上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|久森紀之教授の生体機能材料・人工関節研究

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 機能創造理工学科の久森紀之教授と、人工関節など高度医療技術を支える生体機能材料の研究」です。

「医療に関わる仕事」と聞くと、医師や看護師、薬剤師などを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、人工関節やインプラントなどの医療技術を支えているのは、医学だけではありません。材料の強さや耐久性を研究する工学も、人の健康を支える重要な役割を担っています。

今回は久森紀之教授の研究を通して、高校で学ぶ物理や化学が、医療を支える材料研究へどのようにつながっていくのか考えてみましょう。


久森紀之教授はどんな研究者?

上智大学の公式情報によると、久森紀之教授は上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属し、「高度医療技術を支える生体機能材料の構築」を研究しています。博士(工学)の学位を工学院大学で取得し、1999年から上智大学で高度医療技術に用いる生体機能材料や、環境強度・破壊力学に基づく構造物の安全性について研究を続けています。

研究分野としては、生体材料、構造用・機能性材料、スポーツ医工学などが挙げられています。金属系・セラミックス系の生体材料、チタン・チタン合金、破壊力学、環境材料強度学など、材料そのものの性質と、人の身体や安全との関係を考える研究が特徴です。

上智大学が2026年5月に公開した研究紹介では、特に人工膝関節や人工股関節に使われる材料について、安全性と耐久性を高めるための研究に取り組んでいることが紹介されています。


人工関節を「材料」から考える

膝や股関節には、立つ、歩く、走るといった日常の動作によって繰り返し力が加わります。人工関節に使われる材料にも、長期間にわたりこうした力に耐えることが求められます。

そこで重要になるのが、材料の「強さ」だけではありません。同じ材料に何度も力が加わることで、少しずつ損傷が蓄積して破壊につながる「疲労」という現象も考える必要があります。

久森教授の研究では、チタン合金やコバルトクロム合金などの医療用金属材料について、疲労特性をはじめとしたさまざまな材料特性が研究されています。たとえば2024年度の研究テーマには、3D造形したコバルトクロム合金やチタン合金の疲労特性向上を目指す研究などが挙げられています。

「人の体の中で長く使われる材料には、どのような性質が必要なのか」という問いを、実験やデータから明らかにしていくのです。


高校の物理が「壊れにくさ」の研究につながる

高校の物理では、力や運動について学びます。問題集では物体に加わる力を計算することが多いですが、大学の工学では、その知識が「材料に力を加えたら、どのように変形するのか」「繰り返し力を加えたら、いつ壊れるのか」といった現実の問題へ発展していきます。

久森教授の専門に含まれる「破壊力学」は、材料に生じた亀裂などがどのように広がり、破壊につながっていくのかを考える学問です。

人工関節の場合、「一度大きな力に耐えられたから安全」と単純には考えられません。人が生活する中では、歩くたびに繰り返し力が加わるからです。そのため、長い期間使用することを想定して材料の性質を調べる必要があります。

高校で学ぶ力学が、大学では「人が安心して使える医療機器をどう設計するか」という具体的な問いへつながっていくのです。


3Dプリンティングと材料研究

久森教授の研究では、3Dプリンティングによって造形した金属材料についても研究が行われています。

3Dプリンティングというと、樹脂で模型をつくる機械を想像する人もいるでしょう。しかし、現在では金属材料を積み重ねて立体的な部品を製造する技術も発展しています。

医療分野では、人の身体の形状や治療の目的に応じた複雑な形状の部品を製造する可能性があります。一方で、「3Dプリンターでつくれればそれでよい」というわけではありません。造形方法によって材料内部の状態や強度が変わる可能性があるため、どのような条件でつくり、どの程度の力に耐えられるのかを検証することが必要です。

ここにも機能創造理工学科らしい学びが見えてきます。製造技術だけを見るのではなく、材料の性質、力学、安全性などを組み合わせながら一つの課題を考えていくのです。


機能創造理工学科で学ぶ意味

上智大学 理工学部 機能創造理工学科は、物理学や数学などの理学と、材料、デバイス、電子機器、エネルギー、機械システムなどの工学を融合的に学ぶ学科です。公式サイトでは、「エネルギーの創出と利用」「物質の理解と材料・デバイスの創造」「ものづくりとシステムの創造」というキーテーマが示されています。

久森教授の研究は、この中でも材料と機械工学、さらに医療との接点をイメージしやすい研究の一つです。

機能創造理工学科を「機械をつくる学科」とだけ考えてしまうと、この広がりを見落としてしまいます。人工関節のように、材料の性質を理解し、力学的な安全性を調べ、その成果を人間の生活に関わる技術へつなげる研究も行われています。


身近な経験を大学での研究につなげてみよう

高校生の段階で人工関節について専門的な研究経験がなくても、大学で学びたいことを考える入口は身近なところにあります。

たとえば、スポーツをしていて膝や関節のけがに関心を持った経験があるかもしれません。家族の治療をきっかけに人工関節について調べた人もいるでしょう。物理の授業から「同じ力を何度も加えると材料はどうなるのだろう」と疑問を持つことも、一つの出発点になります。

大切なのは、経験の珍しさではありません。「なぜ疑問を持ったのか」「調べて何を知ったのか」「そこから新しく何を知りたくなったのか」と、興味を一段ずつ深めていくことです。

たとえば、「医療に興味がある」から、「人工関節に使われる材料に興味を持った」、さらに「体内で長期間使用する金属にはどのような安全性や耐久性が必要なのか知りたい」と問いを具体化していくことができます。


推薦入試に向けて研究内容をどう調べる?

上智大学 理工学部 機能創造理工学科の推薦入試を考えている人は、教員の研究テーマを単に覚えるのではなく、自分の興味との接点を考えてみましょう。

「久森教授が人工関節を研究しているから興味があります」で終わるのではなく、「なぜ人工関節に興味を持ったのか」「材料のどのような性質に疑問を持ったのか」「高校の物理や化学を学ぶ中で何とつながったのか」と考えていくと、自分自身の問題意識が見えてきます。

また、医療技術について考えるときには、新しい技術だから優れていると単純に決めつけるのではなく、安全性、耐久性、製造方法、患者への負担など複数の視点を持つことも大切です。

出願書類や面接に向けて研究室を調べる場合も、研究テーマをそのまま引用するのではなく、「自分はその研究の何に疑問や魅力を感じたのか」まで言葉にしてみてください。


工学から人の身体と生活を支える

久森紀之教授の研究を知ると、機械工学や材料工学が、人の身体や医療と深く結びついていることが分かります。

人工関節を長く安全に使用するためには、材料を選び、つくり、力を加えて試験し、得られたデータを分析しながら改善していく必要があります。その背景には、物理、材料、機械工学などさまざまな知識があります。

上智大学 理工学部 機能創造理工学科を目指している方は、身近な機械や材料を見たときに、「なぜこの材料が使われているのだろう」「安全性はどうやって確かめているのだろう」と考えてみてください。高校で学んでいる数学や物理、化学が、大学でどのような研究につながるのかを調べることも、自分の興味を深めるきっかけになります。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。