
上智大学神学部神学科 廣石望教授とは?「新約聖書学」とメタファーから言葉の意味を考える
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学神学部神学科の廣石望教授と、新約聖書学・メタファーから考える言葉と人間」です。
上智大学神学部神学科に興味を持っている高校生の中には、「聖書を大学で学ぶとは、具体的に何をするのだろう?」と疑問に思っている人もいるでしょう。聖書の内容や登場人物を覚えることが中心だと思っている人もいるかもしれません。
そんな人に知ってほしいのが、廣石望教授です。上智大学の公式情報では、現在、神学部神学科の教授として紹介され、研究分野は新約聖書学です。大学院の教員紹介では、新約聖書学に加えて初期キリスト教史も研究分野として示されています。
廣石望教授はどのような研究をしている?
廣石教授の専門は「新約聖書学」です。新約聖書には、イエスの言葉や行動、初期のキリスト教共同体、パウロの書簡などが収められています。
大学で新約聖書を研究するときは、書かれている文章をそのまま読むだけではありません。その言葉がどのような時代に書かれたのか、当時の社会や文化にはどのような背景があったのか、文章の表現にはどのような工夫があるのか、といったことまで丁寧に考えていきます。
廣石教授は、広島大学文学部で学んだ後、東京大学大学院で西洋古典学を専攻し、スイスのチューリヒ大学で博士(神学)の学位を取得しています。こうした背景からも、聖書を神学だけではなく、歴史や古代の言語・文化などを含めて読み解いていく学問の広がりが見えてきます。
聖書の「メタファー」に注目すると何が見える?
廣石教授の研究の中には、聖書に登場する「隠喩」、つまりメタファーに注目したものがあります。
メタファーとは、あるものを別のものにたとえて表現する方法です。普段の会話でも「希望の光」「心の壁」といった表現を使いますが、本当に光が差したり、心の中に壁が建っていたりするわけではありません。それでも、その表現によって言葉だけでは説明しにくい感覚を伝えることができます。
廣石教授は「種」という隠喩と復活について研究し、パウロやヨハネなどの文献の中で「種」というイメージが復活を語るためにどのように用いられているのかを考察しています。古代の宗教文化とも比較しながら読み解いている点が特徴です。
ここから分かるのは、聖書の言葉を「書いてあるから覚える」のではなく、「なぜこの表現が選ばれたのだろう?」と問いながら読むことの面白さです。
高校の国語の授業ともつながる新約聖書学
メタファーを読み解くというと、高校の現代文や古典の授業を思い出す人もいるでしょう。
小説や詩を読むときにも、「この表現にはどのような意味が込められているのだろう」と考えます。同じように、聖書についても、言葉の選び方、物語の構成、たとえ話などに注目することで、その文章が伝えようとしていることをより深く考えることができます。
ただし大学では、文章だけを見るのではありません。当時の歴史や社会、宗教、文化、他の文献なども調べながら考えます。
「自分はこう感じた」で終わるのではなく、「なぜそう読めるのか」「別の解釈はできないのか」と根拠を探しながら考えていく。ここに、高校までの読解とは少し違う大学での学びがあります。
聖書研究は現代社会とどうつながる?
「約2000年前の文章を研究することが、今を生きる自分とどう関係するの?」と感じる人もいるかもしれません。
廣石教授には「聖書の学び――教会と大学の間で」という論考があり、大学における聖書研究と、現代における実践との関係についても問題意識を持って研究していることが確認できます。
例えば、聖書に登場する隣人、赦し、愛、希望といった言葉を、現代社会の中でどう受け止めればよいのでしょうか。
学校で価値観の違う友人と衝突したとき、ニュースで戦争や差別について知ったとき、誰かを助けたいのに何をすればよいか分からなかったとき、古い言葉が現代の問題を考えるきっかけになることがあります。
昔の文章だから答えが古いのではなく、「現代の私たちはこの言葉をどう読むのか」と問い直すところに、聖書研究と今を生きる私たちとの接点があります。
推薦入試では教授の研究をどう捉える?
推薦入試に向けて廣石教授について調べるとき、「廣石教授の新約聖書学を学びたい」と書くだけで終わらせるのはもったいありません。
大切なのは、自分がなぜ聖書の言葉や解釈に興味を持ったのかを考えることです。
例えば、国語の授業で一つの文章について友人と解釈が分かれ、「同じ言葉なのに、なぜ読み方が違うのだろう」と感じた経験があるかもしれません。ボランティア活動で「寄り添う」という言葉を使いながら、「本当に相手に寄り添うとは何だろう」と疑問を感じた人もいるでしょう。
そこから、「言葉は人間の経験や価値観をどこまで伝えられるのか」「聖書のたとえ話は、なぜ長い時代を越えて読み継がれているのか」と問いを広げていくことができます。
教授の研究内容は、自分を立派に見せるための材料ではありません。自分の中にある小さな疑問を、大学で学べる問いへと深める手がかりとして活用してみてください。
一つの言葉を多面的に考えてみよう
新約聖書学に向いているのは、聖書についてすでに何でも知っている人だけではありません。
「なぜこの言葉が使われているのだろう」「当時の人にはどう聞こえたのだろう」「現代の自分が読むと、なぜ違う意味に感じるのだろう」と、一つの言葉について立ち止まって考えられる人にも面白い学問です。
また、自分の読み方だけを正解にしない姿勢も大切です。歴史的な背景を知れば読み方が変わることもありますし、異なる文化や宗教を持つ人なら別の受け止め方をするかもしれません。
問いを持ち、複数の可能性を考え、他者の解釈にも耳を傾けることは、大学での研究だけでなく、推薦入試に向けて自分の考えを深めていくうえでも役立ちます。
上智大学神学部神学科を目指すあなたへ
廣石望教授の研究を見ていくと、新約聖書学が単なる聖書の知識の暗記ではないことが分かります。
言葉の意味を考え、その背後にある歴史や文化を調べ、別の解釈の可能性にも目を向けながら、人間の信仰や経験について考えていく。そこには、読むことそのものを深めていく学問の面白さがあります。
推薦入試だからといって、最初から神学について完璧な答えを持っている必要はありません。むしろ、「なぜこの言葉が気になるのだろう?」という小さな問いから始めてみてください。
聖書を一節読んでみる、廣石教授の研究テーマを公式の教員データベースで調べてみる、同じ文章について違う解釈がないか探してみる。そうした行動を重ねるうちに、自分が上智大学神学部神学科で何を考えてみたいのかが少しずつ見えてくるかもしれません。
推薦入試は、完璧な人だけを選ぶ試験として考える必要はありません。問いを持ち、学びながら考えを深め、異なる見方にも向き合っていく姿勢を大切にしてください。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイトおよび上智学院教員教育研究情報データベース(REDB)等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。廣石望教授の所属・職位・研究分野・研究内容、神学部神学科のカリキュラム、推薦入試の制度、出願条件、提出書類、学科試問などは今後変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学の公式サイト、神学部神学科の公式ページ、REDBおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


