上智大学 理工学部 情報理工学科 教員紹介|高岡詠子教授の自然言語処理・医療情報学研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 情報理工学科の高岡詠子教授と、自然言語処理・医療情報学の研究」です。

AIや情報技術は、計算を速くしたり仕事を効率化したりするためだけのものではありません。言葉や制度の違いによって必要な情報を受け取りにくい人を支援したり、医療や教育の課題を改善したりするためにも活用できます。

自然言語処理、医療情報学、教育とコンピュータなどを通じて、情報技術と社会課題を結びつける研究に取り組んでいるのが高岡詠子教授です。


高岡詠子教授はどんな研究者?

高岡詠子教授は、上智大学 理工学部 情報理工学科に所属し、自然言語処理、教育とコンピュータ、医療情報学、多言語情報発信などを研究しています。

慶應義塾大学で博士(工学)の学位を取得し、研究キーワードには、ウェブ情報学、インクルーシブなコミュニケーション、Medical Inclusion、医療ビッグデータ、e-learning、自然言語処理、人工知能などが挙げられています。

研究テーマは一見すると幅広く見えますが、その背景には、情報技術を使って社会に存在するさまざまな課題へアプローチするという共通した視点があります。

コンピュータの性能を高めることだけではなく、「誰の、どのような困りごとを情報技術で支援できるのか」を考えていることが、高岡教授の研究を理解する大きなポイントです。


言葉や制度の壁を情報技術で越える

高岡教授が取り組むテーマの一つが、医療や介護におけるコミュニケーションの課題です。

日本で生活していても、日本語を十分に理解できない場合、病院で症状を説明したり、医療従事者からの説明を理解したりすることが難しくなることがあります。

医療では専門用語も多く、日常会話ができるだけでは十分とは限りません。さらに、医療や介護には制度に関する情報もあり、「どこへ相談すればよいのか」「どのような支援を利用できるのか」という情報へたどり着くこと自体が課題になる場合もあります。

高岡教授は、こうした言葉や制度などによって生じる情報格差に対して、ICTをどのように活用できるのかを研究しています。


「ダイバーシティ・チャンネル・プロジェクト」とは?

高岡教授は、「ダイバーシティ・チャンネル・プロジェクト」に取り組んでいます。

このプロジェクトでは、外国人を含む多様な背景を持つ人々が、必要な医療・介護ケアへ安心してアクセスできる環境づくりを目指し、多言語による情報発信やコミュニケーション支援などが進められています。

ここで重要なのは、単純に日本語を別の言語へ置き換えれば問題が解決するわけではないということです。

医療や介護には専門用語があり、文化や制度についての前提知識にも違いがあります。誰に、どの情報を、どのような表現で届けるのかを考える必要があります。

情報システムをつくるだけでなく、それを利用する人の立場や社会環境まで考えることが求められる研究です。


自然言語処理は社会課題とどうつながる?

高岡教授の専門分野の一つが「自然言語処理」です。

自然言語処理とは、日本語や英語など、人間が日常的に使う言葉をコンピュータで扱うための技術です。

文章を検索したり、分類したり、必要な情報を取り出したりする場合にも自然言語処理が関係します。現在身近になっている生成AIとも関係する分野ですが、自然言語処理は生成AIだけを指すものではありません。

医療や多言語情報発信の場面では、「どのような言葉で情報を表現すれば伝わりやすいのか」「大量の文章の中から必要な情報をどう見つけるのか」といった問題も重要になります。

コンピュータに言葉を処理させる技術と、人に情報を届けるという社会的な目的が結びついているのです。


医療ビッグデータをどう生かす?

高岡教授の研究キーワードには「医療ビッグデータ」もあります。

医療に関係するデータには、さまざまな種類があります。大量のデータが蓄積されても、そのままでは有用な知識になるとは限りません。

データの中から必要な情報を取り出し、分析し、どのような傾向や課題があるのかを考える必要があります。

情報理工学では、データを集めることだけでなく、「どのように整理するのか」「どのような方法で分析するのか」「分析結果をどう解釈するのか」までが重要な研究課題になります。

また、医療に関係する情報を扱う場合には、個人情報やプライバシーなどについても慎重に考えなければなりません。技術的に分析できることと、社会の中で適切に利用できることは別の問題だからです。


教育とコンピュータも研究対象

高岡教授は、教育とコンピュータ、e-learningなどの研究にも取り組んでいます。

コンピュータやインターネットを利用すれば、教材をオンラインで提供したり、学習状況に関するデータを扱ったりすることができます。

しかし、「デジタル教材にすれば学習効果が上がる」と単純に考えることはできません。

誰がどのように利用するのか、どのような学習方法が適しているのか、学習者がどこでつまずいているのかなどを考えながら、情報技術を教育へ生かす必要があります。

情報技術を導入すること自体を目的にするのではなく、「学ぶ人にとって何が必要なのか」から考えるところにも、この分野の特徴があります。


情報検索も私たちの生活を支える技術

私たちは分からないことがあると、検索エンジンなどを使って情報を探します。しかし、インターネット上に情報が存在していても、必要な情報へたどり着けなければ活用することはできません。

高岡教授は、情報検索に関係するシステムの研究・開発にも取り組んできました。

大量の文章や資料の中から、利用者が必要としている情報をどう探し出すのか。この問題には、自然言語処理やウェブ情報学などの技術が関係します。

「情報があること」と「必要な人へ情報が届くこと」は同じではありません。情報を探しやすくし、利用しやすい形で届けることも情報理工学の重要なテーマです。


高校の「情報」や国語、英語ともつながる

高岡教授の研究は、高校の「情報」はもちろん、国語や英語などともつながりを考えることができます。

高校の「情報」では、データ活用、プログラミング、情報社会における課題などを学びます。大学ではさらに、文章をデータとしてどのように表現するのか、AIにどのように処理させるのか、情報システムを社会の中でどう活用するのかといった問題へ発展していきます。

また、自然言語処理を考えると、「同じ意味でもさまざまな表現がある」「直訳しただけでは意味が伝わらない」といった、普段の国語や外国語学習で感じる問題も情報科学の研究対象になります。

文系・理系という枠だけでは捉えきれないところも、この研究分野の面白さです。


推薦入試では「AIで社会貢献したい」から具体化しよう

推薦入試で情報理工学科を志望する人の中には、「AIを使って社会課題を解決したい」と考えている人もいるでしょう。そこから、もう一段具体的な問いへ進めてみてください。

たとえば、「外国語を話す人が病院を利用するとき、どこで困るのだろう」「自動翻訳だけで医療コミュニケーションの問題は解決できるのだろうか」「必要な情報がインターネット上にあるのに、なぜ届かない人がいるのだろう」といった問いがあります。

学校生活の中でも、留学生とのコミュニケーション、オンライン学習、検索サービスの使い方などから疑問を見つけることができます。

最初から大きな社会問題を解決する方法を考える必要はありません。自分が実際に見たり聞いたりした不便から、「情報技術なら何ができるのか」「技術だけでは解決できない部分は何か」と考えることが大切です。


「人に届く情報技術」を考える

高岡詠子教授の研究を見ていくと、情報理工学はコンピュータの中だけで完結する学問ではないことが分かります。

自然言語処理、医療情報学、多言語情報発信、e-learningなど、対象は異なっていても、その先には実際に情報を必要としている人がいます。

「高度なAIをつくること」だけではなく、「その技術を誰のために、どのような課題に使うのか」を考えることも、情報理工学の重要な視点です。

上智大学 理工学部 情報理工学科を志望している人は、自分が興味を持っている情報技術と、身の回りにある社会課題を一度結びつけて考えてみてください。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。