
上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|冬月世馬教授の惑星大気化学とは
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の冬月世馬教授と、化学から地球や惑星の大気を探る研究」です。
「物質生命理工学科で宇宙や地球の大気を研究できるの?」と意外に感じる人もいるかもしれません。冬月教授の研究を見ていくと、高校で学ぶ化学や物理が、地球の歴史や太陽系外惑星の大気を考える研究へと発展していくことが分かります。
冬月世馬教授はどのような研究者?

冬月世馬教授は、上智大学 理工学部 物質生命理工学科に所属し、大気化学を専門としています。現在、上智大学の公式情報では「化学速度論および安定同位体を用いた大気化学ダイナミックスの研究」を研究分野としており、理論・実験・モデリングを組み合わせて惑星大気を研究しています。
冬月教授は、富山工業高等専門学校で準学士(工学)、金沢大学で学士(理学)・修士(理学)、東京工業大学で博士(理学)を取得しています。工学から理学へと学びを広げながら、大気中で起こる化学反応を研究してきた研究者です。
研究キーワードには、惑星大気化学、大気化学モデル、紫外線吸収スペクトル、同位体効果などがあります。地球の大気だけではなく、初期・古代の地球や太陽系外惑星まで研究対象としている点も特徴です。
「大気を化学する」とはどういうこと?
私たちは普段、空気を一つのまとまりとして捉えています。しかし実際の大気にはさまざまな分子や微粒子が存在し、太陽光などの影響を受けながら化学反応を起こしています。
たとえば冬月教授が研究対象としてきたものの一つに、成層圏の硫酸エアロゾルがあります。エアロゾルとは、気体中に浮遊する微粒子のことです。硫酸エアロゾルは太陽光を反射する性質を持つため、大気と気候の関係を理解するうえでも重要な研究対象になります。
高校化学では、反応式を書いたり、反応速度や化学平衡について学んだりします。大学では、その知識を「実際の大気の中では、どの反応がどのくらいの速さで起こっているのか」「その反応によって大気組成はどう変化するのか」といった現実の問いに結びつけていきます。
安定同位体から大気の「履歴」を読み解く
冬月教授の研究を理解するキーワードの一つが「安定同位体」です。同じ元素でも、中性子の数が異なるため質量が違う原子があり、これを同位体と呼びます。そのうち放射性崩壊をしないものが安定同位体です。
同位体は化学的にはよく似ていますが、質量の違いによって化学反応でわずかな差が生じることがあります。この小さな違いを詳しく調べることで、ある物質がどのような反応を経て生まれたのかを考える手がかりになります。
冬月教授は、実験による測定と理論計算の両面から、こうした同位体効果を研究しています。目で直接見ることのできない過去の大気についても、現在残されている情報と化学反応の仕組みを組み合わせることで、その変化を考えていくのです。
実験とコンピュータの両方を使う研究

冬月教授の研究の面白いところは、一つの方法だけで大気を調べているわけではない点です。研究室では、大気微量成分の連続測定、真空紫外領域でのスペクトル測定、大気光化学モデルの開発、第一原理計算を用いた反応速度定数の推定など、複数の研究方法が用いられています。
「スペクトル」とは、物質が光をどのように吸収するかなどを波長ごとに調べたものです。分子によって光との関わり方が異なるため、スペクトルを詳しく測定することで、その分子の性質や大気中での反応を理解するための情報が得られます。
一方、大気化学モデルでは、さまざまな化学反応をコンピュータ上で計算し、大気の状態や変化を考えます。つまり「実験する研究」と「計算する研究」が別々に存在するのではなく、測定結果と理論を行き来しながら理解を深めていくのです。
地球の歴史から太陽系外惑星まで
冬月教授の研究対象は、現代の地球だけではありません。上智大学の公式情報では、初期・古代・現代の地球に加えて、太陽系外惑星の大気組成とその変化についても研究していることが紹介されています。
地球の大気は、誕生したときから現在と同じだったわけではありません。大気中でどのような化学反応が起こり、組成がどのように変化してきたのかを考えることは、地球環境の歴史を理解することにもつながります。
さらに、遠く離れた惑星についても、大気中で起こり得る化学反応を考えることで、その環境を理解する手がかりが得られます。生命の存在可能性を考える研究とも接点がありますが、特定の物質を見つければ直ちに生命の存在を証明できるわけではありません。大気の化学反応や惑星環境を慎重に検討する必要があります。
高校の化学や物理がどうつながる?
高校生の皆さんにとって、この研究への入口は決して遠いものではありません。化学反応式、反応速度、原子や分子、光と物質の関係など、高校で学ぶ内容が研究の基礎につながっています。
たとえば、「なぜオゾン層は紫外線と関係しているのか」「火山噴火で大気中に物質が増えると何が起こるのか」「遠くの惑星の大気を直接採取できないのに、どうやって組成を調べるのか」といった疑問も研究への入口になります。
重要なのは、宇宙が好き、化学が得意というだけで終わらせず、「自分は何を不思議だと感じているのか」を考えることです。高校の授業で覚えた知識を現実の自然現象と結びつけてみると、大学で学びたいテーマが見えやすくなります。
推薦入試に向けて研究内容をどう生かす?
推薦入試を考えている人は、冬月教授の研究内容をそのまま覚えることより、自分自身の興味との接点を考えてみましょう。
たとえば、「ニュースで気候変動について知った」だけではなく、「大気中の微量な物質が気候に影響する仕組みに疑問を持ったので調べた」、「宇宙に興味がある」だけではなく、「観測できる光から遠く離れた惑星の大気をどこまで理解できるのか疑問を持った」というように、興味を具体的な問いへ変えていくことができます。
高校生の段階で専門的な大気化学モデルを作ったり、研究テーマを完全に決めたりする必要はありません。授業や探究活動、ニュースなどをきっかけに疑問を持ち、調べた結果からさらに新しい疑問を見つける。その過程を整理することは、出願書類や面接で自分の学びたいことを考える際にも役立ちます。
「化学」から地球や宇宙を見てみよう

冬月世馬教授の研究から見えてくるのは、化学という学問の対象が実験室の中だけにあるわけではないということです。分子の反応という小さな世界を丁寧に調べることが、地球の長い歴史や遠く離れた惑星の大気を考えることにつながっています。
上智大学 理工学部 物質生命理工学科に興味がある人は、「化学が好きだから」で止めず、「化学を使って何を知りたいのか」を考えてみてください。空を見上げたときの疑問や、授業で習った反応への疑問からでも構いません。
身近な「なぜ?」を調べながら、高校で学んでいる化学や物理が大学の研究にどうつながっていくのか、自分の興味と上智大学 理工学部 物質生命理工学科での学びを結びつけて考えてみましょう。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


