上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|星野正光教授の量子ビーム・プラズマ研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の星野正光教授と、量子ビームを使って原子・分子やプラズマの世界を探る研究」です。

物質生命理工学科という名前から、化学や生物を中心に学ぶ学科というイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、上智大学 理工学部 物質生命理工学科では、物理学、化学、生物学、環境科学、材料工学などを複合的に学びます。その中で、原子や分子という非常に小さな世界を物理学の視点から研究しているのが星野正光教授です。


星野正光教授はどのような研究者?

星野正光教授は、上智大学 理工学部 物質生命理工学科に所属し、量子ビームを用いたプラズマ・放射線科学の原子物理学的研究に取り組んでいます。

上智大学の公式情報によると、星野教授は上智大学で学士(理学)、修士(理学)、博士(理学)の学位を取得しています。博士後期課程在籍時には理化学研究所でも多価イオン衝突を研究し、その後も理化学研究所で研究を続け、2005年から上智大学で研究・教育に携わっています。

現在の研究では、低エネルギーの電子や陽電子、低速多価イオン、シンクロトロン放射光などを使い、原子や分子がエネルギーを受け取ったときにどのような変化が起こるのか、その衝突過程を詳しく調べています。


量子ビームとは何だろう?

「量子ビーム」と聞くと、高校生には少し難しく感じられるかもしれません。量子ビームとは、電子、イオン、光などの量子的な性質を持つ粒子や電磁波を細く制御して利用するものです。

星野教授の研究では、こうしたビームを原子や分子に当て、そのときに何が起こるのかを精密に測定します。たとえば電子が分子に衝突すると、単純にはね返るだけではなく、分子がエネルギーを受け取って「励起」と呼ばれる高いエネルギー状態になることがあります。

高校物理や高校化学で学ぶ原子、電子、エネルギー準位といった内容が、ここでは実際に測定する研究へと発展していきます。教科書に書かれた法則を覚えるだけではなく、「実際の原子や分子は衝突した瞬間にどう振る舞うのか」を実験から確かめていくのです。


オーロラから半導体までつながる「プラズマ」

星野教授の研究を理解するもう一つのキーワードが「プラズマ」です。プラズマとは、原子や分子から電子が離れるなどして、電子やイオンといった荷電粒子が存在している状態です。

上智大学の研究紹介では、自然界のオーロラや太陽で見られる現象だけでなく、スマートフォンなどに使われる半導体の製造にもプラズマが利用されていることが紹介されています。

一見すると、空に広がるオーロラと半導体製造には何の関係もないように思えるでしょう。しかし、どちらもミクロな視点までさかのぼると、電子と原子・分子の衝突という現象が重要になります。

星野教授の研究室では、この複雑なプラズマ現象を、荷電粒子がどのように衝突するのかという原子・分子レベルの視点から理解しようとしています。壮大な自然現象や高度な産業技術を、非常に小さな世界から考えていく研究なのです。


電子や陽電子の衝突を精密に測る

星野教授の研究では、低エネルギー電子による分子の非弾性散乱、低エネルギー陽電子による原子・分子の散乱、プラズマに関連する分子の電子衝突励起など、さまざまな衝突現象が研究されています。

陽電子とは、電子と同じ質量を持ちながら、電子とは反対の正の電荷を持つ粒子です。同じ原子や分子に電子と陽電子を衝突させたとき、その振る舞いにはどのような違いが現れるのでしょうか。こうした違いを精密に調べることで、原子や分子の性質をより深く理解することができます。

また、研究にはシンクロトロン放射光も利用されています。これは電子を高速まで加速して得られる非常に明るい光で、原子や分子の状態を詳しく調べるための重要な研究手段です。

つまり、目では直接見ることのできない世界について、さまざまな実験方法からデータを集め、その結果を比較しながら理解を深めていきます。


高校の物理・化学から研究の問いをつくる

星野教授の研究に興味を持った人は、高校の物理や化学の教科書を「研究につながる問い」という視点で読み直してみると面白いでしょう。

たとえば、「原子が励起されると光を出す」と学んだときに、そこで終わらず、「どのくらいのエネルギーを与えれば励起するのだろう」「電子を衝突させた場合と光を当てた場合では何が違うのだろう」と考えてみます。

オーロラを見て「きれいだ」と感じた経験から、「なぜ色が違うのか」「大気中のどの原子や分子が関係しているのか」と調べてもよいでしょう。身近なスマートフォンから半導体の製造方法を調べ、「なぜ製造工程にプラズマが必要なのか」と疑問を広げることもできます。

こうした疑問は、高校で習う物理や化学と大学での研究を結ぶ入口になります。


物質生命理工学科だから見えてくる幅広さ

上智大学 理工学部 物質生命理工学科は、自然界の「物質と生命」を探究し、原子・分子から高分子や生命現象まで幅広く学ぶ学科です。

そのため、「物質生命」という言葉を見て生命科学だけをイメージするのではなく、どのような研究者が所属し、どのようなテーマが扱われているのかまで確認することが大切です。

星野教授の研究は、その幅広さを理解する好例です。原子や分子の基礎的な衝突現象を追究する研究が、プラズマの理解や半導体製造などの技術とも接点を持っています。基礎科学と社会で利用される技術がどのようにつながっているのかを考えられる点も、理工学を学ぶ面白さの一つです。


推薦入試では「研究名を覚える」だけで終わらせない

推薦入試を考えている人が教員の研究を調べるときに大切なのは、「星野教授は量子ビームを研究している」と覚えることではありません。

まず、自分がどの部分に興味を持ったのかを考えてみましょう。「オーロラを原子・分子レベルから説明できることが面白かった」「半導体製造とプラズマの関係を初めて知った」「高校で学んだ電子の話が、実際の実験研究につながっていることに興味を持った」など、入口は人によって異なります。

そこから自分で少し調べ、「なぜ?」「では、こちらの場合はどうなる?」と問いを広げてみてください。高校生の段階で量子力学や原子衝突物理学を完全に理解する必要はありません。分からないことをそのままにせず、自分なりに調べて考えることが、大学で学びたい内容を具体化するきっかけになります。

出願書類や面接で問われる志望理由について考える際にも、「物理が得意だから」だけではなく、自分が興味を持った現象、そこから生まれた疑問、調べて分かったこと、さらに大学で知りたいことへと整理してみるとよいでしょう。


ミクロな世界から身近な科学技術を考えてみよう

星野正光教授の研究から分かるのは、目に見えない原子や電子の振る舞いを理解することが、オーロラのような自然現象や半導体製造に使われるプラズマの理解にもつながっているということです。

上智大学 理工学部 物質生命理工学科を目指している人は、高校で勉強している物理や化学を「受験科目」としてだけ見るのではなく、身近な現象を説明する道具として眺めてみてください。「この現象は原子や分子の世界では何が起きているのだろう」という疑問から、新しい興味が生まれるかもしれません。

ぜひ星野教授をはじめとする教員の研究を調べながら、自分の身近な疑問と上智大学 理工学部 物質生命理工学科での学びがどこでつながるのかを考えてみてください。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。