
上智大学法学部国際関係法学科|森下哲朗教授に学ぶ「国際取引法・金融法」とフィンテックの広がり
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、「上智大学法学部国際関係法学科・森下哲朗教授の研究から考える、国際取引法・金融法とフィンテック」です。
上智大学法学部国際関係法学科で学ぶ「国際取引法」とは
上智大学法学部国際関係法学科には、国際取引法・金融法・交渉学を専門とする森下哲朗教授がいらっしゃいます。森下教授は、金融取引やフィンテックなど、社会や技術の新しい動きを踏まえた研究に取り組まれています。授業では「国際取引法各論」「NEGOTIATION WORKSHOP」などを担当されています。
「国際取引法」という言葉は、高校生のみなさんには少し聞き慣れないかもしれません。簡単にいえば、国境を越えて企業や人がお金や商品、サービスをやり取りするときに関係する法律の分野です。
たとえば、日本の企業が海外の会社から商品を輸入するとします。その場合、商品の価格や支払い方法、いつまでに商品を届けるのか、途中で問題が起きた場合にどうするのかなど、さまざまなことを契約で決めておく必要があります。
さらに、日本と相手国では法律や商習慣が異なることがあります。そのため、「どの国の法律を基準に考えるのか」「トラブルが起きたらどこで解決するのか」という問題まで考えなければなりません。
国境を越える取引ではなぜルールが重要なのか
国内の取引でも契約は大切ですが、国際取引ではさらに多くの要素が関係します。
言葉や文化が違うだけでなく、法律、通貨、決済方法、商習慣なども国によって異なります。
たとえば、日本では当たり前だと思っていた契約上の考え方が、海外では同じように理解されるとは限りません。そのため、何をどのように約束するのかを明確にする必要があります。
もし問題が起きた場合にも、「日本の裁判所で争うのか」「相手国で争うのか」「裁判以外の方法を使うのか」といった選択肢があります。
国際取引法を学ぶことは、単に海外とのビジネスのルールを覚えることではありません。異なる制度や文化を持つ相手と、どのように安全で公平な取引を実現するのかを考えることでもあります。
身近になった「フィンテック」とは
森下教授の研究テーマを考えるうえで、高校生のみなさんにも身近なのが「フィンテック」です。
フィンテックとは、金融を意味するファイナンスと、技術を意味するテクノロジーを組み合わせた言葉です。金融サービスに新しい技術を取り入れる動きを広く指します。
たとえば、スマートフォンを使った送金、QRコードを利用したキャッシュレス決済、オンライン上の金融サービスなども、フィンテックと関係しています。
以前は、お金を送るには銀行の窓口やATMを利用することが一般的でした。しかし現在では、スマートフォンだけで手続きを終えられるサービスも増えています。
技術によって金融が便利になる一方で、「安全性をどう確保するのか」「トラブルが起きた場合に誰が責任を負うのか」といった新しい法律問題も生まれています。
便利な決済サービスにも法律上の課題がある
キャッシュレス決済は、私たちの生活を便利にしてくれるサービスの一つです。
しかし、もし自分のアカウントが第三者に不正利用されたらどうなるでしょうか。誤って別の人に送金してしまった場合、取り戻すことはできるのでしょうか。サービスを提供している企業にトラブルが起きた場合、利用者のお金はどのように守られるのでしょうか。
便利なサービスが広がるほど、その裏側にある安全性や利用者保護のルールも重要になります。
また、金融サービスが国境を越えて提供されるようになれば、一つの国だけの法律では整理しにくい問題も生まれます。
技術を活用して便利な仕組みをつくることと、安心して利用できるルールをつくること。その両方を考える必要があるのです。
暗号資産など新しい金融サービスをどう考えるか
フィンテックに関連するテーマとして、暗号資産などの新しい金融サービスもあります。
従来のお金や金融商品とは仕組みが異なるため、「法律上どのように扱うべきなのか」という問題が生じます。
新しい金融技術が登場したとき、自由に発展できる環境をつくることは重要です。一方で、利用者が大きな被害を受けないように一定の規制を設ける必要もあります。
規制を厳しくしすぎれば、新しいサービスやビジネスが生まれにくくなる可能性があります。しかし、ルールがほとんどなければ、詐欺や不正利用などの問題が広がるかもしれません。
「新しい技術の発展」と「利用者の保護」をどう両立するかという点も、金融法を考えるうえで重要な問いになります。
技術の進歩に法律はどう対応するのか
フィンテックのように変化の速い分野では、技術の進歩と法律の関係が大きな課題になります。
新しいサービスは短期間で世界中に広がることがありますが、法律や制度を整えるには議論や手続きが必要です。そのため、新しい技術が先に普及し、法律が後から対応するということもあります。
そこで法律学では、「現在の法律を新しいサービスにも適用できるのか」「新しいルールが必要なのか」「どこまで規制するべきなのか」を考えます。
法律は社会の変化と無関係に存在しているわけではありません。技術や経済の仕組みが変われば、それに合わせて法律のあり方についても考え続ける必要があります。
「交渉学」は法律とどう関係するのか
森下教授は、国際取引法や金融法に加えて、交渉学も専門とされています。
国際的な取引では、法律だけを知っていれば必ず合意できるわけではありません。異なる考え方や利益を持つ相手と話し合い、双方が受け入れられる条件を見つける必要があります。
たとえば、商品の価格、納期、支払い方法について、自分たちの希望と相手の希望が完全に一致するとは限りません。
そのときに、一方的に自分の要求を押しつけるのではなく、「何を優先するのか」「どの部分なら譲れるのか」「相手は何を求めているのか」を整理しながら交渉します。
国際取引では文化や商習慣の違いもあるため、相手の背景を理解しながら合意形成を進める力が重要になります。
学校生活にもある「交渉」の考え方
交渉というと、企業同士が会議室で話し合う場面を想像するかもしれません。しかし、考え方自体は高校生活にも身近です。
たとえば、文化祭の企画について意見が分かれたとき、一方の案だけを採用するのではなく、お互いが大切にしている部分を確認しながら新しい案を考えることがあります。
部活動でも、練習時間や役割分担について意見が合わないことがあるでしょう。
そのようなときに、「相手を言い負かす」のではなく、「お互いが納得できる方法を探す」と考えることが交渉の基本的な発想につながります。
もちろん企業間の国際交渉とは規模も内容も異なりますが、相手の立場を理解しながら解決策を探る姿勢は共通しています。
国際取引法では法律とビジネスの両方を見る
大学で国際取引法や金融法を学ぶ際には、法律の条文だけではなく、実際のビジネスや経済の仕組みについても考える必要があります。
たとえば、企業がなぜその契約条件を求めているのか、金融機関がどのような役割を果たしているのか、技術の変化がビジネスにどのような影響を与えているのかを理解することも大切です。
法律上は可能であっても、実際の取引では現実的ではない場合もあります。反対に、ビジネス上は便利でも、利用者の安全や公平性の観点から法律による規制が必要になることもあります。
法律、経済、技術、国際関係を組み合わせながら問題を考える点に、国際取引法や金融法の面白さがあります。
国際関係法学科で学ぶ意味
現代の企業活動や金融サービスは、一つの国の中だけで完結するとは限りません。
日本で利用しているスマートフォンのサービスが海外企業によって提供されていたり、日本企業が世界各地の企業と取引を行っていたりすることは珍しくありません。
そのため、法律についても日本国内の制度だけではなく、海外の法制度や国際的なルールを意識する必要があります。
「どの国の法律が関係するのか」「複数の国のルールが異なるときにどう調整するのか」という問いを考えることは、国際関係法学科で学ぶ重要な視点です。
グローバル化とデジタル化が同時に進む社会だからこそ、国際取引法と金融法を組み合わせて学ぶ意味は大きくなっています。
推薦入試を考える高校生が意識したいこと
上智大学法学部国際関係法学科の推薦入試を考えている人は、金融や国際取引について専門的な知識をたくさん持つことだけを目標にする必要はありません。
まずは、普段利用しているサービスやニュースから、自分なりの疑問を探してみましょう。
- キャッシュレス決済でトラブルが起きた場合、利用者はどのように守られるのか疑問を持った
- 海外企業との取引では、どの国の法律が使われるのか気になった
- フィンテックの発展と金融サービスの安全性をどう両立するのか関心を持った
- 文化や考え方が異なる相手と、どのように合意をつくるのか考えてみたいと思った
こうした問いについて調べるときは、利用者、企業、金融機関、行政など、複数の立場から考えてみることが大切です。
便利さだけを見るのではなく、その裏側にあるリスクや制度にも目を向けることで、問題意識をより深めることができます。
志望理由では「金融に興味がある」から一歩深める
提出書類や面接で問われる志望理由を考える際には、「金融に興味があります」「フィンテックを学びたいです」という説明だけで終わらないようにしましょう。
大切なのは、どのような経験や出来事から、具体的な疑問を持ったのかを整理することです。
たとえば、日頃キャッシュレス決済を使う中で、「もし不正利用されたら誰が補償するのだろう」と疑問を持ったとします。
そこから調べる中で、金融サービスには利用者を守るための法律や制度があることを知り、さらに海外企業が提供するサービスの場合には複数の国のルールが関係する可能性があることに興味を持ったのであれば、国際取引法や金融法への問題意識につながります。
自分が使ったサービスやニュースで知った出来事から、「なぜこのルールが必要なのか」という問いまで掘り下げることがポイントです。
日頃の決済サービスを法律の視点から見てみよう
国際取引法や金融法への興味を深めるために、普段利用しているサービスを少し違った視点から見てみることもおすすめです。
スマートフォンで支払いをしたときに、「このお金はどのような仕組みで相手に届いているのだろう」と考えてみる。海外の通販サイトを利用したときには、「トラブルが起きたらどこのルールが関係するのだろう」と考えてみる。
また、新しい金融サービスについてニュースを見たときには、「便利になるのは誰か」「どのようなリスクがあるのか」「どこまで法律で規制するべきなのか」と問いを広げてみましょう。
毎日の生活の中にある小さな疑問が、国際取引法や金融法という学問への入り口になります。
まとめ
森下哲朗教授が研究されている国際取引法、金融法、フィンテック、交渉学は、グローバル化と技術革新が進む現代社会を理解するうえで重要なテーマです。
国際取引では、異なる法律や商習慣を持つ相手と、どのように安全な契約を結び、トラブルを解決するのかを考える必要があります。
また、フィンテックによって金融サービスが便利になる一方で、不正利用や利用者保護、国境を越えたサービスへのルールなど、新しい法律問題も生まれています。
さらに、異なる立場を持つ相手と合意をつくるためには、法律の知識だけではなく、相手の考えを理解して交渉する力も重要です。
上智大学法学部国際関係法学科を志望している人は、普段利用している決済サービスや海外との取引に関するニュースを見たときに、「この仕組みを支えているルールは何だろう」と考えてみてください。
その疑問を少しずつ深めることが、国際取引法や金融法への理解を広げ、自分が大学で学びたいテーマを見つけるきっかけになります。
提出書類や面接に向けて、自分の経験と国際関係法への関心をどのように結びつければよいのか、一人で整理することが難しい場合は、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。今後、教員情報、授業内容、入試制度等が変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


