
上智大学 理工学部 情報理工学科 教員紹介|木村晃敏助教の数理統計学・高頻度データ解析研究とは
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 情報理工学科の木村晃敏助教と、数理統計学・高頻度データ解析の研究」です。
株式などの金融市場では、非常に短い時間の中で多くの注文が出され、価格も変化しています。こうした複雑な動きを、数学と統計を使って説明することはできるのでしょうか。
「いつ、どのような出来事が発生したのか」という大量のデータを数理的に捉え、金融市場の価格変動メカニズムの解明に取り組んでいるのが木村晃敏助教です。
木村晃敏助教はどんな研究者?

木村晃敏助教は、上智大学 理工学部 情報理工学科に所属し、数理統計学、高頻度データ解析を研究しています。
東京大学理学部数学科を卒業後、東京大学大学院数理科学研究科で修士課程・博士課程を修了し、博士(数理科学)の学位を取得しています。東京大学や早稲田大学での研究・教育活動を経て、2023年から上智大学 理工学部 情報理工学科の助教を務めています。
研究キーワードは、時系列解析、確率過程、数理統計学です。特に近年は、注文によって価格が形成される金融市場を対象として、価格変動の仕組みを統計的に明らかにする研究に取り組んでいます。
時間とともに変わるデータをどう分析する?
木村助教の研究を理解するために、まず「時系列」という考え方を知っておきましょう。
たとえば、毎日の気温、商品の売上、アクセス数、株価など、時間の経過とともに記録されるデータを時系列データと呼びます。
こうしたデータでは、一つひとつの数字を見るだけでなく、「どのように変化してきたのか」を考えることが重要です。
金融市場では、さらに細かな時間単位で注文や取引のデータが記録されます。このような高頻度データを分析するためには、時間とともに変化する現象を数学的に表現し、そこから規則や関係を読み取る方法が必要になります。
「注文」から株価の動きを考える
株価は、何の理由もなく数字だけが上下しているわけではありません。市場には、「この価格なら買いたい」「この価格なら売りたい」という多くの注文が出されています。
こうした売買注文のうち、まだ取引が成立していない注文の状況を表すものが「リミットオーダーブック」です。
木村助教は、このリミットオーダーブックに到着するさまざまな注文を数学的にモデル化し、価格変動との関係を調べています。
「価格がどう動いたか」という結果だけを見るのではなく、その前にどのような注文が、どのタイミングで発生していたのかまで分析することで、市場価格が形成される仕組みに迫ろうとしているのです。
「点過程」で出来事が起きるタイミングを表す

木村助教の研究で重要なのが「点過程」という数学的な考え方です。
点過程は、ある出来事が「いつ起こったのか」を数学的に表現するために使われます。
たとえば、「午前9時00分01秒に注文が入った」「その直後にも別の注文が入った」といったように、不規則なタイミングで次々に起こる出来事を考えます。
金融市場では、ある注文が発生した後に別の注文が発生しやすくなるなど、出来事同士が関係している可能性もあります。木村助教の近年の研究では、Hawkes過程と呼ばれる点過程のモデルを拡張し、リミットオーダーブックの動きを表現する研究が進められています。
2026年度の研究発表でも、成行注文や指値注文を考慮したリミットオーダーブックのモデリングが扱われています。
数学のモデルをつくるだけでは終わらない
現実の金融市場を数式で表現したとしても、それだけで研究が完成するわけではありません。
モデルの中には、現実のデータから推定しなければならないさまざまな値があります。そこで重要になるのが「統計推測」です。
観測されたデータから、モデルを特徴づける値をどのように推定するのか。その推定結果はどの程度信頼できるのか。仮定したモデルはデータの特徴を適切に表しているのか。こうした問題を数学的に考えていきます。
木村助教の研究は、金融データを単にグラフにして傾向を見るのではなく、その背後にある確率的な仕組みをモデル化し、統計学によって検証するところまで踏み込んでいるのです。
なぜ情報理工学科で金融市場を研究するの?
「情報理工学科なのに、なぜ株式市場を研究するの?」と思った人もいるかもしれません。
上智大学 理工学部 情報理工学科では、「人間情報」「情報通信」「社会情報」「数理情報」という4つのキーテーマを掲げています。木村助教の数理統計学・高頻度データ解析は、その中でも数理情報と深く関係する研究です。
金融市場は研究対象の一つですが、研究の基盤にあるのは、複雑なデータを確率や統計によってどう理解するかという数理的な問いです。
大量のデータがあるだけでは、その現象を理解したことにはなりません。どのような数学的モデルで表現し、何をデータから推定するのかを考えることも、データサイエンスや情報科学を支える重要な研究です。
高校の確率・統計はどうつながる?
高校数学で学ぶ確率や統計は、木村助教の研究につながる入口の一つです。
高校では、データの平均や分散、確率分布、統計的な推測などを学びます。大学ではさらに、「時間とともに変化する確率的な現象」を扱う確率過程や、観測したデータから未知の性質を推定する数理統計学へと学びが発展していきます。
ここで重要なのは、計算方法を覚えることだけではありません。「このデータから本当にそう言えるのか」「偶然起きた変化と、意味のある変化をどう区別するのか」と考える姿勢も統計学の大切な部分です。
データが身近になった現代だからこそ、数字をそのまま受け入れず、その背後にある仕組みを考える数学の役割が見えてきます。
推薦入試では「投資に興味がある」で終わらせない

木村助教の研究をきっかけに金融市場へ興味を持った場合も、「株式投資に興味があります」だけで終わらず、そこからどのような疑問を持ったのかを考えてみましょう。
たとえば、「株価はなぜ短時間で細かく変化するのだろう」「大量の売買注文と価格にはどのような関係があるのだろう」「不規則に発生する出来事にも数学的な規則を見つけられるのだろうか」といった問いへ発展させることができます。
金融に限らず、アクセス数や人の移動など、時間とともに変化するデータを見て、「この変化を数学で説明できないだろうか」と考えてみることもよいでしょう。
高度な金融知識を高校生の段階で身につけている必要はありません。身近なデータから疑問を見つけ、数学や統計を使えばどのように分析できるのかを調べてみることが、数理情報への入口になります。
データの背後にある「仕組み」を数学で考える
木村晃敏助教の研究を見ると、データサイエンスは大量のデータをコンピュータで処理するだけの分野ではないことが分かります。
現実の現象を数学的なモデルとして表現し、観測されたデータからその性質を推定する。そのためには、確率論や統計学という数学の基礎が欠かせません。
上智大学 理工学部 情報理工学科を調べる際には、AIやプログラミングだけでなく、「データから現象の仕組みをどう読み解くのか」という数理統計学の世界にも目を向けてみてください。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
KOSSUN教育ラボでは、上智大学の推薦入試対策に特化した
上智大学合格プロジェクト
を完全定員制(先着10名限定)にて設け、専門性の高い個別サポートを行っています。
限られた時間の中でも本気で上智大学合格を掴み取りたい方は、今すぐ 無料個別相談会 にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


