
上智大学法学部国際関係法学科|永野仁美教授に学ぶ「社会保障法」と年金・生活保護の仕組み
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、「上智大学法学部国際関係法学科・永野仁美教授の研究から考える、社会保障法と年金・生活保護の仕組み」です。
上智大学法学部国際関係法学科で学ぶ「社会保障法」とは
上智大学法学部国際関係法学科には、社会保障法を専門とする永野仁美教授がいらっしゃいます。永野教授は、公的年金制度や生活保護制度など、社会保障に関する法律を研究されています。授業では「社会保障法Ⅰ」「社会保障法Ⅱ」などを担当されています。
「社会保障法」と聞くと、高校生のみなさんには少し遠いテーマに感じられるかもしれません。しかし実際には、病気、ケガ、失業、高齢、障害、生活困窮など、人生のさまざまな場面で人々の暮らしを支える、とても身近な法律の分野です。
医療保険や年金、生活保護などの制度は、個人だけでは対応することが難しい生活上のリスクを、社会全体で支えるためにつくられています。社会保障法を学ぶことは、「誰もが安心して生活できる社会を、法律によってどのように支えるのか」を考えることでもあります。
社会保障はなぜ必要なのか
私たちは、いつでも健康で働き続けられるとは限りません。病気やケガによって働けなくなることもあれば、高齢になって収入を得ることが難しくなることもあります。
また、家庭の事情や社会情勢の変化によって、経済的に困難な状況になる可能性は誰にでもあります。
こうした問題をすべて本人や家族だけの責任としてしまうと、生活を維持できなくなる人が出てくる可能性があります。そこで、保険料や税金などを通じて社会全体で支え合い、必要なときに一定の支援を受けられる仕組みがつくられています。
社会保障法では、単に制度の名称を覚えるのではなく、「なぜ社会として支える必要があるのか」「どこまでを公的に支援するべきなのか」といった根本的な問題について考えていきます。
「公的年金制度」は何のためにあるのか
永野教授の研究テーマの一つが、公的年金制度です。
年金と聞くと、「高齢者が受け取るお金」というイメージを持つ人が多いかもしれません。公的年金制度は、高齢になったときなどに生活を支えるための社会保障制度の一つです。
高校生の段階では自分にはまだ関係がないように思えるかもしれませんが、将来働くようになれば、年金制度は自分自身の生活とも深く関わります。
ここで重要なのが、「誰が制度を支え、誰が給付を受けるのか」という問題です。社会全体の年齢構成や働く人の数が変化すれば、年金制度にも影響が生じます。
制度を長く維持しながら、高齢者の生活をどのように支えるのか。若い世代と高齢世代の負担をどう考えるのか。こうした問題は、社会保障法の重要な研究テーマです。
少子高齢化と年金の問題を考える
日本の社会保障を考えるうえで避けて通れないテーマの一つが、少子高齢化です。
高齢者が増える一方で、働く世代の人口が変化すると、社会保障をどのように支えていくのかという課題が生まれます。
ただし、「若い人の負担が増えるから年金を減らせばよい」と単純に考えることはできません。高齢になってから十分な収入を得ることが難しい人にとって、年金は生活を支える大切な制度だからです。
一方で、制度を支える側の負担が大きくなりすぎれば、将来にわたって制度を維持することが難しくなる可能性もあります。
「現在支援を必要としている人」と「将来制度を利用する人」の両方を考えながら、持続可能な仕組みをつくる必要があります。こうした世代間のバランスを考えることも、社会保障法の大きなテーマです。
「生活保護制度」はなぜあるのか
永野教授が研究されているもう一つの重要なテーマが、生活保護制度です。
生活保護は、さまざまな事情によって生活に困窮し、必要な生活費などを自分だけでは確保することが難しい場合に、一定の条件のもとで生活を支える制度です。
社会の中では、失業、病気、家庭環境など、自分の努力だけでは解決できない事情によって生活が厳しくなることがあります。
そのような場合に、最低限度の生活を社会としてどのように保障するのかを考えることが、生活保護制度の重要な役割です。
一方で、「どのような人を対象とするのか」「どの程度の支援が必要なのか」「制度を公平に運用するにはどうすればよいのか」といった難しい問題もあります。
「公平」とは全員を同じように扱うことなのか
社会保障を考えるときに重要になるのが「公平」という視点です。
全員にまったく同じ支援を行えば公平なのでしょうか。それとも、置かれている状況に応じて支援の内容を変えるほうが公平なのでしょうか。
たとえば、健康で十分な収入がある人と、病気によって働くことが難しい人では、生活を維持するために必要な支援が異なる可能性があります。
同じように扱うことと、それぞれの事情に応じた支援を行うことのどちらが公平なのかは、簡単には決められません。
社会保障法では、限られた財源をどのように使うのか、誰にどのような支援を届けるべきなのかを、さまざまな立場から考えていきます。
社会保障を支える「負担」の問題
年金や医療、生活支援などの社会保障制度を維持するためには、費用が必要です。
そのため、社会保障について考える際には、「誰にどのような支援をするのか」だけではなく、「その費用を誰がどの程度負担するのか」という問題も避けて通れません。
税金や保険料を増やせば社会保障を充実させやすくなる一方、働く人や企業などの負担は大きくなります。反対に負担を小さくすれば、利用できる制度や給付の範囲を考え直す必要が出てくるかもしれません。
支援を受ける側と負担する側を完全に分けて考えることもできません。今は制度を支えている人が、将来は年金や医療などの支援を受ける側になることもあるからです。
社会保障は、長い人生の中で互いに支える仕組みとして考えることが大切です。
国際関係法学科で社会保障法を学ぶ意味
社会保障制度は、それぞれの国によって仕組みが異なります。
年金制度、医療制度、生活困窮者への支援、子育て支援などについて、国がどこまで責任を持つのかは同じではありません。
ある国では公的な支援を手厚くしている一方、別の国では個人や家族による負担を重視している場合もあります。
そこで、海外の制度と日本の制度を比較すると、「なぜ日本ではこの仕組みになっているのか」「他国の制度から学べることはあるのか」と考えることができます。
少子高齢化や社会保障費の増加は、日本だけの問題ではありません。複数の国の取り組みを比較しながら考えることは、社会保障制度をより広い視点で理解することにつながります。
高校生活から社会保障の問いを見つける
社会保障法に関心を持つために、特別な経験が必要なわけではありません。
ニュースや身近な人との会話、学校の探究活動などから、さまざまな問いを見つけることができます。
たとえば、祖父母と話す中で年金や医療について知ることもあるでしょう。家族の介護をきっかけに、介護サービスや社会保障制度に関心を持つ人もいるかもしれません。
また、「なぜ健康保険があるのか」「高齢者の医療費は誰が負担しているのか」と疑問を持つことも、社会保障法への入り口になります。
普段は当たり前だと思っている制度について、「誰が支えているのだろう」「制度がなかったらどうなるのだろう」と考えてみることが大切です。
大学では「制度を知る」から「制度を考える」へ
高校の公民などでも、年金や社会保障について学ぶ機会があります。しかし、大学では制度の名称や仕組みを覚えるだけではありません。
「なぜこの制度がつくられたのか」「現在の社会に合った仕組みになっているのか」「制度を変更した場合、誰にどのような影響が出るのか」といった問いまで掘り下げていきます。
たとえば年金制度を変更すると、高齢者だけでなく、現在働いている人や将来の世代にも影響する可能性があります。
生活保護について制度を厳しくすれば財政負担を抑えられるかもしれませんが、本当に支援を必要としている人が利用できなくなる問題も考えなければなりません。
一つの数字や立場だけで判断せず、制度によって影響を受けるさまざまな人の状況を考えることが、大学での社会保障法の学びにつながります。
推薦入試を考える高校生が意識したい視点
上智大学法学部国際関係法学科の推薦入試を考えている人は、社会保障制度の詳しい数字を暗記することよりも、社会の仕組みに対して自分なりの疑問を持つことを意識してみてください。
- 少子高齢化が進む中で、年金制度をどのように維持するべきなのか疑問を持った
- 生活に困った人を社会がどこまで支えるべきなのか考えてみたいと思った
- 社会保障に必要な費用を世代間でどのように負担するのが公平なのか関心を持った
- 日本と海外では年金や福祉制度がどのように違うのか調べてみたいと思った
こうした問いについて、最初から一つの正解を出す必要はありません。
若い世代、高齢者、働く人、支援を必要とする人、行政など、それぞれの立場から考えてみることで、問題の複雑さが見えてきます。
志望理由では「社会保障に興味がある」から一歩深める
提出書類や面接で問われる志望理由を考える際には、「社会保障に興味があります」「年金問題を学びたいです」という説明だけで終わらないようにしましょう。
大切なのは、どのような出来事をきっかけに疑問を持ち、その疑問をどのように深めたのかという流れです。
たとえば、少子高齢化についてのニュースを見て、「自分たちが高齢者になるころにも現在のような年金制度は続いているのだろうか」と疑問を持ったとします。
そこから調べる中で、年金制度は高齢者の生活保障だけではなく、世代間の負担や雇用、人口構造などとも関係していることを知り、「持続可能で公平な社会保障制度について学びたい」と考えるようになれば、大学での学びにつながる問題意識になります。
自分の生活に近い疑問を、社会全体の仕組みへと広げていくことを意識してみてください。
社会保障のニュースを「自分の将来」と結びつけてみよう
社会保障への興味を深めるためには、日頃のニュースを見る際に、「自分とは関係ない話」と考えないことが大切です。
年金制度の見直しについて報道されたときには、「現在の高齢者だけではなく、自分たちの世代にはどのような影響があるのだろう」と考えてみましょう。
生活保護や医療制度についてのニュースを見たら、「もし自分や家族が支援を必要としたら、どのような制度を利用できるのだろう」と調べてみることもできます。
さらに、海外の制度について調べ、日本と比較してみると、社会保障の仕組みにはさまざまな考え方があることにも気づけます。
身近な疑問を社会全体、そして国際的な視点へと広げていくことが、社会保障法を学ぶ第一歩です。
まとめ
永野仁美教授が研究されている公的年金制度や生活保護制度は、「誰もが安心して暮らすことのできる社会をどのようにつくるのか」という大きな問いにつながっています。
社会保障制度では、支援を必要とする人を守ることだけでなく、その制度を誰がどのように支えるのかという問題も考えなければなりません。
特に少子高齢化が進む社会では、現在の世代と将来の世代、高齢者と若い人など、異なる立場の人々にとって公平な制度とは何かを考えることが重要になります。
また、日本だけではなく海外の社会保障制度を見ることで、日本の制度の特徴や課題について新しい視点を持つこともできます。
上智大学法学部国際関係法学科を志望している人は、年金や生活保護、医療などのニュースを見たときに、「この制度は誰を支え、誰が支えているのだろう」と考えてみてください。
その疑問を少しずつ深めることが、社会保障法への理解を広げ、自分が大学で学びたいテーマを見つけるきっかけになります。
提出書類や面接に向けて、自分の経験と社会保障法への関心をどのように結びつければよいのか、一人で整理することが難しい場合は、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。今後、教員情報、授業内容、入試制度等が変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


