
上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|張月琳准教授のバイオメカニクスと頭部外傷研究
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 機能創造理工学科の張月琳准教授と、力学から人の安全を考えるバイオメカニクスの研究」です。
工学というと、自動車やロボット、機械などを設計する学問をイメージする人も多いかもしれません。しかし、機械工学で使われる力学や解析の考え方は、人間の身体を理解するためにも活用されています。
張月琳准教授は、振動計測・解析に基づく生体の健全性評価を研究テーマとし、特に頭部外傷の発症予測や頭部保護具の開発などに取り組んでいます。今回はその研究から、上智大学 理工学部 機能創造理工学科で学ぶ力学が、スポーツや人間の安全とどのようにつながっているのかを見ていきましょう。
張月琳准教授はどんな研究者?

張月琳准教授は、上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属し、博士(工学)の学位を首都大学東京で取得しています。上智大学公式サイトでは、主な研究テーマとして「振動計測・解析に基づく生体の健全性評価」が紹介されています。
研究のキーワードとなるのが「バイオメカニクス(生体力学)」です。バイオメカニクスとは、生物の身体にどのような力が働き、それによって身体がどのように動いたり変形したりするのかを、力学の視点から考える分野です。
張准教授の研究室では、さまざまな動きの中で人間の身体に生じる力学的な負荷を可視化することを目指しています。特に、コンタクトスポーツや交通事故などで頭部に強い衝撃が加わった際に、どのような力が作用し、それが頭部外傷につながるのかを明らかにする研究が進められています。
「頭をぶつけた」とき、体の中では何が起きている?
転倒したり、スポーツ中に選手同士が接触したり、交通事故で衝撃を受けたりすると、身体には短時間に大きな力が加わることがあります。
しかし、「頭部に衝撃を受けた」という事実だけでは、身体の内部にどのような力が加わったのかを直接見ることはできません。張准教授は、こうした見えにくい力学現象を明らかにするため、3次元の動作解析や衝撃シミュレーションなどを活用しています。
上智大学が公開している研究内容では、脳損傷症例を用いた受傷状況の再現解析、頭部有限要素モデルの開発、マーカーレスモーションキャプチャーによる動作解析、頭部保護具の性能評価などが研究テーマとして示されています。
「有限要素解析」とは、複雑な形をした物体を小さな部分に分け、それぞれに働く力や変形をコンピュータで計算する方法です。機械や建物の解析にも使われる工学的な手法を、人間の頭部や生体組織の研究に応用している点が特徴です。
高校の物理が「人の安全」を考える道具になる
張准教授の研究を高校生の学習と結びつけると、特にイメージしやすいのが物理です。
高校物理では、力、運動、速度、加速度、運動量、エネルギーなどを学びます。問題集では物体や台車などを扱うことが多いですが、大学ではこうした考え方を、より複雑な現実の問題へ応用していきます。
たとえば、人が転倒して頭部をぶつけたとします。衝突する直前の身体はどのように動いていたのか、どの方向から力が加わったのか、頭部はどのように動いたのか。こうした現象を数値として捉え、シミュレーションによって身体内部の力学的な負荷を考えていきます。
つまり、高校で学んでいる物理法則が、大学では「人間の身体に加わる衝撃をどう理解するか」という現実の課題につながっていくのです。
頭部を守るための「保護具」も研究対象になる
張准教授の研究は、頭部外傷が起きる仕組みを調べるだけではありません。上智大学の公式情報では、頭部保護具の性能評価も研究テーマとして示されています。
さらに2025年度には、張准教授を研究代表者として「生体骨模倣多孔質構造による衝撃吸収・耐久性に優れた3Dプリント可能な頭部保護部材の開発」という研究が進められています。
ここから分かるのは、身体に加わる力を解析する研究と、安全性を高めるための材料や構造を考える研究がつながっているということです。
たとえばヘルメットについて考える場合も、「硬い材料なら安全」と単純には決められません。どのように衝撃を吸収するのか、どこに力が集中するのか、どのような構造にすれば負荷を減らせるのかなど、さまざまな条件を検討する必要があります。工学では、こうした問いを実験や解析によって一つずつ確かめていきます。
機能創造理工学科で学ぶ「工学」の広がり
上智大学 理工学部 機能創造理工学科では、物理学、機械工学、電気・電子工学などに関わる分野を横断しながら学んでいきます。張准教授は、その中でも機械工学領域に位置づけられており、大学院の理工学専攻では、バイオメカニクス的手法を用いた変形計測・解析に基づく生体の健全性評価を研究分野としています。
張准教授の研究を見ると、「機械工学=機械を作る学問」ではないことが分かります。機械や構造物を分析するために発展してきた力学やシミュレーションを、人間の身体や安全という課題にも応用できるからです。
数学や物理を学ぶ目的も、単に計算問題を解けるようになることだけではありません。現実に起きている複雑な現象をモデル化し、データや計算結果から原因を考えるための道具として使われていきます。
高校生活の経験から研究への問いを作ってみよう

張准教授の研究に興味を持ったからといって、高校生の段階で高度なシミュレーションができる必要はありません。むしろ、身近な経験から「なぜ?」を見つけてみることが研究への入口になります。
たとえば部活動でスポーツをしている人なら、「同じような転倒でも、けがをするときとしないときがあるのはなぜだろう」と考えられます。自転車に乗る機会が多い人なら、「ヘルメットはどのような仕組みで衝撃を減らしているのだろう」という疑問を持つこともできます。
そこから、衝撃の大きさだけではなく方向も関係するのか、材料や形状によって衝撃の伝わり方は変わるのか、実際にはどのように安全性を評価しているのか、と問いを広げていくことができます。
こうした疑問について論文や大学の研究紹介を調べてみると、高校物理と大学で行われている研究との距離が少しずつ縮まってくるでしょう。
推薦入試では「スポーツが好き」で終わらせない
上智大学 理工学部 機能創造理工学科の推薦入試を考える際にも、自分の経験と大学の研究を結びつけて考えてみることが大切です。
たとえば、「スポーツが好きなのでバイオメカニクスを学びたい」というところから始まっても構いません。ただし、そこで止めずに、「競技中のけがを経験して身体に加わる衝撃に興味を持った」「ヘルメットによって衝撃をどこまで減らせるのか疑問を持った」「物理で学んだ力や加速度が人体ではどのように扱われるのか知りたい」と、一段深く考えてみましょう。
大きな研究実績がなければならないわけではありません。授業、部活動、探究活動、日常生活などをきっかけとして、何に疑問を持ち、何を調べ、その結果さらに何を知りたくなったのかを整理していくことが、自分の興味を具体化する助けになります。
「人間を守るための工学」という視点を持ってみよう

張月琳准教授の研究は、工学が機械や製品だけではなく、人間の身体や安全とも深く結びついていることを教えてくれます。
高校で学ぶ力や運動の法則から、頭部に加わる衝撃の解析、コンピュータによるシミュレーション、さらに頭部保護具の研究へと発展していく。そのつながりを知ると、機能創造理工学科で学べる工学の幅広さが見えてくるのではないでしょうか。
まずは自分の身近なところから、「転倒したとき身体にはどんな力が加わるのだろう」「スポーツ用の防具はどんな考え方で作られているのだろう」と問いを立ててみてください。そこから、自分の興味と上智大学 理工学部 機能創造理工学科での学びをつなげて考えてみましょう。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


