
上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|田中秀岳教授の精密工学とCFRP加工研究
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 機能創造理工学科の田中秀岳教授と、CFRPなどの材料を加工する精密工学の研究」です。
自動車や航空機、ドローン、ロボットなどの性能を高めるためには、優れた材料を開発するだけでは十分ではありません。その材料を「どのように切るのか」「どのように穴を開けるのか」「どのような形に加工するのか」という技術も重要です。
今回は、田中教授の研究を通して、高校で学ぶ数学や物理が、材料加工やものづくりの研究へどのようにつながっていくのかを考えてみましょう。
田中秀岳教授はどんな研究をしている?
田中秀岳教授は、上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属し、精密工学を専門としています。上智大学公式サイトでは、研究分野として「加工・計測・機能性評価、CFRPの成形及び切削加工」が紹介されています。
精密工学とは、材料を目的に合わせて高い精度で加工したり、その加工結果を測定・評価したりする学問分野です。単に「材料を削って形を作る」だけではありません。どのような加工条件なら狙った形状や表面を実現できるのか、加工すると材料にはどのような変化が生じるのかなどを実験や計測によって明らかにしていきます。
田中教授は、特にCFRPと呼ばれる炭素繊維強化プラスチックの加工技術に力を入れています。2026年には、田中教授と同じ上智大学 理工学部 機能創造理工学科のEmir Yilmaz准教授によるCFRPの加工技術に関する研究が、精密工学会春季大会で優秀研究ポスター賞を受賞しています。
CFRPとはどんな材料?
CFRPは「Carbon Fiber Reinforced Plastic」の略で、日本語では炭素繊維強化プラスチックと呼ばれます。上智大学の公式記事では、樹脂と炭素繊維を組み合わせて強度を高めた複合材料として説明されています。
軽量でありながら高い強度を持つことが特徴で、航空宇宙分野からスポーツ用品まで幅広いものづくりに利用されています。上智大学が2025年に紹介した田中教授の研究では、航空宇宙、自動車、風力発電、スポーツ用品などで使われていることも示されています。
しかし、優れた材料だからといって、簡単に加工できるとは限りません。CFRPは性質の異なる炭素繊維と樹脂を組み合わせた材料です。そのため、金属と同じ感覚で加工するのではなく、CFRPの特徴に合った加工方法を考える必要があります。
ここに、「新しい材料を作る研究」だけではなく、「新しい材料をどう加工するか」という研究の重要性があります。
CFRPにきれいな穴を開けることも研究になる

田中教授は、CFRPの穴あけ加工に関する研究にも取り組んでいます。2025年には「CFRP穴あけ加工産業用ロボットに適用する自動傾斜角調整機構を有する傾斜プラネタリ加工装置の開発研究」が、工作機械技術振興財団の試験研究助成に採択されています。
「穴を開けるだけなら簡単なのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、工業製品では、穴の位置や形、加工による材料への影響なども考えなければなりません。高い性能を求められる材料ほど、加工方法そのものが製品の品質に関わってきます。
どのように工具を動かせばよいのか、加工条件を変えると材料に何が起こるのか。その違いを測定し、データを比較しながら加工方法を改善していくことも、精密工学の研究です。
材料の表面を「削らずに整える」バニシング加工
田中教授の研究では、「バニシング加工」も扱われています。バニシング加工とは、材料の表面を工具で押しならし、微小な塑性変形を利用して表面を滑らかに仕上げる方法です。
「塑性変形」とは、力を加えて形が変わったあと、力を取り除いても元の形に完全には戻らない変形のことです。高校の物理で力や物体の変形について考えた経験が、大学では材料加工の研究へと発展していきます。
田中教授は、バニシング加工によって滑らかな面が形成される仕組みを明らかにする研究にも取り組んでいます。「表面がきれいになった」という結果だけを見るのではなく、「なぜその加工によって滑らかになるのか」を観察や解析から理解しようとするのが研究です。
高校の数学・物理と精密工学はどうつながる?
高校生の段階では、数学や物理を「公式を覚えて問題を解く科目」と感じることもあるでしょう。しかし大学の工学では、それらが実際の現象を理解するための道具になります。
たとえば材料を削るときには、工具と材料の間に力が働きます。工具がどのように動くのかを考えるには、速度や運動についての理解も必要です。さらに実験結果を比較するには、数値やグラフを読み取り、条件の違いと結果の関係を考える力も必要になります。
重要なのは、「数学が得意だから精密工学に向いている」と単純に考えることではありません。「加工条件を変えると、なぜ結果が変わるのだろう」「材料によって加工方法を変える必要があるのはなぜだろう」と問いを持つことが、大学での学びにつながっていきます。
機能創造理工学科だから考えられる「材料×機械×システム」
上智大学 理工学部 機能創造理工学科では、物理学や数学などの理学と、材料、デバイス、電子機器、エネルギー、機械システムなどの工学を融合的に学ぶことが示されています。
田中教授の研究も、単純に「工作機械の使い方を学ぶ」というものではありません。材料の性質を理解し、加工現象を観察し、測定したデータから原因を考え、よりよい加工方法や装置へつなげていきます。
近年の研究では産業用ロボットを用いたCFRP加工も扱われており、材料、加工、機械、制御など複数の視点を組み合わせて考える必要があります。こうした分野を横断する学びは、機能創造理工学科が掲げる「複合知」ともつながっています。
高校生活の中にも精密工学への入口がある
精密加工の研究に興味があっても、高校生のうちから専門的な工作機械を扱っている必要はありません。
たとえば科学部やものづくりの活動で、「同じ材料なのに加工方法によって仕上がりが違った」という経験があれば、その理由を考えてみることができます。3Dプリンターを使った経験があれば、「設定を変えると強度や表面の状態はどう変化するのだろう」という問いにも発展できます。
自動車や航空機が好きな人なら、「車体を軽くすればエネルギー消費を抑えられる可能性がある一方、安全性や耐久性はどう確保するのだろう」と考えることもできます。材料を変えるだけではなく、製造方法やコスト、品質なども含めて考えると、ものづくりの問題がより立体的に見えてきます。
推薦入試に向けて田中教授の研究から考えたいこと

上智大学 理工学部 機能創造理工学科の推薦入試を考えるとき、「ものづくりが好き」「自動車が好き」という興味は大切な出発点です。ただし、そこからもう一歩掘り下げてみましょう。
たとえば「航空機に興味がある」なら、「なぜ軽い材料が必要なのか」「軽くて強い材料はどう加工するのか」「加工時に生じる問題をどう測定するのか」と問いを広げられます。そこで田中教授のCFRP研究を調べれば、自分の興味と上智大学での具体的な研究との接点が見えてくるでしょう。
推薦入試に向けて研究テーマを完全に決める必要はありません。出願書類や面接で問われる志望理由を考える際には、自分が何に興味を持ったのか、そこから何を疑問に思ったのか、そして大学で何をさらに学びたいのかを整理していくことが大切です。
身近な「どうやって作る?」から研究を調べてみよう

田中秀岳教授の研究から見えてくるのは、ものづくりでは材料そのものだけでなく、「どう加工するか」も重要な研究テーマになるということです。
スマートフォン、自動車、航空機、スポーツ用品など、身の回りの製品を見ながら、「この材料は何でできているのだろう」「どうやってこの形に加工しているのだろう」「軽さと強さをどう両立しているのだろう」と考えてみてください。
そんな小さな疑問から、高校で学んでいる数学や物理と、精密工学や材料加工という大学での研究とのつながりが見えてくるかもしれません。自分の興味と上智大学 理工学部 機能創造理工学科での学びを結びつけながら、さらに調べてみましょう。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


