
上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|三澤智世准教授の金属錯体化学と物質変換研究
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の三澤智世准教授と、金属錯体を利用した物質変換の研究」です。
高校の化学で学ぶ鉄やコバルトなどの金属元素が、生体内の反応や新しいエネルギー技術につながっていることを知っていますか。今回は、複数の金属を一つの分子内に配置した「多核錯体」を研究している三澤智世准教授について、高校化学とのつながりや推薦入試に向けて考えておきたいポイントも含めて紹介します。
三澤智世准教授はどのような研究者?

三澤智世准教授は、上智大学 理工学部 物質生命理工学科に所属し、金属錯体化学を専門としています。上智大学の公式情報では、主な研究テーマとして「小分子・イオン変換反応に向けた金属多核錯体の創出」が掲げられています。
研究キーワードは、生物無機化学、物質変換反応、金属錯体化学です。上智大学で博士(理学)を取得し、2014年から2015年には産業技術総合研究所で固体熱物性計測標準に関する研究に携わりました。その後、2018年から上智大学 理工学部 物質生命理工学科の助教を務め、2023年から准教授として研究・教育に取り組んでいます。
現在は、ルテニウム、鉄、コバルトなどを使って金属錯体を設計し、その構造や性質、反応性を調べています。
そもそも「金属錯体」とは?
「錯体」という言葉は、高校生には少し難しく感じるかもしれません。簡単にいうと、金属イオンの周囲に「配位子」と呼ばれる分子やイオンが結びついてできる物質です。
実は、金属錯体は私たちの身近なところにも存在しています。代表的な例が、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンです。ヘモグロビンには鉄を含む構造があり、金属が生命活動の中で重要な働きをしています。
三澤准教授が特に注目しているのが、一つの分子の中に二つ以上の金属を持つ「多核錯体」です。複数の金属を適切に配置することで、一つの金属だけでは実現しにくい性質や反応性を生み出せる可能性があります。
つまり、「どの金属を使うのか」だけでなく、「金属をどのような位置関係で配置するのか」「周囲にどのような分子を結合させるのか」まで考えて、新しい分子を設計していく研究なのです。
自然界の金属酵素からヒントを得る
三澤准教授の研究を理解するうえで重要なのが「金属酵素」です。自然界や生体内には、金属を反応の中心として利用する酵素があります。こうした金属酵素の中には、常温・常圧という比較的穏やかな環境で効率よく化学反応を進めるものがあります。
一方、その高い反応性を人工的な分子で再現することは簡単ではありません。反応しやすくすれば分子自体が不安定になる場合もあり、「安定して存在できること」と「必要なときにはしっかり反応すること」を両立させる必要があります。
三澤研究室では、天然に見られる多核構造も意識しながら、ルテニウム、鉄、コバルトなどを使った錯体を設計・合成し、その構造や性質、反応性を調べています。
生命の仕組みをそのままコピーするのではなく、自然界の優れた仕組みからヒントを得て、人工的な化学反応へつなげようとしているところが、この研究の面白さの一つです。
「化学結合を切る・つくる」を研究する

三澤研究室では、「物質変換」、つまり分子やイオンの化学結合を切ったり、新しくつくったりする反応を金属錯体上で実現することを目指しています。
高校の化学でも、化学反応式や酸化還元反応、化学結合などを学びます。高校では「どの物質から何が生成するのか」を考えることが中心ですが、大学ではさらに、「なぜこの反応が起こるのか」「どのような金属錯体なら反応を進められるのか」「分子の構造を変えると反応性はどう変わるのか」といった問いへ踏み込んでいきます。
上智大学の公式情報では、三澤准教授は物質の酸化反応を目的とした多核構造の遷移金属錯体の創製や、X線回折、電気化学などによる錯体の評価・反応解析にも取り組んでいます。
「新しい物質をつくる」だけではなく、つくった物質がどのような構造を持ち、なぜその反応を起こすのかまで調べることが研究になります。
人工光合成やエネルギー変換とのつながり
三澤准教授の金属錯体研究は、人工光合成やエネルギー変換に関係する基礎研究にもつながっています。
人工光合成とは、植物が光を利用して物質を変換する仕組みに学びながら、光エネルギーを利用した化学反応を人工的なシステムで実現しようとする研究分野です。
上智大学が公開している三澤准教授の研究紹介では、水を酸化して酸素を発生させる反応などが取り上げられています。こうした反応を進めるためには、反応の途中で電子がどのように移動するのか、金属錯体がどのように働くのかを理解することが必要です。
研究成果が直ちに社会課題を解決するわけではありませんが、分子レベルで反応の仕組みを明らかにする基礎研究は、将来のエネルギー変換技術などを考えるための重要な土台になります。
高校化学の学びを大学の研究につなげてみよう
三澤准教授の研究に興味を持った人は、まず高校化学で学んでいる内容を改めて見直してみましょう。
たとえば酸化還元反応を学んだとき、「電子が移動する」と暗記するだけではなく、「なぜこの物質は電子を受け取りやすいのだろう」と考えてみることができます。金属イオンの色の違いや反応性から、「金属の種類が変わるとなぜ性質が変化するのだろう」と疑問を持つことも研究への入口です。
化学実験で予想とは違う色になった、反応が思ったより進まなかった、といった経験も大切です。結果が予想と違ったときに「失敗だった」で終わらせず、温度、濃度、物質の構造など、原因となりそうな条件を考えてみる。その姿勢は大学での実験や研究にもつながっていきます。
推薦入試に向けて研究内容をどう考える?

推薦入試を考えている人が教員研究を調べるときに大切なのは、難しい専門用語をたくさん覚えることではありません。
「三澤准教授は多核錯体を研究している」という情報から、なぜ自分がその研究に興味を持ったのかを考えてみましょう。
たとえば、「高校化学で錯イオンを学び、金属と周囲の物質との組み合わせによって性質が変化することに興味を持った」「生物の授業で酵素について学び、金属が生命活動の中でどのように働いているのか疑問を持った」といったところから始められます。
そこから自分で調べ、「自然界の金属酵素と人工的な金属錯体にはどのような違いがあるのか」「複数の金属を使うと、なぜ新しい反応性が生まれるのか」と問いを深めていけば、高校での経験と大学で学びたい内容とのつながりが見えてきます。
研究テーマを高校生の段階で完全に決める必要はありません。出願書類や面接で問われる志望理由を考える際にも、完成した研究計画をつくることより、自分が何に疑問を持ち、なぜ上智大学 理工学部 物質生命理工学科でさらに学びたいのかを丁寧に整理することが大切です。
「物質」と「生命」が交わるところに注目しよう
三澤智世准教授の研究には、金属、化学結合、酸化還元反応といった「物質」の世界と、金属酵素という「生命」の世界が交わる面白さがあります。
上智大学 理工学部 物質生命理工学科を調べるときも、「化学が好きだから」「生物が好きだから」だけで終わらせず、その二つがどこでつながるのかを探してみてください。
普段の授業や実験で感じた小さな疑問から、大学で研究されているテーマにつながることがあります。自分の身近な疑問をもう少し調べ、上智大学ではどのような研究が行われているのかを知るところから始めてみましょう。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


