
- 1. 坂本光代教授のプロフィール
- 2. 研究テーマ① 応用言語学とは?言語を学ぶ仕組みを考える
- 3. 研究テーマ② 「日本人は英語ができない」という言葉を問い直す
- 4. 研究テーマ③ ネイティブのように話すことが正解なのか
- 5. 研究テーマ④ バイリンガル教育と継承語教育
- 6. 研究テーマ⑤ 言語と権力はどのようにつながっている?
- 7. 担当授業|バイリンガル教育から言語と権力まで
- 8. 坂本ゼミの特色|「当たり前」を問い直す批判的応用言語学
- 9. 質的研究とは?人々の経験や語りから学ぶ
- 10. 高校英語とのつながり|英語学習の意味を考え直してみよう
- 11. 推薦入試を目指す高校生へ|英語学習への疑問を研究につなげよう
- 12. まとめ|言語を学ぶことの意味を社会から考える
上智大学 外国語学部 英語学科|「日本人は英語ができない」は本当?坂本光代教授の批判的応用言語学
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。今回のテーマは、上智大学外国語学部英語学科の坂本光代教授についてご紹介します。
皆さんは、「日本人は英語が苦手」「ネイティブのように話せなければ英語ができるとは言えない」といった言葉を聞いたことはありませんか。
英語を勉強していると、発音や文法の間違いが気になり、自分の英語に自信を持てなくなることがあるかもしれません。
しかし、そもそも「英語ができる」とは、どのような状態を指すのでしょうか。
発音が母語話者に近いことなのか、試験で高得点を取ることなのか、それとも相手と意思疎通ができることなのでしょうか。
坂本光代教授は、バイリンガリズムやバイリンガル教育、批判的応用言語学などを専門とし、言語習得を個人の能力だけでなく、社会や教育制度、文化的な背景との関係から研究しています。
今回は、坂本教授の研究内容や担当授業、ゼミの特色を通して、英語学習についての「当たり前」を問い直す学びをご紹介します。
坂本光代教授のプロフィール
坂本光代教授は、上智大学外国語学部英語学科に所属し、バイリンガリズム、バイリンガル教育、多文化教育、批判的応用言語学などを専門とする研究者です。
そのほか、質的研究、社会文化理論と第二言語習得、言語の習得と保持、言語政策なども研究分野に含まれます。
バイリンガリズムとは、二つの言語を使用することや、その能力、社会的な状況などを研究する分野です。
また、バイリンガル教育では、複数の言語を使う子どもたちが、どのような環境で言語を学び、成長していくのかを考えます。
坂本教授の研究では、言語学習を個人の努力や能力だけで説明するのではなく、その人を取り巻く社会や教育環境にも目を向けています。
例えば、同じように英語を学んでいても、家庭や学校、地域社会の環境によって、英語を使う機会や学び方は異なります。
こうした違いを理解することは、言語教育のあり方を考えるうえで重要です。

研究テーマ① 応用言語学とは?言語を学ぶ仕組みを考える
坂本教授の研究を理解するうえで重要なのが、応用言語学という分野です。
応用言語学は、言語に関する知識や研究方法を使い、言語教育やコミュニケーションなど、現実社会のさまざまな問題を考える学問です。
例えば、英語を学ぶ人が、どのような環境で学習すると力を伸ばしやすいのかという問題があります。
また、複数の言語を使う子どもたちに、どのような教育が必要なのかを考えることもあります。
言語を学ぶ際には、語彙や文法を覚えることだけでなく、実際に言葉を使う経験が重要になります。
しかし、誰もが同じように言語を使う機会を得られるわけではありません。
例えば、学校で英語を学んでいても、日常生活で英語を使う機会が少ない場合があります。
一方、家庭や地域社会で複数の言語が使われている環境では、異なる言語を使い分ける経験が日常的に生まれることがあります。
応用言語学では、こうした言語学習の違いをさまざまな視点から研究します。
研究テーマ② 「日本人は英語ができない」という言葉を問い直す
坂本教授の研究で興味深いのが、「日本人は英語ができない」という言説を批判的に考える視点です。
日本では、英語学習について語る際に、「日本人は英語が苦手だ」といった表現が使われることがあります。
しかし、この言葉には、さまざまな問題が含まれています。
まず、「日本人」と一括りにしても、英語を学んできた経験や、英語を使う環境は人によって異なります。
また、「英語ができる」という言葉の意味も明確ではありません。
例えば、英語の文章を正確に読める人が、必ずしも英語で流暢に会話できるとは限りません。
反対に、英語で日常的な会話ができる人でも、専門的な文章を書くことには難しさを感じる場合があります。
このように、言語能力にはさまざまな側面があります。
それにもかかわらず、特定の基準だけで「英語ができる」「英語ができない」と判断すると、学習者が持っている能力を十分に評価できない可能性があります。
坂本教授の研究は、こうした言語能力の評価や、社会の中で広まっている言語観を問い直すことにつながっています。
研究テーマ③ ネイティブのように話すことが正解なのか
英語学習では、「ネイティブのような発音」を目標にすることがあります。
もちろん、発音を練習し、相手に伝わりやすい英語を身につけることには大きな意味があります。
しかし、英語を使う人々は、アメリカやイギリスなどの母語話者だけではありません。
世界には、英語を第二言語や外国語として学び、仕事や教育、国際交流などで使っている人が数多くいます。
そのため、英語を使う力を考える際には、特定の地域の母語話者だけを唯一の基準にすることが適切なのか、検討する必要があります。
例えば、日本語を母語とする人と、別の言語を母語とする人が英語で会話する場合を考えてみましょう。
二人とも英語の母語話者ではなくても、互いの考えを理解し、協力して問題を解決することができます。
このような場面では、発音や文法の正確さだけでなく、相手の話を理解しようとする姿勢や、必要に応じて説明を言い換える力も重要になります。
坂本教授が専門とする批判的応用言語学では、母語話者を基準とする考え方や、学習者を不足した存在として捉える見方についても問い直します。
英語を学ぶことは、誰かと同じ話し方を身につけることだけではなく、自分の言葉で他者と関わる力を育てることでもあるのです。

研究テーマ④ バイリンガル教育と継承語教育
坂本教授の研究分野には、バイリンガル教育や継承語教育も含まれています。
継承語とは、家庭や家族のルーツと関わりのある言語で、子どもが生活する社会の主要な言語とは異なる場合に使われる概念です。
例えば、日本で暮らす子どもの中には、学校では日本語を使い、家庭では別の言語を使っている人もいます。
そのような子どもにとって、家庭で使う言語は、家族とのコミュニケーションや文化的なつながりに関わる大切な存在です。
しかし、学校生活で日本語を使う機会が増える一方で、家庭の言語を使う機会が限られると、その言語を十分に学び続けることが難しくなる場合があります。
継承語教育では、こうした子どもたちが家庭や文化的な背景と関わる言語を、どのように学び、維持していけるのかを考えます。
また、バイリンガル教育では、複数の言語を学ぶことが、子どもの学習や社会生活にどのような意味を持つのかを研究します。
言語教育は、単に外国語を教えることだけではありません。
子どもたちが自分の言語や文化を大切にしながら学べる環境を考えることも、重要なテーマなのです。
研究テーマ⑤ 言語と権力はどのようにつながっている?
坂本教授の研究では、言語と社会的な権力の関係も重要なテーマです。
例えば、ある社会で特定の言語が行政や教育の中心として使われている場合、その言語を十分に使えない人は、情報を得たり、自分の意見を伝えたりする際に困難を感じることがあります。
また、学校で使われる言語と家庭で使われる言語が異なる子どもは、学習内容を理解するうえで追加の支援が必要になる場合があります。
このような問題を考える際には、個人の言語能力だけでなく、社会の制度や環境にも目を向ける必要があります。
例えば、学校で多言語による支援が用意されているかどうかによって、子どもたちの学習環境は変わります。
また、社会の中でどの言語が高く評価され、どの言語が十分に尊重されていないのかという問題もあります。
言語は、情報を伝えるための道具であると同時に、文化やアイデンティティ、社会的な関係とも深く結びついています。
坂本教授の研究は、言語を社会の中で捉えることの重要性を教えてくれます。
担当授業|バイリンガル教育から言語と権力まで
坂本教授の教員紹介資料では、英語運用力やバイリンガル教育、批判的応用言語学などに関する科目が紹介されています。
学部の主な担当科目として、次のようなものが挙げられます。
- English Skills
- Seminar: Critical Applied Linguistics
- Bilingual Education
また、大学院の担当科目として、次のようなものが紹介されています。
- Qualitative Research Methods
- Postmodern Approaches to SLA
- Language and Power
- Bilingual Education
学部では、英語を使う力を高めながら、言語教育やバイリンガリズムについて専門的に学ぶことができます。
大学院では、質的研究の方法や第二言語習得に関する理論、言語と権力の関係などをさらに深く研究することができます。
なお、担当科目や開講状況は年度によって変更される場合があります。最新の履修情報を確認してください。
坂本ゼミの特色|「当たり前」を問い直す批判的応用言語学
坂本教授のゼミでは、批判的応用言語学をテーマに、言語学習や言語教育についての考え方を問い直します。
例えば、「外国語」「母語話者」「第二言語」「言語習得」といった言葉は、普段の英語学習でも使われることがあります。
しかし、これらの言葉が何を意味するのかを詳しく考えると、簡単には答えられない問題が見えてきます。
例えば、幼い頃から二つの言語を使って育った人の場合、どちらの言語が母語なのでしょうか。
また、家庭ではある言語を使い、学校では別の言語を使っている人を、どのように捉えればよいのでしょうか。
こうした問いを考えることで、従来の言語教育で使われてきた分類や考え方が、すべての人に当てはまるわけではないことがわかります。
批判的応用言語学では、言語学習を個人の能力だけでなく、社会的、文化的、政治的な関係の中で捉えます。
坂本ゼミでは、こうした視点から、言語教育に関するさまざまな言説や問題を考察していきます。

質的研究とは?人々の経験や語りから学ぶ
坂本教授の専門分野には、質的研究も含まれています。
質的研究とは、人々の経験や考え方、社会的な状況などを、インタビューや観察、文章資料などを通して詳しく調べる研究方法です。
例えば、複数の言語を使う子どもたちが、学校生活でどのような経験をしているのかを調べる場合を考えてみましょう。
テストの点数や学習時間などの数値だけでは、子どもたちがどのような気持ちで言語を使っているのかを十分に理解できない場合があります。
そこで、本人や家族、教員などへのインタビューを通して、言語学習に関する経験や考え方を調べる方法があります。
また、学校での授業や日常的なやり取りを観察することで、言語がどのような場面で使われているのかを考えることもできます。
こうした研究では、個人の経験を丁寧に理解することが重要です。
もちろん、質的研究にも、資料の集め方や分析方法、研究倫理などについて慎重な検討が必要になります。
言語教育を研究する際には、数値だけでは見えにくい人々の経験に目を向けることも大切なのです。
高校英語とのつながり|英語学習の意味を考え直してみよう
坂本教授の研究分野は、高校での英語学習とも深くつながっています。
例えば、英語の発音を練習しているとき、母語話者のように話せないことを気にした経験があるかもしれません。
その場合、なぜ母語話者の発音が理想とされるのか、英語を使う目的によって必要な能力は異なるのではないか、と考えてみることができます。
また、英語の授業でペアワークやグループ活動を行った際に、相手とのやり取りを通して理解が深まった経験がある人もいるでしょう。
その経験から、言語学習における他者との関わりの重要性について考えることができます。
さらに、海外にルーツを持つ友人や、複数の言語を使う人と交流した経験がある場合には、言語とアイデンティティの関係に関心を持つこともできます。
英語を学ぶことは、単に単語や文法を覚えることではありません。
言語を使う人々の経験や、言語が社会の中で果たしている役割について考えることも、大学での重要な学びです。
推薦入試を目指す高校生へ|英語学習への疑問を研究につなげよう
上智大学外国語学部英語学科の推薦入試を考えている皆さんは、英語学習や言語教育について感じた疑問を、大学で学びたい内容と結びつけて考えてみましょう。
例えば、「日本人は英語が苦手」と言われることに違和感を持った経験があるかもしれません。
その場合、英語能力がどのような基準で評価されているのか、学習環境によってどのような違いが生まれるのかを調べてみることができます。
また、複数の言語を使う人と交流した経験がある人は、その人がどのように言語を使い分けているのかに関心を持つこともできるでしょう。
さらに、日本で暮らす外国にルーツを持つ子どもたちの教育に関心がある場合には、学校での言語支援や継承語教育について調べることができます。
大切なのは、「英語を話せるようになりたい」という目標だけで終わらせず、言語を学ぶことが人間や社会にとってどのような意味を持つのかを考えることです。
例えば、「母語話者のように話すことだけが英語学習の目標なのか」「複数の言語を使う子どもたちに、どのような教育が必要なのか」といった問いを持つことができます。
教員の研究内容を知ることは、英語学科で学べる分野を理解するための一つの方法です。ただし、特定の教員に関心を持つことが推薦入試で有利になるわけではなく、入学後に必ずその教員のゼミに所属できるとも限りません。
まとめ|言語を学ぶことの意味を社会から考える
坂本光代教授は、バイリンガリズムやバイリンガル教育、批判的応用言語学などを専門とし、言語習得を社会的、文化的、政治的な関係の中で捉え直す研究者です。
英語学習では、発音や文法の正確さを高めることも大切ですが、それだけで言語能力のすべてを評価できるわけではありません。
また、言語を学ぶ環境や、社会の中でどの言語が重視されているのかという問題も、言語教育を考えるうえで重要です。
坂本教授の研究やゼミでは、「母語話者とは何か」「言語を習得するとはどういうことか」といった問いを通して、言語学習についての当たり前を問い直すことができます。
英語教育や多文化共生に関心がある方、言語と社会の関係について深く学びたい方は、坂本教授の研究をきっかけに、批判的応用言語学という分野について調べてみてはいかがでしょうか。
KOSSUN教育ラボでは、上智大学の推薦入試を目指す高校生に向けて、出願書類の準備や面接対策などのサポートを行っています。受験準備についてお悩みの方は、お気軽に無料個別相談をご利用ください。
※本記事は、提供された記事案をもとに作成しています。教員の所属・職位・研究内容・担当科目・ゼミの活動内容などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご確認ください。
KOSSUN教育ラボでは、上智大学の推薦入試対策に特化した
上智大学合格プロジェクト
を完全定員制(先着10名限定)にて設け、専門性の高い個別サポートを行っています。
限られた時間の中でも本気で上智大学合格を掴み取りたい方は、今すぐ 無料個別相談会 にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


