
上智大学 外国語学部 英語学科|歴史はどう記憶されるのか?坂下史子教授とたどるアフリカ系アメリカ人の歴史
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。今回のテーマは、上智大学外国語学部英語学科の坂下史子教授についてご紹介します。
皆さんは、歴史の教科書で学んだ出来事が、現在の社会にどのような影響を与えているのか考えたことはありますか。
例えば、アメリカの公民権運動や人種差別の歴史について、世界史や英語の授業で学んだことがある人もいるでしょう。
しかし、歴史を学ぶうえで重要なのは、過去に何が起きたのかを知ることだけではありません。
その出来事が、誰によって、どのように語られ、現在まで記憶されてきたのかを考えることも大切です。
坂下史子教授は、アメリカ研究を専門とし、特にアフリカ系アメリカ人の歴史と文化、人種暴力の歴史と記憶について研究しています。
今回は、坂下教授の研究内容や担当授業、ゼミの特色を通して、歴史と現在の社会を結びつけて考える面白さをご紹介します。
坂下史子教授のプロフィール
坂下史子教授は、上智大学外国語学部英語学科に所属し、アメリカ研究、アフリカ系アメリカ人の歴史と文化などを専門とする研究者です。
特に、人種と表象、人種暴力の歴史と記憶に関する研究に取り組んでいます。
アメリカ研究とは、アメリカ合衆国の歴史や政治、社会、文化などを幅広い視点から考える学問です。
例えば、アメリカの文学や映画、音楽を研究する場合でも、作品が生まれた時代の社会状況や歴史的な背景を理解することが重要になります。
坂下教授の研究では、アフリカ系アメリカ人が経験してきた差別や暴力、その中で生まれた抵抗の歴史に目を向けています。
さらに、そうした歴史が現在の社会でどのように語られ、記憶されているのかという問題も重要な研究対象です。
英語学科では、英語を使う力を高めるだけでなく、英語圏の社会や文化について歴史的な視点から深く学ぶことができます。

研究テーマ① アフリカ系アメリカ人の歴史をたどる
坂下教授の研究を理解するうえで重要なのが、アフリカ系アメリカ人の歴史です。
アメリカ合衆国の歴史には、奴隷制度や人種隔離政策、公民権運動など、人種をめぐるさまざまな出来事があります。
アフリカ系アメリカ人は、長い歴史の中で差別や不平等に直面してきました。
一方で、そうした状況に対して声を上げ、社会の変化を求めてきた人々の歴史もあります。
例えば、1950年代から1960年代にかけての公民権運動では、人種差別の撤廃や平等な権利の実現を求める活動が広がりました。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の演説や活動について、学校で学んだことがある人も多いでしょう。
しかし、公民権運動は一人の指導者だけによって進められたものではありません。
地域社会で活動した人々や、日常生活の中で差別に抵抗した人々など、多くの人の行動が社会の変化につながりました。
歴史を研究する際には、有名な人物や大きな事件だけでなく、当時の人々がどのような経験をし、どのように行動したのかを調べることも重要です。
坂下教授の研究は、こうした歴史をさまざまな視点から捉えることにつながっています。
研究テーマ② 人種暴力の歴史と抵抗を考える
坂下教授の研究の中心的なテーマの一つが、アメリカにおける人種暴力の歴史です。
提供された教員紹介資料では、特に19世紀末から20世紀初頭にかけて深刻な問題となったリンチと呼ばれる人種暴力が研究対象として紹介されています。
リンチとは、法的な手続きを経ずに集団などが人に暴力を加える行為を指します。
アメリカの歴史では、特にアフリカ系アメリカ人を標的とした人種的な暴力として、深刻な問題となってきました。
こうした暴力は、個人の犯罪としてだけでなく、当時の社会に存在した人種差別や権力関係と結びつけて考える必要があります。
また、人種暴力の歴史を研究する際には、暴力を受けた人々の経験だけでなく、それに対して抵抗した人々の活動にも目を向けることが重要です。
例えば、アフリカ系アメリカ人のジャーナリストであり公民権活動家でもあったアイダ・B・ウェルズは、19世紀末にリンチの実態を調査し、その問題を社会に訴えました。
こうした活動を知ることで、差別や暴力の歴史の中にも、それに抗い、社会を変えようとした人々の姿があったことがわかります。
歴史研究は、過去の出来事を知るだけでなく、その時代を生きた人々の行動や選択を理解する学問でもあります。
研究テーマ③ 歴史はどのように記憶されるのか
坂下教授の研究の特徴として、歴史の記憶や追悼に関する問題への関心が挙げられます。
英語では、歴史的な出来事や人物を記念し、記憶することをCommemorationと表現します。
例えば、ある歴史的な出来事について記念碑が建てられたとしましょう。
その記念碑には、誰の名前が刻まれ、どのような説明が書かれているのでしょうか。
また、博物館では、その出来事がどのような資料や展示によって紹介されているのでしょうか。
こうした表現の仕方によって、訪れた人々が受け取る歴史の印象は変わることがあります。
例えば、ある出来事を国家の発展という視点から説明する場合と、その出来事によって苦しんだ人々の経験から説明する場合では、注目する内容が異なるかもしれません。
そのため、歴史を研究する際には、過去に何が起きたのかだけでなく、その出来事が現在までどのように伝えられてきたのかを考えることが重要です。
坂下教授の研究は、歴史の記憶が現在の社会とどのようにつながっているのかを考える手がかりになります。

研究テーマ④ 博物館や記念碑は何を伝えている?
歴史の記憶について考えるとき、博物館や記念碑は重要な研究対象になります。
例えば、アメリカのアラバマ州モンゴメリーには、リンチの犠牲者を追悼する国立平和正義記念碑があります。
このような施設は、過去の暴力を記録し、犠牲者を追悼するとともに、訪れた人々が歴史について考える機会を提供しています。
また、歴史博物館では、写真や文書、当時の人々の証言など、さまざまな資料が展示されます。
しかし、展示される資料や説明の方法は、施設によって異なります。
どのような出来事が取り上げられ、どのような出来事が十分に説明されていないのかを考えることも、歴史を理解するうえで重要です。
さらに、学校の教科書も、歴史が社会の中でどのように伝えられるのかを考える手がかりになります。
同じ出来事でも、国や地域、時代によって説明の仕方が異なる場合があります。
その違いを調べることで、歴史の語られ方と社会の価値観との関係について考えることができます。
歴史は過去に起きた出来事ですが、その歴史をどのように記憶するかという問題は、現在の社会にも関わっているのです。
担当授業|北米地域研究の入門から専門ゼミまで
坂下教授の教員紹介資料では、北米地域研究や英語運用力、アメリカ文化研究などに関する科目が紹介されています。
主な担当科目として、次のようなものが挙げられます。
- 北米地域研究入門
- English Composition
- English Skills
- Seminar(Studies on American Culture)
北米地域研究入門では、アメリカやカナダの歴史、社会、文化などを学ぶための基礎的な視点を身につけることができます。
また、English CompositionやEnglish Skillsでは、英語で文章を書いたり、自分の考えを伝えたりする力を高めます。
さらに、Studies on American Cultureを扱うゼミでは、アメリカ社会や文化について専門的に研究することができます。
英語を使う力を高めながら、英語圏の歴史や社会について深く学べる点が、英語学科の特徴の一つです。
なお、担当科目や開講状況は年度によって変更される場合があります。最新の履修情報を確認してください。
坂下ゼミの特色|マイノリティの視点からアメリカ社会を考える
坂下教授のゼミでは、アメリカ合衆国の歴史や社会、文化について、人種、ジェンダー、セクシュアリティなどの視点から研究します。
特に、社会の中で少数派とされる人々や、歴史的に不平等な立場に置かれてきた人々の経験に目を向けます。
例えば、アメリカ社会における人種差別の歴史を研究する場合、法律や政治制度だけでなく、文学や映画、音楽などの文化的な表現も研究対象となることがあります。
また、ジェンダーやセクシュアリティの視点から、社会の中でどのような価値観や規範が形成されてきたのかを考えることもできます。
ゼミでは、関連する文献を読みながら、学生がそれぞれの関心に基づいて研究テーマを設定します。
そのうえで、文化研究や歴史研究の方法を使い、卒業論文やゼミ論文の作成に向けて研究を進めていきます。
自分の関心を学問的な問いへと発展させ、資料や先行研究をもとに考える力を身につけられることが特徴です。
ゼミでは論文の書き方も基礎から学ぶ
坂下教授のゼミでは、研究テーマについて学ぶだけでなく、論文を書くための基本的な方法も重視されています。
提供されたゼミ紹介資料では、次のような内容が紹介されています。
- 研究に必要な資料や先行研究の探し方
- クリティカル・リーディング
- 文献リストの作成方法
- 引用の仕方
- 論文の構成や組み立て方
クリティカル・リーディングとは、文章に書かれている内容をそのまま受け取るのではなく、根拠や前提、異なる解釈の可能性を考えながら読むことです。
例えば、ある歴史的な出来事について書かれた文章を読む場合、その文章がどのような資料を根拠にしているのかを確認することが重要です。
また、誰の視点から書かれているのか、ほかの立場から見た場合にはどのような説明が可能なのかを考える必要があります。
こうした読み方は、歴史研究だけでなく、さまざまな分野の学習にも役立ちます。
大学での研究では、自分の意見を述べるだけでなく、その意見を支える根拠を示すことが求められます。
坂下ゼミでは、資料を調べ、読み解き、自分の考えを論理的にまとめるための力を段階的に身につけていきます。

高校の世界史や英語とのつながり
坂下教授の研究分野は、高校で学ぶ世界史や英語、公共などの内容とも深くつながっています。
例えば、世界史でアメリカの奴隷制度や南北戦争、公民権運動について学んだことがあるでしょう。
その知識をもとに、歴史的な出来事が現在のアメリカ社会でどのように記憶されているのかを調べることができます。
また、英語の授業でキング牧師の演説を読んだことがある人もいるかもしれません。
その場合、演説の内容だけでなく、どのような歴史的な背景の中で語られた言葉なのかを考えることで、理解を深められます。
さらに、アメリカの映画や音楽に関心がある人は、作品の中で人種や歴史がどのように表現されているのかを考えることもできます。
例えば、アフリカ系アメリカ人の音楽文化には、歴史的な経験や社会的な背景と結びついて発展してきたものがあります。
音楽や映画を楽しむことから、歴史や社会についての研究へと関心を広げることもできるのです。
推薦入試を目指す高校生へ|歴史への関心を具体的な問いにつなげよう
上智大学外国語学部英語学科の推薦入試を考えている皆さんは、アメリカの歴史や社会への関心を、大学で何を学びたいのかという問いと結びつけてみましょう。
例えば、アメリカの人種差別に関するニュースを見て、なぜ現在もこうした問題が議論されているのか疑問を持った経験があるかもしれません。
その場合、過去の人種差別の歴史と現在の社会との関係を調べることで、関心を深めることができます。
また、博物館や記念碑を訪れた経験がある人は、その場所で歴史がどのように説明されていたのかを振り返ってみるとよいでしょう。
さらに、映画や文学作品を通してアフリカ系アメリカ人の文化に触れた人は、作品が生まれた時代の社会的な背景を調べることもできます。
大切なのは、「アメリカに興味がある」「歴史が好き」という気持ちだけで終わらせず、具体的にどのような問題を研究したいのかを考えることです。
例えば、「人種差別の歴史は現在のアメリカ社会でどのように記憶されているのか」「博物館や記念碑は歴史をどのように伝えているのか」といった問いを持つことができます。
教員の研究内容を知ることは、英語学科で学べる分野を理解するための一つの方法です。ただし、特定の教員に関心を持つことが推薦入試で有利になるわけではなく、入学後に必ずその教員のゼミに所属できるとも限りません。
まとめ|歴史の記憶から現在のアメリカ社会を考える
坂下史子教授は、アメリカ研究を専門とし、アフリカ系アメリカ人の歴史と文化、特に人種暴力の歴史と記憶について研究しています。
歴史を学ぶことは、過去に起きた出来事を知るだけではありません。
その出来事がどのように語られ、記憶され、現在の社会とどのようにつながっているのかを考えることも重要です。
坂下教授のゼミでは、人種やジェンダー、セクシュアリティなどの視点からアメリカ社会を読み解き、資料の調べ方や論文の書き方についても学ぶことができます。
アメリカの歴史や文化に関心がある方、社会の中で歴史がどのように記憶されるのかを考えたい方は、坂下教授の研究をきっかけに、アメリカ研究という分野について調べてみてはいかがでしょうか。
KOSSUN教育ラボでは、上智大学の推薦入試を目指す高校生に向けて、出願書類の準備や面接対策などのサポートを行っています。受験準備についてお悩みの方は、お気軽に無料個別相談をご利用ください。
※本記事は、提供された記事案をもとに作成しています。教員の所属・職位・研究内容・担当科目・ゼミの活動内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


