
上智大学 理工学部 情報理工学科 教員紹介|山下遥准教授のデータ分析・ビジネスアナリティクス研究とは
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 情報理工学科の山下遥准教授と、データ分析・ビジネスアナリティクスの研究」です。
学校でアンケートを実施したとき、平均値を計算するだけで、本当に全体の特徴を理解できるでしょうか。売上が伸びたとき、その原因は価格なのか、季節なのか、広告なのか、それとも複数の要因が関係しているのでしょうか。
データが大量にあっても、それだけで答えが分かるわけではありません。「何を知りたいのか」を考え、適切な方法で分析し、結果を正しく解釈する必要があります。
山下遥准教授は、統計学を基礎として、データから現実の課題をどのように捉え、改善につなげていくのかを研究しています。
山下遥准教授はどんな研究者?

山下遥准教授は、上智大学 理工学部 情報理工学科に所属し、統計的データ解析やビジネスアナリティクスなどを研究しています。
東京理科大学で学士(工学)を取得した後、慶應義塾大学大学院で修士・博士(工学)の学位を取得しています。
研究キーワードには、ビジネスアナリティクス、統計的品質管理、応用統計解析、多変量解析などが挙げられています。
研究では、現実の問題に対してデータ分析を活用するとともに、その問題に適した統計的手法や分析方法について考えていきます。
「データを分析する」だけではなく、「より適切に分析するにはどのような方法が必要なのか」という分析手法そのものも研究対象になるところがポイントです。
「ビジネスアナリティクス」とは?
山下准教授の研究を理解するうえで重要なキーワードの一つが「ビジネスアナリティクス」です。
企業や組織では、売上、顧客、生産、在庫など、さまざまな活動からデータが生まれます。
しかし、データを保存しているだけでは意思決定にはつながりません。
たとえば売上が下がったとしても、「売上が下がった」という事実だけでは、次に何をすればよいのかは分かりません。
どの商品で変化が起きたのか。いつから変化したのか。地域や顧客層による違いはあるのか。ほかの要因とどのような関係があるのか。
こうした問いを立て、データを分析し、意思決定や課題の理解に役立てようとするのがビジネスアナリティクスの考え方です。
データが多ければ正しい答えが出る?
「ビッグデータ」という言葉から、データが多ければ多いほど正確な結論が出ると思うかもしれません。
しかし、必ずしもそうではありません。
集めたデータに偏りがあったり、測定方法に問題があったり、重要な要因が記録されていなかったりすれば、大量のデータがあっても適切な判断ができない場合があります。
また、二つのデータに関係が見つかったとしても、一方がもう一方の原因であるとは限りません。
そのため、データ分析では計算結果を見るだけではなく、「このデータからどこまで言えるのか」を考えることが重要です。
統計学は、大量の数字からもっともらしい結論をつくるための技術ではなく、不確実性を含むデータから何を読み取れるのかを考えるための学問でもあります。
「多変量解析」は複数の要因を考える
山下准教授の研究キーワードには「多変量解析」もあります。
現実の問題では、一つの結果に対して一つの原因だけが関係しているとは限りません。
たとえば商品の売上について考える場合、価格、広告、季節、店舗の立地など、さまざまな要因が関係している可能性があります。
このように、複数の変数を同時に扱い、その間にどのような関係があるのかを分析する方法が多変量解析です。
データの中にある複雑な関係を整理し、どのような特徴や構造が存在するのかを考えるために利用されます。
高校で学ぶ相関関係やデータ分析の考え方を、より多くの変数を扱えるように発展させた世界があると考えるとイメージしやすいでしょう。
統計的品質管理とは?
山下准教授のもう一つの研究分野が「統計的品質管理」です。
製品を大量に製造すると、すべてが完全に同じ状態になるとは限りません。大きさや重さ、性能などには一定のばらつきが生じる場合があります。
そこで重要になるのが、ばらつきをデータとして捉え、製造工程がどのような状態にあるのかを統計的に考えることです。
たとえば測定値に普段とは異なる変化が現れた場合、それが偶然のばらつきなのか、それとも工程に何らかの変化が生じているのかを考える必要があります。
「品質が悪くなってから原因を探す」だけではなく、データから工程の状態を捉えるという考え方が、統計的品質管理では重要になります。
既存の統計手法そのものも研究対象

データサイエンスというと、すでに存在する分析ソフトへデータを入力し、結果を見ることを想像する人もいるでしょう。
しかし、大学における研究では、「現在の分析方法で十分なのか」ということ自体を考えます。
データの特徴によっては、既存の方法ではうまく分析できない場合があります。
そのようなとき、分析方法を改良したり、問題に適した新しい方法を考えたりすることも研究になります。
山下准教授の研究では、統計的な分析方法を現実の問題へ応用するだけでなく、分析手法やツールそのものについて検討する視点も重要です。
AIと統計学は同じもの?
データ分析について調べると、AI、機械学習、統計学、データサイエンスといった言葉が並んで登場します。
これらには重なる部分がありますが、すべて同じものではありません。
機械学習では、データから一定のパターンを学習し、分類や予測などを行う方法が研究されています。
一方、統計学では、データにどの程度のばらつきがあるのか、観察された違いをどのように解釈できるのかなど、不確実性を考慮しながらデータを理解するためのさまざまな方法があります。
実際のデータ分析では、目的に応じて複数の考え方や手法を使い分けることが重要です。
「最新のAIを使えばよい」のではなく、「この問題に対して、なぜこの分析方法を使うのか」を考えることがデータ分析の基本になります。
高校数学の「データの分析」からどうつながる?
山下准教授の研究は、高校数学で学ぶ確率・統計やデータの分析とつながっています。
平均値、中央値、分散、標準偏差、相関などは、データの特徴を理解するための基本的な考え方です。
しかし、平均値が同じ二つの集団でも、データの散らばり方は異なるかもしれません。また、相関があっても因果関係があるとは限りません。
高校で学ぶ統計を「公式に数字を入れて答えを出すもの」と考えるのではなく、「この数字は何を意味しているのだろう」と考えてみると、大学での統計学につながります。
さらに情報の授業でデータを表やグラフにした経験があれば、「どのグラフを使えば特徴が伝わるのか」「別の切り口で分析したら結果は変わるのか」と考えてみるのもよいでしょう。
情報理工学科の「社会情報」ともつながる
上智大学 理工学部 情報理工学科では、「人間情報」「情報通信」「社会情報」「数理情報」という4つのキーテーマから幅広い研究が行われています。
山下准教授の研究は、統計的な方法を使って企業や社会のデータを分析するという点で、社会と情報技術の接点を考える研究の一つです。
社会で生まれたデータをコンピュータで処理するだけではなく、その結果をどのように解釈し、どのような判断につなげるのかまで考える必要があります。
そこでは数学や情報科学だけでなく、分析する対象について理解することも重要です。
「データ」と「現実の問題」を往復しながら考えるところに、応用統計やビジネスアナリティクスの特徴があります。
推薦入試では「データサイエンスを学びたい」を具体化しよう
情報理工学科を志望する人の中には、「データサイエンスを学びたい」という人も多いでしょう。
その場合は、「データを使って何を知りたいのか」まで考えてみてください。
たとえば文化祭でアンケートを取った経験があるなら、「回答者によって結果に偏りはないのか」「平均だけで意見を表してよいのか」と疑問を持つことができます。
商品のランキングを見て、「売れているから満足度も高いと言えるのだろうか」と考えることもできます。
さらに、「二つの数字に相関があれば原因と結果だと言えるのか」「大量のデータがあれば必ず正確な予測ができるのか」と調べてみるのもよいでしょう。
データ分析への興味を、身近な疑問、自分で調べたこと、さらに大学で学びたいことへとつなげていくことが大切です。
数字の向こう側にある現実を考える

山下遥准教授の研究を見ていくと、データサイエンスとは単に大量の数字をコンピュータで処理することではないと分かります。
何を課題として設定するのか。どのデータを使うのか。どの統計手法が適しているのか。分析結果から何が言えて、何までは言えないのか。そして、その結果をどのように現実の改善へつなげていくのか。
こうした一連の問いを考えることが、データ分析やビジネスアナリティクスの重要な部分です。
上智大学 理工学部 情報理工学科を志望している人は、「AIやデータサイエンスを使いたい」というところから一歩進んで、「データから何を明らかにしたいのか」という視点で研究分野を調べてみてください。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


