上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|渡邉摩理子准教授の混相流・流体工学研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 機能創造理工学科の渡邉摩理子准教授と、混相流・流体工学の研究」です。

空気や水などの「流れ」は、私たちの身近なところに数多く存在します。しかし、実際の流れは一種類の物質だけとは限りません。空気の中を小さな液滴や粒子が飛ぶなど、複数の物質が入り交じりながら動く現象もあります。こうした複雑な流れを研究しているのが、渡邉摩理子准教授です。


渡邉摩理子准教授はどんな研究者?

渡邉摩理子准教授は、上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属しています。上智大学公式サイトでは、主な研究テーマとして「混相流、特に噴霧や固体粒子を含む流動の解析」が掲げられています。

研究分野は流体工学・燃焼工学で、研究キーワードは「混相流」「燃焼流」「空気圧機器」です。大阪大学で博士(工学)の学位を取得しています。

研究では、装置内部を流れるガスや、ガスとともに移動する粒子について、画像計測、光学計測、数値シミュレーションなどを使って解析しています。流れによって生じる圧力損失や騒音などの原因を調べ、装置の消費エネルギー低減や環境性能の向上につなげることを目指しています。


「混相流」とはどんな流れ?

混相流とは、異なる状態の物質が混ざり合って流れる現象です。たとえば空気の中に液体の細かな粒が飛んでいる「噴霧」や、気体の中を固体粒子が移動する現象などが挙げられます。

高校の物理では、速度や力、圧力、エネルギーなどを学びます。大学の流体工学では、そうした知識を基礎として、空気や液体がどのように動くのかを数式や実験によって考えていきます。

さらに実際の装置や自然現象では、流れが複雑に変化したり、粒子が加わったり、燃焼が起こったりします。そのため、「流れているものがどのように動いているのか」を正確に知ること自体が、大切な研究テーマになります。


呼吸器の中の流れをシミュレーションする

渡邉准教授の研究テーマの一つとして、上智大学公式サイトでは「呼吸器内の流動シミュレーション」が紹介されています。

私たちは普段、特に意識せずに呼吸しています。しかし、空気が口や鼻から入り、複雑に枝分かれした呼吸器の中をどのように進むのかを詳しく考えると、そこには流体工学の問題があります。

数値シミュレーションでは、実際には目で追うことが難しい流れをコンピュータ上で再現し、速度や圧力などの変化を調べることができます。

高校で「流体」という言葉に触れる機会はそれほど多くないかもしれませんが、力学や数学で学ぶ考え方が、人体の中で起きている現象の解析にもつながっていくのです。


火災旋風を流体工学から研究する

もう一つの研究テーマが「火災旋風の振動現象に関する研究」です。

火災旋風は、火災に伴って発生する強い上昇気流などによって、炎を伴う渦が形成される現象です。渡邉准教授は、この火災旋風の振動現象に着目した、防災に役立つ研究を進めています。

ここでも重要になるのが、「空気や炎がどのように流れるのか」という視点です。身近な空気の流れから大規模な火災現象まで、同じ流体工学という学問を使って考えられることは、この研究分野の興味深いところでしょう。


エンジンの後処理フィルターを研究

渡邉准教授は「ガソリンエンジン後処理フィルターの開発」にも取り組んでいます。

上智大学の研究活動報告では、コンパクトでエネルギー損失が小さく、有害物質の処理性能が高い後処理フィルターを目指し、粒子を利用したフィルターの研究を進めていることが紹介されています。

フィルターというと、単純に「汚れを捕まえるもの」と考えるかもしれません。しかし、実際にはガスがフィルターを通過するときの流れや圧力の変化、粒子の配置など、さまざまな条件を考える必要があります。

流れを理解することが、装置の性能やエネルギー損失を考えることにつながる好例です。


空気の力で物体を持つ「非接触把持」

さらに、渡邉准教授は「空気流による非接触把持機器の開発」にも取り組んでいます。

把持とは、機械などが対象物をつかむことです。一般的なロボットハンドは対象物に直接触れてつかみますが、空気流を利用すれば、対象物との接触を抑えながら保持する仕組みを考えることができます。

ここでも、空気の流れによってどのような圧力や力が生じるのかを理解することが重要です。

呼吸器、火災旋風、エンジン、空気圧機器。一見するとまったく違う研究に見えますが、「流れを理解する」という共通した視点でつながっています。


「見えない流れ」をどう調べる?

渡邉准教授の研究の面白さの一つが、目では捉えにくい流れをさまざまな方法で分析していることです。

画像計測や光学計測を利用すれば、流れや粒子の動きを観察し、データとして捉えることができます。一方、数値シミュレーションでは、物理法則を数式として表し、コンピュータを使って流れを再現します。

実験で得られた結果とシミュレーションを照らし合わせることで、「なぜこのような流れになったのか」を考えていきます。

高校の実験でも、予想した結果と実際の結果が違うことがあります。そのときに失敗と考えて終わるのではなく、「なぜ違ったのだろう」と原因を考える姿勢は、大学での研究にもつながっています。


機能創造理工学科で流体工学を学ぶ

上智大学 理工学部 機能創造理工学科では、機械工学、電気・電子工学、物理学を融合的に学びます。機械工学分野には流体や熱、エネルギーなどに関する学びがあり、渡邉准教授も流体工学に関係する科目を担当しています。

流体工学という一つの専門分野から、エンジン、防災、人体、空気圧機器など異なる対象を研究できることは、機能創造理工学科の研究の幅を知る手がかりにもなります。

「機械が好きだから」だけではなく、「目に見えない空気はどう動いているのだろう」「流れを制御すると装置の性能はどう変わるのだろう」と問いを持つことから、機械工学への興味が始まることもあります。


推薦入試に向けて研究テーマから考えてみよう

推薦入試を考える際は、「流体力学に興味があります」と言うだけでなく、なぜ興味を持ったのかを掘り下げてみましょう。

たとえば、ニュースで大規模火災を見て火災旋風に疑問を持った、エンジンの環境性能を調べる中で排気処理に興味を持った、物理の授業から空気の流れと圧力の関係をもっと知りたくなった、といった身近な入口からでも構いません。

大切なのは経験の大きさではなく、そこから何を疑問に思い、何を調べ、大学でさらに何を知りたいと思ったのかを整理することです。高校生の段階で専門的な研究テーマまで決めておく必要はありません。

渡邉准教授の研究を調べると、「流れ」という一つの物理現象が、さまざまな機械や自然現象につながっていることが見えてきます。身近な現象を当たり前と思わず、「なぜこうなるのだろう」と考えるところから、自分と上智大学 理工学部 機能創造理工学科との接点を探してみてください。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。