上智大学 理工学部 情報理工学科 教員紹介|Fabien Benoit Trihan准教授の数論幾何学・岩澤理論研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 情報理工学科のFabien Benoit Trihan准教授と、数論幾何学・岩澤理論の研究」です。

「整数を研究する数論」と「図形を研究する幾何学」。高校までの数学では別々の分野に見えるかもしれません。しかし現代数学では、方程式がつくる図形を調べることで、数の性質を明らかにしようとする研究があります。

その代表的な分野が「数論幾何学」です。Trihan准教授は、数論幾何学の中でも岩澤理論などを中心に、高度な数学的構造について研究しています。


Fabien Benoit Trihan准教授はどんな研究者?

Fabien Benoit Trihan准教授は、上智大学 理工学部 情報理工学科に所属し、数論を専門とする研究者です。

フランスのUniversité de Rennes 1で数学を学び、博士号を取得しています。研究分野は数論幾何学で、特に幾何的な設定における岩澤理論などについて研究しています。

研究には、楕円曲線、L関数、p進数、Frobenius作用素など、現代数論で重要なさまざまな数学的対象が登場します。

高校数学から見ると非常に抽象的な世界ですが、その出発点には「方程式の整数解や有理数解にはどのような規則があるのか」という、数論の基本的な問いがあります。


「数論幾何学」とは?

数論では、整数や有理数、素数などの性質を研究します。一方、幾何学では図形や空間の性質を研究します。

では、この二つがなぜ結びつくのでしょうか。

たとえば、二つの変数を含む方程式を考えると、その方程式を満たす点の集まりを図形として見ることができます。

高校数学でも、方程式とグラフを結びつけて考えます。数論幾何学では、この考え方をはるかに発展させ、代数的な方程式から生まれる幾何学的な対象を調べることで、数についての問題を研究します。

「数の問題を図形として見る」という発想が、数論幾何学を理解する一つの入口です。


「楕円曲線」って何だろう?

数論幾何学で重要な研究対象の一つが楕円曲線です。

楕円曲線は、特定の形の代数方程式によって定められる曲線です。

名前に「楕円」とありますが、一般的な意味での楕円そのものを研究するわけではありません。

重要なのは、楕円曲線上にある有理数を座標に持つ点を調べると、そこに非常に豊かな数学的構造が現れることです。

方程式を満たす有理数解はどれだけあるのか。それらの解にはどのような関係があるのか。このような問題が数論の深い研究へつながっていきます。


バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想とは?

楕円曲線について調べると、「バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想」という名前を目にすることがあります。

この予想は、楕円曲線が持つ有理数解の構造と、その楕円曲線に対応するL関数の性質との間に深い関係があるとするものです。

つまり、方程式の「解」に関する問題と、解析的な「関数」の性質が結びついているのです。

バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想は、クレイ数学研究所が選定したミレニアム懸賞問題の一つとしても知られています。

Trihan准教授の研究は、この予想そのものだけに限定されるものではありませんが、楕円曲線やL関数、岩澤理論など、こうした現代数論の大きな研究領域と深く関係しています。


「岩澤理論」は何を研究するの?

Trihan准教授の研究を理解するうえで重要なキーワードが「岩澤理論」です。

岩澤理論は、数論に現れる対象を、一つの固定された状況だけで見るのではなく、ある方向へ段階的に拡張していったときに、数学的な性質がどのように変化するのかを研究する理論です。

個々の問題を別々に解くのではなく、それらを一つの大きな系列として捉え、その背後にある規則を探るイメージです。

岩澤理論では、代数的な対象とL関数などの解析的な対象との関係が重要なテーマになります。

Trihan准教授は、こうした岩澤理論を幾何的な設定で研究しています。


「p進数」というもう一つの数の世界

Trihan准教授の研究には「p進」という言葉も登場します。

高校数学では、数と数の距離を考えるとき、数直線上でどれくらい離れているかを考えます。

しかし数学では、別のルールによって数の「近さ」を定義することもできます。その代表例がp進数です。

p進数では、ある素数pでどの程度割り切れるかという性質が、数同士の近さと関係します。

最初は不思議に感じるかもしれませんが、数論ではこのp進的な視点を使うことで、通常の実数の世界だけでは見えにくい構造を調べられることがあります。

「数の世界は、学校で使っている実数だけではない」ということも、大学数学の面白さの一つです。


Frobenius作用素とは?

Trihan准教授の研究では、Frobenius作用素を持つp進的な数学的対象なども登場します。

Frobenius作用素は、正の標数を持つ世界で自然に現れる重要な写像で、数論幾何学においてさまざまな構造を調べるために使われます。

高校生の段階で、その定義や計算方法を理解する必要はありません。

ここで注目したいのは、数論幾何学では「整数」「方程式」「曲線」「関数」「写像」といった、一見別々に見える数学的対象が複雑につながっていることです。

一つの問題を別の数学的な言葉へ置き換えることで、新しい性質が見えてくることがあります。


高校数学からどうつながる?

数論幾何学や岩澤理論は非常に高度な分野ですが、その入口には高校数学で学ぶ内容があります。

整数、素数、方程式、関数、複素数、図形などです。

たとえば高校では、方程式が与えられれば「解を求める」ことが中心です。

大学数学ではそこから、「解は何個あるのか」「解全体にはどのような構造があるのか」「方程式を図形として見ると何が分かるのか」という問いへ進んでいきます。

また、「整数の問題なのに、なぜ幾何学や関数が必要なのだろう」と疑問を持つこと自体が、数論幾何学を知る入口になります。


なぜ情報理工学科で純粋数学を研究するの?

上智大学 理工学部 情報理工学科では、「人間情報」「情報通信」「社会情報」「数理情報」という4つのキーテーマから幅広い研究が行われています。

Trihan准教授の研究は、その中でも数理情報の広がりを感じられる研究です。

情報理工学科という名前からAIやプログラミングを想像する人も多いでしょう。しかし、情報科学を支える数学を学ぶだけでなく、数学そのものを研究対象として深く追究することもできます。

Trihan准教授の研究も、特定の情報技術への応用を直接の目的とするのではなく、数論幾何学や岩澤理論の数学的構造そのものを明らかにしようとする基礎研究です。

「すぐ何に使えるのか」だけでは測れない数学研究の世界が、情報理工学科の中にも広がっています。


推薦入試では「難しい数学をやりたい」から一歩先へ

純粋数学に興味がある人は、「難しい数学を勉強したい」「未解決問題に挑戦したい」という気持ちを持っているかもしれません。

そこから、自分が数学の何に面白さを感じているのかを考えてみましょう。

たとえば、「整数だけの問題に見えるのに、なぜ図形を使って考えられるのだろう」「方程式の解全体にはどのような構造があるのだろう」「数の近さを別の方法で定義すると、何が見えるのだろう」といった疑問があります。

さらに、楕円曲線やp進数という言葉を知ったら、まず高校数学との違いを自分で調べてみてもよいでしょう。

高校生の段階で岩澤理論や数論幾何学を理解している必要はありません。専門用語を並べるよりも、どのような疑問から数学への興味が深まったのかを整理することが大切です。


整数と図形が出会う現代数学の世界

Fabien Benoit Trihan准教授の研究を見ていくと、整数、方程式、楕円曲線、L関数、p進数など、一見すると異なる数学的対象が互いに深く結びついていることが分かります。

数の問題を幾何学から考えたり、代数的な対象と解析的な関数との関係を調べたりすることで、数学の新しい構造を理解していくのが数論幾何学の世界です。

上智大学 理工学部 情報理工学科を志望している人は、AIやデータサイエンスだけでなく、こうした抽象的な数学そのものを探究する数理情報の研究にも注目してみてください。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。