
上智大学 理工学部 情報理工学科 教員紹介|五味靖准教授の群論・表現論研究とは
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 情報理工学科の五味靖准教授と、群論・表現論の研究」です。
正三角形を回転させると、元と同じ形に重なります。正方形を鏡に映したように反転させても、やはり同じ形として見ることができます。このような「対称性」は、実は数学の重要な研究対象です。
五味靖准教授は、対称性を扱う「群論」と、その構造をより分かりやすい形で捉える「表現論」を中心に研究しています。
五味靖准教授はどんな研究者?

五味靖准教授は、上智大学 理工学部 情報理工学科に所属し、代数学を専門としています。主な研究テーマは、代数群・Hecke環の表現論です。
上智大学大学院理工学研究科数学専攻で学び、修士(理学)の学位を取得しています。1995年から2008年までは上智大学 理工学部 数学科で鏡映群や岩堀Hecke環の表現論を研究し、1998年9月から1999年8月にはフランスのピカルディ・ジュール・ヴェルヌ大学で組みひも群などの研究に取り組みました。
2008年からは情報理工学科に所属し、現在も鏡映群や岩堀Hecke環の表現論を研究しています。
研究キーワードには、ストリングC群、ガウス和、マルコフトレース、鏡映群、岩堀Hecke環などが挙げられています。
「群論」は対称性を数学で考える
五味准教授の研究を理解する入口となるのが「群論」です。
群論は、さまざまな操作や対称性に共通する数学的な構造を研究する分野です。
たとえば正方形を90度回転させても、正方形という形自体は変わりません。180度、270度と回転させても同じです。裏返すような操作を考えることもできます。
このような「形を変えない操作」を一つひとつ調べ、その組み合わせにどのような規則があるのかを数学的に捉えることができます。
五味准教授自身も研究紹介の中で、群論を「対称性を扱う数学の理論」と説明しています。
図形だけではなく、さまざまな数学的対象の中に対称性を見つけることで、それまで別々に見えていた問題を共通する数学の言葉で考えられるようになります。
「表現論」で抽象的な群を捉える
群は非常に抽象的な数学的対象です。そこで、その構造を行列などの扱いやすい数学的対象によって表現し、性質を調べるのが「表現論」です。
五味准教授の研究紹介では、群を数値などの分かりやすいものとして表現するのが表現論だと説明されています。
抽象的な対象をそのまま眺めるのではなく、計算できる形へ置き換えることで、その中にある規則や特徴を調べやすくするわけです。
五味准教授は有限群の表現論や、それに付随する代数的組合せ論を研究しており、特に「対称群」と呼ばれる群とその周辺を研究しています。
「鏡映群」とはどんな群?
五味准教授の研究キーワードの一つが「鏡映群」です。
鏡映とは、鏡に映すように図形を反転させる操作です。このような鏡映によって生まれる対称性を数学的に扱う群が鏡映群です。
身近な図形を考えても、線対称や回転対称などさまざまな対称性があります。大学数学では、こうした対称性をより抽象化し、どのような代数的構造が存在するのかを研究します。
五味准教授は長年にわたり、鏡映群と、それに関係する岩堀Hecke環の表現論を研究してきました。
岩堀Hecke環とは?

もう一つの中心的な研究対象が「岩堀Hecke環」です。
高校生の段階で、その厳密な定義を理解する必要はありません。大切なのは、群そのものだけでなく、群と密接に関係する別の代数的構造を調べることで、対称性をさらに深く理解できるということです。
五味准教授は、岩堀Hecke環や鏡映群の表現論について研究し、ガウス和やマルコフトレースといった数学的な概念との関係も探究してきました。
実際に、有限群上のガウス和を岩堀Hecke環へ拡張する研究や、岩堀Hecke環におけるマルコフトレースに関する研究成果を発表しています。
一つの数学的概念を別の構造へ拡張したとき、どこまで同じ性質が成り立つのか。そこにはどのような新しい現象が現れるのか。こうした問いも純粋数学の重要な研究テーマです。
ストリングC群と「抽象的な多面体」
五味准教授の研究では、「ストリングC群」という研究テーマも登場します。
ストリングC群は、抽象的な多面体の対称性と関係する群です。
私たちが普段イメージする多面体は、立方体や正四面体のような立体でしょう。しかし数学では、頂点や辺、面などがどのような関係を持っているのかという構造に注目し、より抽象的に多面体を考えることができます。
五味准教授は共同研究によって、特定の大きさを持つストリングC群の分類などにも取り組んできました。
「対称性を調べる」という一つの考え方から、図形、群、組合せ論などがつながっていくところに、この研究分野の面白さがあります。
数を「数える」ことも高度な数学になる
五味准教授の研究紹介には「代数的組合せ論」という言葉も登場します。
組合せ論というと、高校数学の「場合の数」を思い浮かべる人もいるでしょう。「何通りあるのか」を数えることは、大学数学でも重要なテーマです。
ただし、大学では単純に場合の数を計算するだけではありません。ある数学的構造の中にどのような組み合わせが存在するのか、その数にどのような規則があるのかを調べます。
表現論を研究していると、数学的対象の個数を数える問題が自然に現れることがあります。代数学と組合せ論は、別々の分野に見えて実は深く関係しているのです。
なぜ情報理工学科で群論を研究するの?
上智大学 理工学部 情報理工学科では、「人間情報」「情報通信」「社会情報」「数理情報」という4つのキーテーマを設けています。
五味准教授の研究は、その中でも数理情報の領域に位置づけられる研究です。
情報科学というとコンピュータを使った研究を想像しがちですが、アルゴリズムや暗号、データ処理をはじめ、多くの情報科学分野の背景には数学があります。
一方で、「群論が使われることがある」ことと、「五味准教授が暗号や情報セキュリティを直接研究している」ことは同じではありません。五味准教授の中心的な研究対象は、鏡映群、岩堀Hecke環、表現論などの純粋数学です。
情報理工学科には、情報技術の応用だけでなく、その背景に広がる数学的構造そのものを研究する道もあるのです。
高校数学からどうつながる?
五味准教授の研究分野は高度ですが、考え方の入口は高校数学にもあります。
たとえば、図形の対称性、場合の数、順列などです。
「4人を一列に並べると何通りになるか」という問題で登場する順列も、大学数学では「対称群」という代数的な構造として研究することができます。
高校では答えを求めて終わる問題でも、大学では「そもそも、並べ替える操作にはどのような構造があるのか」「異なる対象に同じ構造が現れるのはなぜか」と問いを深めていきます。
計算問題を解くことから、数学の構造そのものを考えることへ。そこが高校数学から大学数学へ進むときの大きな変化の一つです。
推薦入試では「数学が好き」を具体的にしてみよう
推薦入試で情報理工学科を考えていて数学が好きな人は、「数学が得意だから」という理由だけで終わらせず、自分が数学の何に面白さを感じるのかを考えてみましょう。
たとえば、「図形の対称性を見るのが好き」「場合の数を数えるとき、もっと簡単な規則がないか考えるのが好き」「公式を覚えるより、なぜその公式になるのかを知りたい」といった関心があります。
そこから、「対称性を数学ではどのように表すのだろう」「図形の対称性と順列に共通するものはあるのだろう」「抽象的な代数を使うと何が分かるのだろう」と問いを広げることができます。
高校生の段階で岩堀Hecke環や表現論を理解している必要はありません。自分が面白いと思った数学の現象について調べ、そこから新しい疑問を見つけていくことが大切です。
「対称性」から広がる純粋数学の世界

五味靖准教授の研究を見ると、正方形の回転や順列といった比較的身近な数学の先に、群論、表現論、鏡映群、岩堀Hecke環といった奥深い数学の世界が広がっていることが分かります。
一見異なる数学的対象の中から共通する「対称性」を見つけ、それを抽象化して研究する。これは数学ならではの考え方です。
上智大学 理工学部 情報理工学科を調べる際には、AIやプログラミングだけではなく、情報科学を支える数理分野の幅広さにも注目してみてください。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


