とAMRと呼ばれる自律走行搬送ロボットが協力して商品を集める仕組みについても研究されています。

普段何気なく受け取っている宅配便の裏側にも、数学やアルゴリズムを使って考えられる問題が数多く隠れているのです。


水素のサプライチェーンも研究対象

伊呂原教授の研究では、物流倉庫だけでなく、エネルギーをどのように運ぶかという問題も扱われています。

その一つが、水素のサプライチェーンネットワークの最適化です。

サプライチェーンとは、原料の調達から生産、輸送、保管、消費までをつなぐ一連の流れを指します。水素を利用する場合にも、「どこでつくるのか」「どの方法で運ぶのか」「どこに拠点を置くのか」といった複数の条件を考える必要があります。

伊呂原教授の研究では、有機ハイドライドによる輸送を含む水素サプライチェーンのネットワーク設計や、アンモニア、既存の天然ガスパイプラインなどを考慮した研究も行われています。

エネルギー問題では、新しいエネルギーを生み出す技術だけでなく、それを社会の中でどう運び、届けるのかという「システム」の設計も重要な研究テーマになることが分かります。


なぜ情報理工学科で「物流」や「経営」を研究するの?

「情報理工学科なのに、なぜ物流や経営を研究するの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。

上智大学 理工学部 情報理工学科では、「人間情報」「情報通信」「社会情報」「数理情報」という4つのキーテーマを掲げています。伊呂原教授の研究は、その中の「社会情報」に位置づけられています。

社会には、物流、交通、生産、エネルギーなど、多くの人や設備、情報が関係する複雑なシステムがあります。そこからデータを集め、問題を数学的に表現し、コンピュータを使って解決方法を探すことも情報理工学の重要な研究です。

情報理工学は、AIやプログラミングそのものだけを研究する学問ではありません。「情報を使って社会の仕組みをどう理解し、改善するか」という方向にも広がっています。


高校の数学・情報が「現実の問題を解く道具」になる

伊呂原教授の研究は、高校で学ぶ数学や情報とのつながりを考えやすい分野です。

数学で学ぶ関数、確率・統計などは、現実の問題を数値として捉える基礎になります。大学ではさらに、複数の条件を満たしながらよりよい答えを探すための数理最適化などを学んでいきます。

また、情報の授業で学ぶプログラミングやデータ活用も、実際の問題をコンピュータで分析するための方法へ発展していきます。

大切なのは計算が速いことだけではありません。「何を問題として設定するのか」「どの条件を考える必要があるのか」「得られた結果は現実的なのか」と考える力も必要です。


推薦入試では身近な「不便」から問いをつくってみよう

推薦入試を考えている高校生なら、物流やサプライチェーンという専門用語を覚えることから始めなくても構いません。

たとえば、「ネット通販の商品はどうして短時間で届くのだろう」「文化祭で必要な物品を効率よく運ぶにはどうすればよいだろう」「災害時には限られた物資をどう届ければよいのだろう」「新しいエネルギーを社会全体に届けるには何が必要なのだろう」と考えることも研究への入口になります。

さらに、「最短距離だけを選べば本当に一番よいのか」「コスト、時間、働く人の負担など複数の条件がある場合はどう考えるのか」と問いを深めていけば、数理最適化や経営工学につながっていきます。

伊呂原教授の研究を調べることで、数学や情報が教室の中だけで完結するものではなく、物流、企業活動、エネルギーなど現実社会の問題を考えるための道具になることが見えてきます。

「情報理工学科では何を研究できるのだろう」と考えている人は、普段利用しているネット通販や物流の仕組みにも目を向けてみてください。身近な社会の仕組みを「もっとよくする方法はないだろうか」と考えることも、情報理工学への大切な入口です。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。